上 下
1,241 / 1,519

全員犯す

しおりを挟む


 島に戻って朝食の時間迄寝たら、食事をして朝の部へ。

「海に出る賊共かい?ウチのは出るって聞いてるけど、生きて帰ってるから遭っては無いんだろうねえ」

「帰ってんなら旦那とシなよ」

「へっ、あンなの、一回ヤったら寝ちまいやがったよ」

船舶関連、商船会社に勤めて大陸を行き来する者の奥さんからはこんな感じ。漁民の奥さんからは外洋には出ないので賊とは遭わないみたい。情報の対価をたっぷり流し込み、欲しいモノを欲しいだけくれてやった。

 昼飯迄の空いた時間で向かったのはクリューエルシュタルトの冒険者ギルド。何時もの装備で無いので最初は丁寧な対応であったが、ギルド証を見せて嫌な顔をされたので、前後の穴に《威圧》の極太を捩じ込んでジョンにも《威圧》を飛ばした。

「カケルかっ!?」

「此処だ!」

「上がって待ってろ!」

階段から慌ただしく降りて来たジョンは俺を上へと指示すると、自分は奥へと駆けて行く。あっちがトイレか。
ギルマス室で暫く待つと、ジョンが戻って来た。

「何だよ!?ちゃんと仕事してんだぞ!?」

「じゃあ何で俺だと分かると嫌な顔するんだよ」

「周知は徹底してる。それでダメならお前がやれば良い。俺はもう知らんから、腹ン中掻き混ぜるような《威圧》すんのは止めてくれ」

ならあの受付嬢はあのままで良いな。ソファーの対面に座ったジョンに、海に出る賊の話が無いかを聞いてみる。クリューエルシュタルトは海沿いでは無い為全く実害は無いと言うが、ギルドの共有情報としては幾つか注意喚起がされている模様。

「北の方の海は今頃凍ってるだろうし、殆どの港は使えんだろうな。だからこの注意は南側。南東のアフリハンと西のディルクラーンとハンリーテンベルク。後は隣国って事だろうよ。海の賊って海盗の事だろ?俺一度当たった事あっぞ?」

ジョン曰く、まだ全員がAランクに揃って無かった頃、商船の護衛で海に出て遭遇したそうだ。その時は商船側がバリスタなんて積んでいて、敵の帆に火を掛けて足止めした隙を突いて各個撃破したと言う。その時は攫った人は居なかったと言うし、まだ戦争中であったので今回とは関係無さそうだ。

「人攫いする海盗が出んのか」

「キネイアッセンの帝国から足抜けした奴等だ。潰さにゃならん」

「何か掴んだらバルタリンドに送っとく」

「悪いな。それと…」

ネーヴェがダンジョンアタックする旨伝えると、当然のように俺も俺もとなるが、Aランクを連れて行くとジョンの功績を横取りしたような扱いになり周りからの評価が下がる、等と適当に言いくるめ、チケットだけ貰えるよう交渉した。

「だがよう…」

「目的はネーヴェをBランクにするだけだ。トカゲの魔石を卸して貢献度上げるからギルドは旨味しか無いぞ?それとも濠を増やしたいか?」

「今でも肉狩りに時間掛かってんだ。勘弁してくれ。ネーヴェ様ならどんだけ潜っても魔石一個でお釣りが出んだろうに」

「ギルドの女、全員犯すぞ?」

「…分かった。何とかしてやる。お前とネーヴェ様で十日分な。追加金は払えよ?」

交渉成功だ。樵で昼飯食って島を経由し、バルタリンドで午後の部を過ごした。あの女?そのままだが?

 午後の部が終わり、夕飯迄の時間はジョンが言ってた街に行ってみる。全部は行けないので南東のアフリカンだ。

「アフリハンへよく来た」「騒ぎは起こすな」

アフリハンだった。ギルドに寄って、笑顔の可愛い受付嬢に話を聞く。アフリハンは近郊の鉱山都市からの輸出で潤う港街で漁業も盛ん。魔物討伐と護衛依頼が冒険者への依頼のメインとなるそうだ。

「護衛となると、海の野盗…海盗だっけ?ああ言うのも出るのか?」

「最近は増えているようですね。商船艦隊は大砲積んでますし、下手な海軍より強いですよ」

「それだと冒険者要らなくね?」

「そこはやっぱり、モンスターは冒険者ですね。剣や魔法は船を破壊するには至りませんが、知らぬ間に上がって来るモンスターには大砲撃てませんし」

餅は餅屋か。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...