上 下
1,345 / 1,519

どっちなんだい!?

しおりを挟む


 カケラントの次はミネストパレス。ミーネはエントランスで井戸端議会の輪の中に居た。

「ミーネ、少し良いか?」

「どうした。おっぱい吸うか?」

「うん、否、仕事の話だ。トリントンと、商業に明るい者を集めて欲しい」

「良かろう。皆、すまんが手伝ってくれ」

「あいよ。ちょっと外に行って呼んで来ますよ」

「あたいはトリントンを探して来らぁ」

女達がその場を離れ、稍あってトリントンを連れて来た。外に出たのが戻る迄更に待ち、有識者が十五人も集まった。
経緯を説明して、やはり俺は舐められてると言う認識で纏まってしまった。輸出入に関しては前向きではあるが、転移門のおかげで海運業を使う必要が無い。結果、ミネストパレスには必要無しとの判断となった。

「お断りするにも一応は挨拶しないとなりませんね」

「私が行くのだな?」

「女王様は来ない方が良いですね」

「そうか。ならば任せよう」

「はい。私とマルシアと何人かで参加させて頂きます」

カケラントでの話も纏まった。後は彼処か。

「リア、偶には孫を見せに行かないか?」

「貴方様、フラーラ達から聞き及んで居ります」

 行きはママ上殿、帰りはカロ邸からの直通転移門だったそうで、メイド達から話を聞いて来たらしい。ハイネルマールの行動についてもお冠であった。

「父か、その近くの者が噛んでいそうですね」

「戦争にも色々あるからな」

「新天地への上陸は困難だとは聞きますが、伝手と言うには些か礼に欠けて居りますわね。急ぐに越した事は無いかと」

リアの許可が出て、彼女はラビアン達を連れて準備へ向かう。俺は《白昼夢》でアフマクシア城へと飛んで、一番敏感な者に『声』を掛けた。

『久しぶりだな。其方の声は聞こえないから手振りで返してくれ』

《白昼夢》状態の俺を見詰める義姉は眉間に皺を寄せて応える。…応えてるのか?

『急で悪いがこれから孫を見せに行く。サロンの人払いを頼みたい』

孫と聞いて眉毛が動く。そして腕を組んで暫く考える素振りを見せた後、部屋を出て行ってしまった。来て良いのか悪いのか、どっちなんだい!?
厨房にて贈答用のおやつを物色し、リアとアーティエルの支度が整った所でアフマクシア家のサロンへ《転移》した。

「遅いぞカケラント王」

「お待ちしていたわ。カルメリアもお帰りなさい」

サロンには家族一同揃ってて、一斉にリアとアーティエルに群がった。

「お待ちなさい!」

「姉様っ」「姉様?」

近寄る親族に対し強い口調で止めるリアは、妹達にも容赦無い。

「アフマクシア王。先程、我が夫でカケラント王で在らせられるカケル様がアフマクシア王国の貴族に無礼な振舞いを受けました」

「勇敢だな、褒めてやらねば」

「ハイネルマール商船会社に何を吹き込みましたか?事と次第で敵と見なします。二度と此処には戻りません。返答は如何に?」

凄まれてタジタジの王と息子。此奴等が主犯か。

「て、帝国が滅んだとは言え、そこに国が残っておるのだぞ?不安に思うて悪いのかっ」

「我が夫が冒険者である事を利用し、騙し討ちのような形で場を設けさせた事。王に対する振舞いとは思えません。詫びを入れさせ、改めて国同士の話をすべきです」

「国の為だ。国の利を考えて何が悪い」

「それで戦争を起こしたのでは?国の利を思うのであれば卑怯な振舞い等愚の骨頂」

「カルメリアよ、公王は今無礼な振舞いを受けたぞ。公国から離れたお前にだ。それについてはどう致すのか」

勇気を振り絞ったロデュローンが割って入る。だが唯の揚げ足取りだな。睨まれて怯んでる。

「リア、止めよう。話しても無駄だ」

「ですが、貴方様」

「アーティエルを見ろ。此処には金輪際我が子を見せに来ないし、持って来たお菓子も家の者で食べる。帰るぞ」

「「お菓子っ」」「お待ちになって」

釣れた。

「カケルっ!カケルは可愛い姪っ子にお菓子をあげないの?」

「カケルが来るの、ずっと待ってたのよ?」

はいはい可愛い可愛い。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...