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早寝早起き

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 農業改革の説明はしたが、やるかどうかは皆に任せる。明らかに少ない訳でも無いしな。魔物に関しても普通の冒険者で事足りる。間引きを怠けなければ大物が湧く事も無いだろうし、デカいのが出たら呼んでくれれば良いだけだ。

 女達に福利厚生を施し、島に帰ると夕方過ぎ。夕飯食べて湯に浸かり、朝迄ぐっすり寝たいのを、少し我慢しハーク達の動きを見守る。メイド達は夜迄に動きがあると予想していたが、彼等が動き出したのは、しっかり真夜中になってからであった。早寝早起きと言う点で言うならば、彼女等の言い分も当て嵌っているのかも知れない。
早過ぎる朝食をほんの少し口にした様子の戦士達は、砦の外壁に向かって森の中を進んで行く。だがその先は平民等が勝手に作った街と言う名の集落だ。彼等もそれは理解しているのか、迂回しながら砦の端、壁の下へと取り付いた。

 一方、メイド達は散り散りに分かれる。ハーク一行の周囲に三人、五人は集落の中に入って俺の《感知》から消えた。残る二人は客車の警護に当たるようで、その場に留まっていた。
《感知》から消えた五人は砦の中に侵入していると踏んで、砦の内部を覗いて行く。内部の警備は笊であったが、その理由は部屋を隈無く見て判る。頭になりそうな者が居ないのだ。
ハーラデーに逃げられた時点でこの場を捨てる選択をしたのか?それとも何処かに隠れているか…。念の為に地下を見て、何も無いのを確認すると《感知》の視野を広げ、人間に絞って見て回る。集落の中で寝ているのは平民か?歩いているのは見回りだろう。酒場らしき所で動いている集団は男が殆ど。盛んに盛っている男女が空中に並んでいるのは娼館だな…。深夜である筈なのに意外と起きている者が多い印象を受ける。

 一旦視界を集落の外に移す。大小アトール間には人の姿は無い。大アトールのギッツ側は…居た。三十人の塊が砦から百ハーン程離れた所で点々と、且つ整然と並べられていた。砦が襲撃される迄その場で待機するつもりか?そう考えるとだいぶ士気や練度は高そうだ。少なくとも魔装を横取りしようと集められていたミソプファンティアの兵隊共より強い事は予想に難くない。

コレ、大丈夫か?不安を余所にハーク達が行動を起こす。誰かが隠密系スキルか魔法を使ったか。皆の気配が薄くなると、アルアが笊警備な砦の屋上に皆を《転移》させ、多分ジジババ何れかの魔法なりスキルなりで近くに居た見回りを無力化させた。微動だにしなくなったが、立ったまま寝てるのか?魔法には疎いので何をしているのか分からない。そこから体勢を下げたまま、砦の中心へと移動した一行は屋上の笊共を全て無力化して行った。
砦の中へ入ってブルランさんが気付いたか。手近な空き部屋に避難して、皆に何かを進言してる。メイドの一人も合流し、現状把握を進める模様。
暫くしてハークが口を開き、何かを決定したようだ。メイドも使って各階を無力化しながら階を下がって行くみたい。相手の土俵の中ではあるが、取り敢えずは順調に進めているな。

 砦の占領は終えた。だがまだ何一つ解決していない事に、彼等は気付いているだろうか。ハーク達が砦の中で頑張って居る頃、敵は気付いてしまったようだ。多分定時で連絡をしていたのだろう。それが無い事に異常を感じ、森の中の兵は動き出す。あくまで静かにゆっくりと。
街に居る男達にも動きが出る。此方も定時連絡でやり合って居たのか、寝ていた者が起き上がり、酒場や娼館へ繋を付けて行く。娼館の客の動きが早くなり、どうやら果てたようだ。
暫く後、砦から死角になる場所へと集まった男達。多分ギッツの兵隊だろう。武装してるし間違い無い。

ギッツ兵の動きに最初に気付いたのは監視のメイド。如何にして連絡してるのかは分からんが、ブルランさんが口を開くと、その場の皆で無力化した敵を部屋の一つへ集めだした。何の為だ?


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