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空中庭園

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 玉座に座り身を乗り出して、孫の姿を凝視する義父に俺とリアは片膝を着く。

「貴様、呼ばなければ来ないつもりであっただろう?」

「今でも警戒が解けて無いだろ。公女に誰何するくらいだし」

「誠かそれは」

「公王陛下、彼等は職務を全うしただけで御座います。国に尽くす者へ向けるは咎では無く、お褒めの言葉で御座いましょう」

リアがそう言うと義父は深く座り直し、面を上げて楽にしろと言われた。楽にしろって、何処迄楽にして良いのか。リアが立つのでそれに倣う。

「孫の顔を見せよ」

「…貴方様?」

アーティエルは俺が抱っこしてるのだが、素直に見せて良いのか迷う。その間に気付いたリアが心配そうな声を上げた。

「今独り占めすると、後が怖そうだが、それでも?」

「奥に戻ったら近寄る事も出来ん」

「直ぐに帰るなんて野暮はしないから、皆で面通しした方が良いかと思うよ」

「…ぐ、そう、だな…」

義母や家族と先日相見えて思ったが、貴族平民関係無くこの手の事には女が強い。孫の顔を先に見る程度なら許させるだろうが、それ以上は王家の威信が失墜する事になるだろうと思われる。先程の義父の口振りからして間違い無さそうだ。

「カケラント王には後程謝意を謹呈させてもらう事とし、謁見はこれ迄とする。着いて参れ」

立ち上がった義父が奥へと続く扉の前に立つと執事服がドアを開ける。

「貴方様、行きましょう」

俺達が立ち上がる頃には先にズンズン行ってしまった。

「一緒に行けば孫の顔を拝めるのに」

「王の背後を歩けるのは重臣だけですから、難儀なものです」

「先回りしなきゃならんのね」

「ええ。せめて待たせぬよう致しましょう」

執事と兵士に前後を挟まれ先日入ったのとは違う部屋に連れられる。リア曰く彼処は王の寝室なのだそうだ。で、今度の部屋はサロンだそうな。

「子供に見せて良いのか?サロンだろ?」

「子供に見せてはならないサロンがあるのですか?」

「執事の人に聞いてみたらどうだ?」

「エギッラルト、どうなのです?」

「申し訳御座いません、私には存じ上げぬ事で御座います故、ご容赦賜りたく御座います」

深々と頭を垂れる変な名前の執事だが、お前が知ってる事を俺は《感知》で分かってるからな。

「だ、そうです」

「国に依って使用目的が違うのかも知れんな。あの部屋かな?」

「部屋では無く外ですね。空中庭園となっております」

庭の中にサロンが建てられていると言う。おいそれと外で遊べない身分だし、そう言う造りなんだな。
外に出て、良く手入れされた庭に出る。これは中々雰囲気良いな。何て言うんだろう、イングリッシュガーデンみたい。シルケだけど。
庭の端に平屋の小さな建屋。アレがこの城のサロンか。

「よくもまあこんな落ち着ける場所があって戦争しよう等と考えたモンだ」

「言葉が御座いません」

 ノックをし、執事によりドアが開けられると、リアを前にし中へと入る。既に家族一同、家長を中心に揃い踏みしていた。

「姉様っ」「姉様ーっ」

妹達が駆け寄って、リアを捕まえた。何とも尊い光景である。

「カケル様と言いましたね。貴方も此方へおいでなさい。早く孫をお見せなさいな」「そうだ、早くするのだ」「貴様は失せてしまえ」

義母の横から野次が飛ぶ。

「そうか。なら義理の姉にだけ見えないようにしてやるか」

「貴様っ」「姉上、貴方様もお控え下さい」

絡んで来る義姉を煽ると妻に窘められた。ニヤニヤと俺だけ怒られたような雰囲気を醸し出しているが、あンたもだからな?

「ささ、早く」

義母に見えるようにしてやると、自然と手が伸び娘を託す。膝に乗せられ我が子はポカーンだが、人見知りはしてないようだな。

「アーティエル、はじめまして。わたくし、あなたのおかあさまのおねえさまですよ」

ジョークをお嗜まれになられて居られるが、この場に突っ込み役は居ない。シンと静まり返るサロンには、鳥の囀りが聞こえていた。





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