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家臣
しおりを挟む客間に連れられお茶が出る。茶菓子の代わりにダンジョンフルーツでも…と思ったが元気になり過ぎてしまうのでお肉をお裾分けした。
「カケル、その目どうしたの?」
「坊っちゃま、男とは深く詮索されるのを嫌う物ですぞ?」
ブルランさんに窘められてハッとするハークに笑顔を返す。
「この義眼は雪の龍に貰った物だ」
「ええっ!」「何と…。雪の龍と戦われたのですか?」
「まさか。人の身では仕合うのも烏滸がましいくらいあの方は強いですよ」
ダンジョンでのアレコレと、義眼になった話をしてやった。面白可笑しくとは行かなんだが、ハークもブルランさんも前のめりで聞いてくれた。
「リュネ様達ですら力を削がれるなんて、凄いダンジョンだね」
「ああ、慢心してしまったってのもあるし、護衛対象が居たからってのもあるが、龍達にとっては貴重な経験だったろうな。帰ってから暫く反省していたよ」
「で、で、隠し扉の先には行ったの?」
「ああ、義眼に封入されたスキルが強過ぎて呆気無く終わらせちゃったから面白く話せないんだ。ダンジョンコアを壊して、生き残りの雑魚を倒しながら戻っただけだし」
「ダンジョンコアを壊すとダンジョンじゃ無くなるんでしょ?学園で習ったよ」
「ああ。ダンジョン都市には悪いが潰させてもらった。危険過ぎるしな」
「魔剣や魔装が出なくなっちゃうんだよね。僕も欲しいのに」
「普通の冒険者じゃ行けない程奥に居る奴からのドロップだ。この国の兵隊でも取れないだろうね」
「カケル殿、坊っちゃまの名誉の為口を挟みますが、決して魔具を強請ったりはしておりませぬ故、お間違えの無きよう」
「そうだな。ハークなら王に強請らずジョンの所か爺婆様の所に駆け込むだろ」
「ジョンは使う分しか持ってないって」
お強請りしたのかい。
「カケルに全部処分させたって言ってたけど、僕に良さそうなの無いの?ねえ~」
上目遣いで覗かれても無い物は無い。出て来た時点で捨てたり埋めたりしてると聞いて口を尖らせてしまった。
「魔剣じゃ無いがドロップした武具ならあるぞ?トカゲくらいなら刻めるヤツだ」
ハークの周りにパァーっと花が咲いたようだ。やっぱり上げないとか言ったら泣くだろうな~。《収納》の中から軽くて細くて短くて、少し派手なのをチョイスする。
チョイスしてて、気になるアイテムに気を引かれ、何の気無しに取り出してしまった。
「何それ?羽根?」
「ああ。コレが呼んだ気がしてな。意識せず取り出してしまった」
「見るからに、魔装ですな」
「ブルランさん、殺気を頂けますか?」
羽根のアクセを腕に巻き、いざっと放たれたブルランさんの殺気を受け止めた。殺気が漏れてたようでハークがビクッてしたよ。
『良いのか?』
ソレは応えない。それでもハークはコレを取り出しても怖がらなかった。即ちそう言う事なのだな。
「ハークよ、お前はコイツに認められたようだな。剣や鎧では無いが、お前と共に在りたいそうだ。家臣に加えてやってはくれないか?」
「家臣?」
「そうだ。コイツはハーピークイーンの羽根飾り。自分を害する運命を払う、かなりヤバい代物だ」
「…国宝ですな」
「普段は空飛ぶアイテムだとか言っておけ」
「それでも国宝級ですぞ?」
「…風魔法の強化アイテムと…」
「その辺りが落とし所ですな」
随分安物にされてしまったが、王にパクられるよりはマシだろう。
「ねえ、それって例えば誰かが僕を殺しに来たとして、どうなるの?」
「必ず失敗する。装備者はその事に気付かない。何故ならソレを企てた時点で失敗しているからだ。だから迂闊に試してみよう等とは考えるなよ?」
「…何か、凄いね。その羽根飾りに認めて貰え続けられるように頑張るよ」
腕の羽根飾りをハークの首に掛けてやる。紐の留め位置を調節すれば腕にも首にも巻けるからな。動き回る腕よりこっちの方が隠れて見え辛いし良いだろう。
くすぐったい?慣れてくれ。
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