1,120 / 1,519
はいいいえ
しおりを挟む色々騙くらかして出来上がった楕円は正確な物とは比較にならんがそれっぽく描けた気がする。比較出来るのは神様だけだ、問題無い。
「ご精が出ますね」
「出して無いよ?」
何時の間にか隣の席に掛けていたシスターに声を掛けられ、意味の違う回答を返してしまった。こんな美人が隣に居たとは、少し集中し過ぎたな。
「女神様を写しておいでかと思いましたが、それは図形、でしょうか」
「楕円を描くのは難しいので、神様のお知恵を…と」
「殊勝な事。ですが建築士の方々の方が手取り教えて頂けますかと」
「成程。これだけの建築が成せるのなら、設計の知識として持ち得ているでしょうね」
「技術は綿々と繋がれ続けております筈です。して、貴方様はお一人で?」
「はい「カーケールー」いいえ、愛する妻にメイドも居ります」
ジト目ビームがチクチク刺さる。どうやら魔法の解除が終わってしまったようだ。リアやフラノノも寄って来た。
「貴方様、教会に手を出してはなりませんよ?」
「出てないよ?ちゃんとお仕事してたもん」
「ん?ひしゃげた丸だな。どう見るノーノ」
どうやら許されたらしい。隣に座って居たシスターも、俺が絵を描いて居たので興味本位で近付いたと明かし、詫びを入れて去って行った。
「カケル、意外とモテモテ?」
「妻が三人も居るし、モテモテだろ?」
「妻らしい事、して」
「これ作っておくからお土産買っといで」
「ん~」
代表してシャリーに小遣いを渡し、皆わらわらと出て行った。俺は一度街の外に出るかな。
外に出て、森の中に入ってく。とは言え森の中では広さが無いので空に上がって辺りを見回す。川があるが、くねってるし街が近過ぎるのでダメ。バレないように森を切るか…。
樹冠ギリギリを飛んで街から少し離れると、作業スペース分の木を《収納》する。長さは四十ハーン、幅十ハーン。後でイゼッタに植林して貰わねばならんな。凸凹の地面の上に柔らか煉瓦の土台を乗せて、固めた後を水平に《収納》すると、ツルリとした床となった。その床の上に、六十ハーン×五ハーン×六十ドンの煉瓦板を乗せる。
窓を付けなきゃならんので、真ん中辺りで二十×四ハーンで切り出して、空いた場所に同じ大きさのクリスタルモドキを付け替えた。圧着して、同じ硬さに調節し、表面を五ドン、引っくり返して裏面も五ドン《収納》し、五十ドン厚の板となった。
空に上がり、煉瓦板の端と端をくっ付ける。床に《感知》で設計図をトレースし、円になった板を曲げてやる。クリスタルモドキの端をシンメトリーにするのが難しく、キレイにセットするのに多少時間が掛かった。
ここまで来ればガワは粗完成だ。後は床と屋根を付けて、入口を開けるだけだもの。輪っかを床と屋根で挟み、余分を切り落とす。簡単。軽く固めて仮組み完了。
入口は後ろに作る事にした。横だと空気の摩擦で五月蝿そうだし。《結界》は、無いなら無い方が楽なのだ。
楕円の尖った後部を上から┓の字で切り取る。全ての辺にテーパーを付けて切る事で、内側に入らなくする。中に入り、浮かせたハッチを閉めたら閂を二つとノブを作って貼り付けた。この閂棒は本体側にテーパーが掛かってて、閂を入れるとハッチを締め込むように工夫した。開口部が高くて閉め難いだろうし、ノブには綱を付けておこう。
ハッチの上にヒンジを付ける。普通の蝶番では無くバネを使い、U字に曲がったタイプだ。コイルバネの端を伸ばしてU字に曲げ、本体とハッチに取り付ける。ハッチを開けて、粘度を保つように固めると、空いた状態でホールド出来た。…閉めるのに力が要るな。数度の調節を経て、良いバランスのアームとなった。大型UFOのは引戸にしよう。
しっかり固めて試運転。状態良く出来上がったのを確認して笑みが漏れた。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる