上 下
1,271 / 1,519

その道のプロ

しおりを挟む


「兜…これ木だよね?」

 先ずは素材を聞いて来たエメラルダスだが、素材自体は何でも良いと説明する。

「雨露凌ぐ装備なんだ。今日雨だったろ?」

「それで発想を得た訳ねー。ちょっと被せて見ても良い?」

了承すると、店に飾ってある金属鎧に雨具を被せ、内から外から検分が入る。少し緊張して来た…。

「座って寝るのに良さそうね。金属反射を減らせるから隠蔽力がありそう。木の枝とか付ければ索敵にも利用出来そうね。雨具としてなら…、この兜?兜って言ってるけど盾にも見えるわね。コレだけでも充分かな。今日みたいな風のある雨だとマント付いてる方が嬉しいけど」

やはりその道のプロである。

「雨具として作ったから腕が出せないのを何とかしたいんだ」

「二枚重ねたら良いじゃない」

即答である。流石その道のプロ。

「まあ、カケルさんが売りたい相手の予算を考えると…、盾兜と、このマントで良いかもね?冒険者ならゴテゴテしてた方が好まれるんだけどさ」

さすプロ。購買層の事迄お見通しか。

「ゴテゴテしたの作って売って良いからさ、壊れ難くて極々安価な物を用意して欲しいんだ」

「皮製なら良いよ?木は専門外だし。納入先は施設で良いよね?」

「よろしく頼むよ」

話が終わると、新し物好きな客が雨具に集まり試着や売り出し時期の話が始まった。どうやら座って寝られる所に惹かれたみたい。雨で顔が濡れるもの嫌みたいだ。忙しくなったエメラルダスにハンドサインで挨拶すると、店を後にした。

そして三日後の夜の部に、エメラルダスが試作を持ってやって来た。何より先ずはセックスだ。

「この間はっ、機会が、無かったから、なっ」

「あはっ、あん、飽きられ、ちゃ、ちゃったかとおっ、思ったぁああっ」

飽きるなんてとんでもない。魔力がだいぶ減ってただけだ。毎日だいぶ吸われているが、それでも夜には満タン近く迄溜まってて、施設に来た客を楽しませられる程度には欲求に満ち溢れている。

「旦那ぁ、コッチも濡れちまってるよ~?」

「アタイにも太いの挿れとくれぇ」

跨る女達に見るからに極太のを生やして突き立てる。硬そうに見えて柔らかいソレが穴に飲み込まれ、壁を押し分けながら奥迄密着すると、壁に合わせて硬くなりイボを増した。

「ああん、ピッタリだよ!コレコレコレぇぇえっ!」

「んっくう、中で、プリプリ引っ掻いて、止まんないっ、止まんないよおお」


 夜の部を終えて延長戦…は無し。エメラルダスが持って来た雨具を見せてもらう。

「えっと、先ずは此処に卸す方ね」

「やはり単品になっちゃったか」

頑張って考えた一体型雨具であったが、プロの手に掛かると上下にパージされた姿に戻されてしまった。

「雨が強ければマント着れば良いしね」

まあ、そうだよな。小雨の時にカッパは着ない。そう言う事だ。そしてマントも笠との合体はオミットされ、普通のマントとなる。

「マントはフレアを余分に取って、荷物が持てるようにしたよ。ポンチョとローブの中間、かな」

マントの端にはボタンが付いてて前で止められる様になっている。腕を出す機能はオミットした様だな。

「薄くて一枚皮だとそれなりにお値段するんじゃないか?」

「そうでも無いよ、魚皮だし」

魚の皮だそうな。鱗が邪魔で皮が食えないカワクワズなる魚から取れた皮だそうで、一匹で一人分のマントを作れる程デカいと言う。トーピードの皮と同じで水夫御用達の皮の一つであるそうな。

「あまり魚を食べないのもあるが、初めて聞く魚だな」

「足が早いから漁民の周りで全部食べちゃうとか聞いた事あるな」

皮に値が付く為漁獲もあり、安価で仕入れられると言う事で、施設用のはコレでお願いした。

「次はコレね。コッチは売る用だから高いよ?」

「おお…」

さすプロの仕事で作成されたソレは、俺の想像を超えていた。シンプルながら装飾のエンボス加工が施され、金属の環が端々に着いていた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...