1,328 / 1,519
発作
しおりを挟む「準備は終わってるみたいだな」
「当たり前じゃ。期を逃して儲けは出んわい」
成程な。次に向かうは魔法ギルドじゃ!と言われ、それに従う。《感知》で見るが、裏口らしい所が無い。正面に人気が無いので正面で良いや。
「ん~…」
お、一応俺の言い付けを守ったらしい。唸るだけで抑えたハスカンダはズカズカと魔法ギルドに入ってく。見た目からも何か普通に見えるな。後ろ姿だけでは歳分かんないし。
だが魔法ギルドの職員は背筋が伸びて固まっていた。
「デルトローの奴は何処じゃ?案内せい」
「はっ!はいっ!」
元気な声で返事をし、案内してるのは此処のギルマスなのだとジョンは言う。余計な事を言うなと目で訴えるギルマスは、階段を上がって最上階へと上がって行った。
「し、失礼致します。ハスカンダ様をお連れしましたっ」
ノックを三回。お辞儀は四十五度。まるでサラリーマンみたいな応対でデルトローと相対し、ハスカンダとおまけをギルマス室へと案内するギルマス。
「来たな?」
「終わっとるな?」
「うむ。茶を持て」
「はっ!只今っ!」
ギルマス慌てて出て行った。お辞儀はしっかり四十五度で。社会人の鑑である。
「お茶?そんな事して、婆さんが乗り込んで来っぞ?」
「どうせ時間が掛かるからの」「だのう」
歳を経てもそれは変わらないのか。ハスカンダがソファーに腰を落ち着けて、向かいにデルトローが座った所でバタバタと下から駆け上がる音がする。お茶急ぎ過ぎだろ。
「あンた等っ、お茶なんて呑気な事言ってんじゃ無いわよっ!」
ノックも無く駆け込んで来た、婆さんことビビエルは下半身を光らせている。何かの魔法だろうか?
「婆さんや、回復しながら来おったか」
「歳は取りたくないのぉ~」
「あンた等のソレも回復装備じゃ無いかっ」
ローブに自動回復の魔法が施されているみたい。それで二人共ローブなのか。ビビエルはと言うと、同じ様で少し短いローブに、腕には手甲で袖を纏め、脚には脚絆を巻いている。多分お洒落目的では無いのだろうな。杖は二人の木製と違い、細い金属製だ。
「早く立ちなっ!行くんだろ!?」
「「おうよっ」」
「さあて、行くのは良いが、どうお目通りしたい?」
「お目通り…」
「そりゃあ、ハーク王のピンチに颯爽と「馬鹿っピンチになんてさせるもんかねっ」」
「ジョンだけなら森に放置で良かったが、あンた等を放置するのは不自然過ぎるからな」
「ああ…、ワシ等が偉いばかりにハーク王の元に行けんとは…」
「はっ、はぁっ、はあっ、ハーク王っ様っ」
「あたしが居なきゃ…ハーク王様が…あたしが…」
「少し落ち着け、ヒッヒッフー、ヒッヒッフーだ」
このままでは発作で死んでしまう。仕方無いな。
『カケルです。増援に来た過ぎて発作を起こし掛けてるジジババが居るのですが、同行させてもよろしいでしょうか?』
客車の中で座して待つブルランさんが口を動かしハークが動く。そして客車の外へ出ると他の客車を回って全員を降ろし、多分説明しているのだろう。皆が多分聞いている。
暫くすると、ブルランさんは上を見て、腰を曲げた。良いみたいだが、私はそこに居ません。
「ブルランさんと連絡が着いた。皆来ても良いって」
「「「おおお…」」」
「分かってると思うけど、森の中、更に砦の直ぐ近くだから、呉々も静かに」
「うむ」「無論じゃ」「……」
「じゃあ、行くよ」
《転移》して、衝撃二つ、左右から。ハークとアルアの突進攻撃。静かに顔をグリグリと埋め込まれ、三つの怨嗟の視線が刺さる。
「相談役とジョンが増援に来た。為政者としてやる事をやらん男に着く膝は無いぞ?それに淑女は男を立てるモノだ」
「「……」」
「お爺ちゃんお婆ちゃん、来てくれてありがとうね。ボク、この国の為に頑張るから」
「皆様、ご助力感謝致します。皆様のお陰で兄の勝利も揺るぎ無い物となるでしょう」
「「「ははっ」」」
ふぅ。俺のお節介は此処迄だ。気配を殺して城へと戻った。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる