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もしかして俺の事?
しおりを挟む「主等こんな所に居ったか」「探したぞい」
探したのは隣に居る介護士だろうに。大人なので口には出さず、ジジババとそれぞれの介護士が訓練場に降りて来るのを迎える。
「そっちの三人もか?」
「一人より二人で準備する方が早いからの」
介護士達の目が告げる。敢えて何とは言わないが。
「さあさあ、早くおしよ。急いでんだからさ」
「はいはい。取り敢えず冒険者ギルドの裏手に行くぞ。人目に付く場所だと皆がびっくりするからな」
「はよせい」「はよせい」「はようせい」
三人が、タイミングをズラして同じ事を言う。ギルドの裏手に人気が無いのを確認し《転移》した。
「「「おおお…」」」
初めての《転移》で体調を崩さない辺り、丈夫なジジババである。
「此処からは静かに行動してくれ。次に飛ぶのは敵地だからな」
「「「お、おぉ…」」」
何処迄理解してるか怪しいが、此処で一旦解散となる。俺はジョンに着いてく事にしよう。ジジババの何れかに同行すると、介護士の真似事をさせられそうだし。
「取り敢えず武装がありゃあ良いだろ」
男の準備等こんな物である。ギルマス室に窓から侵入しようとして落ちて来た。鍵掛かってんだよなぁ。
「大人しくそこから入れよ。裏口だろ?」
「畜生…」
裏口のドアを開けて入って行くジョンを見て、俺は上から行く。さっきのサブマスが開けてくれたからな。
「マスターの気配がしたのですが…」
「ああ、もう直ぐ上がって来るよ」
「シューンシューンズデーゲンに居た筈ですよね?飛んで帰るにしても早過ぎでは?」
「凄く早く飛べるんだ」
「おいカケル!開いてんじゃねーか!」
「開けてくれたんだよ」
ノックも無く部屋に駆け入るジョンにサブマスはビクッとしたが、直ぐに何事も無かったように出迎える。
「お早いお帰りで。残務を用意しますね」
「今から出掛けるっ。カケルにやらせろ」
「無理です。帰ったら必ずしてもらいますから」
マジックバッグと思しき小さな鞄を尻の上に着けると、シュッと赤い鎧とマント姿に変わった。ポーズ付けて装着するのを少年隊が見たら真似するだろうなぁ。
「行くぞ」
「ジジババがまだだろ」
「ジジババントコ行くんだよ。此処来る迄に寿命が来ちまう」
「マスターッ!」
俺用出入口を伸身一回捻りで飛び出したジョンを追って外へ出る。地上からはジョンが跳んでる事で歓声が上がり、誰かに追われているのか、逃げろとか打ちのめせとか聞こえて来る。…もしかして俺の事?漏れ無く漏らす寸前迄下腹部を《威圧》してやった。
最初に着いたのは一番近い商業ギルド。最上階の窓に張り付いたジョンが落ちて行く。そしてその音を聞き付けて、職員が内側から窓を開けた。
「誰です?」
「ジョンの連れだ。今のはジョンがぶつかっただけだから、俺のせいじゃ無いぞ?」
「…そう、みたいですね…」
「相談役の準備が終わったら下の階で待つよう伝えて欲しいんだが。若しくは俺達が待ってても良い」
「承りました。では正面からお入り下さい」
地上に降りると既にジョンは中に入っちゃってて、何処かへ行ってしまったようだ。勝手に彷徨く訳にも行かず、上にいた人が降りて来る迄観葉植物と並んで待った。
「ジョン様のお連れの方ー」
「此処に居るぞー」
冒険者スタイルで応えると、ジョンの移動先を知る職員もやって来て案内してくれると言う。《感知》で場所は分かっていたが、何やら倉庫みたいだし、勝手に入るのは罪人扱い受けそうだったからな。
「ジョン様、お連れ様をお連れしました」
「遅いぞカケル」「何処で道草食って居った!?」
「勝手に入るとダメな場所だろうが」
地下を降りた先にあったそこは、魔道具やら商材が入っていると思われる箱が積み上げられた倉庫であった。
ローブに杖を装備して、魔法使いのような出で立ちの商業ギルドの相談役。そこはステテコとかターバンだろう?と思ったが、シルケで何方も見た事無いな。
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