上 下
1,191 / 1,519

ヤバい代物

しおりを挟む


 スイーツを作ると言ったが、仕込みもあって流石に朝からは無理なので、移動しながら仕込む事になった。朝から甘い香りをさせたらハイエナが来そうだったしな。朝食の薄焼肉のソーサー巻きですらチラッチラ見られてたし。そんな訳で、俺は一人小型UFOで空に上がり、スイーツの仕込みをする。

マタル粉の生地に空気を纏わせる事でふわ感を出す事に成功したのであれば、焼いたらふわ感やサクサクボリボリにもなる筈だ。耐火煉瓦と鉄板を組み合わせて釜を作り、薄い鉄板を加工して型を作る。ソレに薄い雑木紙を敷いたら空気を纏わせた生地を流し込み釜にセットした。成功したら嬉しい。
生地が焼ける迄の間に挟む物を用意する。何か無いかと《収納》を漁ると、何時採ったのかも忘れてたドラゴンスケイルを発見した。一つ千ヤンか…。勿体無いけど仕方無い。悪阻の妻達に食べさせてたサンの実もあった。これでジャムが作れるな。
門外不出の氷砂糖を粉にして、ドラゴンスケイルのピューレに混ぜたら待つ…寝るか。薄切りを切って仮眠する。
十五リット程ぼーっとして、甘く焼けた匂いで我に返る。焦げない内に取り出さねば。形から取り出し薄紙を剥ぐと、キレイにふわふわな円柱になっていた。形は上出来、味見として薄紙にこびり付いたのを歯で扱いて食う。…良し。卵もミルクも使わずにパンケーキが出来たぞ。どうせ一つじゃ足りないとか言うだろし、ジャムを使い切る分くらいは量産して行くか。
一オコンで三個追加。更なる追加を焼きながら、ジャムの制作に取り掛かる。火の強さを調節し、吹き溢れないよう掻き混ぜながらスポンジを焼き、更に砂糖を投入して掻き混ぜて、ぽってりしたら火を止め冷ます。生の頃はそこまで甘い香りは無かったドラゴンスケイルだが、火を入れると蜂蜜のような、濃厚な甘さが小型UFO全体に広がる。これは今夜使う女共が喜ぶだろうな。薄切りのヤツも甘煮にしておくか。鍋が無いのでジャムの中身だけ浮かせとく。
ジャムを冷ます合間に薄切りの甘煮とスポンジの増産をし、ジャムが冷めたら再び鍋に移して火に掛ける。沸騰したらサンの実を無理矢理搾った汁を入れ、ぽってりが少し固くなる程度で火を止めて、冷ましてジャムの完成だ。木篦に付いたのを指でなぞってペロリング…。数える程も味わった事無いけど仄かな酸味のあるメイプルシロップみたいだ。
もしかして俺、やっちゃいましたか?そのくらいヤバい代物だと直感した。

冷めた生地を分割し、上面にジャムを薄く塗る。二枚を重ねたら上に甘煮を敷く…出来た。戦争の火種成り得る悪魔の食い物が。
完成したのは十四ホール。一ホール三分割で四十二。ピッタリ足りた!問題は三分割にするのが難しい事だが…。俺は四分割にした。


「イゼッタ!リュネ!俺だーっ」

「はぁ~~い」「お帰りなさいませ、カケル様」

 複合施設の食堂に《転移》して妻と妾の序列一位を呼ぶと、直ぐに妾と性奴隷の序列一位がやって来た。

「イゼッタ様は子供達のお世話ですね」

「可愛い我が子のお世話中でぇす。それにしてもカケルさん…?」

「あまり時間が無いんだ。それにラビアン達の分は帰ったら必ず作るから、コレの処理をしてくれ」

「処理…で……コレは……」「凄い物、作っちゃいましたねぇ」

「材料にドラゴンスケイルの実を使う。リュネ」

「お任せあれ」

「直ぐに皆様を呼んで参りますっ」

俺は悪魔の食い物を六つキープし、更に《転移》する。

「アルネス、シャリー、居るか?」

「はーい、あらカケル様……」

「アルネス。極秘の内に皆に食べさせてやってくれ。箝口令だぞ?」

「…承りました」

「カケル様?もう依頼を…?これは…」

「凄い、匂いだな…」

  「すーーーすーーーはぁ~~~」
「シャリーも、皆も元気そうで何よりだよ」

カロが帰宅したら皆でお食べと言い残し、移動先へと戻った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...