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正しいルート

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 少し早いが昼飯休憩にして、飯を食べ食べマップを描く。上下の階段があるので最深では無さそうだし、道が細いので、そこまで深い階層では無さそうに思える。

「あんたって随分余裕よね」

「戻れるからな」

「なら戻りましょうよ。さっきの階、調査終わって無いんでしょ?」

正論なので折れる。マップだけ描いて、飯食ってトイレしたらさっきまで居た場所へと《転移》した。

「夢でも見てるようだわ…」

「夢の中なら漏れてないか?」

「漏れ…起きてるわ。現実よ」

夢から覚めたようなので調査を続けよう。敵と箱を回収し、罠を踏んでメモを取り、今日の目標である二十階のボス部屋にやって来た。

「此処も見るだけで良いのよね?」

「それが良いね」

中に入り、ドアが閉まる。すると今迄部屋だった景色が一変し、突然空となった。

「にゃっ!?」

突然の事に猫化する女が小さく丸まり落ちて行く。やっぱり、落ちたら死ぬのかなぁ。落ちてミンチになるより先に、彼奴に咀嚼されそうだ。

首が長く、尻尾も長く、翼を持ったドラゴンが、くねくねしながら飛んで来る。初めて見るタイプだな。落ちてる二人を浮かせて引き寄せた。

「おっ!落ちっ…て、無い。浮いてんの!?」

「普通の冒険者は此処迄のようだな」

「これじゃあ、前衛は無理よ。倒しても、死ぬかもだけど…」

「落ち切る前に倒したら元の場所に戻るかもな」

「盾に前衛、回復補助に、後衛火力多数のレイドで…って、あれ!」

初見ドラゴンが口を開けて突っ込んで来るのに気付いた女が慌てふためきワタワタするが、食われる寸前に攻撃を躱し、相手をじっくり観察する。
翼はあるが手足は無く、蛇みたいな奴だ。しかし背中側の鱗は大きくてゴツゴツし、ドラゴンっぽく見える。顔は比較的丸顔で、なんとなくイグアナ辺りを思わせる。俺達を食おうとしていた口には牙が並んでいた。
攻撃は主に噛み付きに、体当たりと尻尾の一撃。魔法の類は無さそうだ。単純だが動きに制限を受ける普通の冒険者では勝ち目は無いだろう。メモを取り終えた。

「早くっ、早く殺っちゃって!」

「落ちた先にも興味があるが、仕方無いな」

放たれた矢のように真っ直ぐ突っ込んで来る長い奴の周りを《威圧》の壁で囲った。長過ぎてそのままでは《収納》出来んのだ。
《威圧》の壁をギュッと狭めて丸くとぐろを巻いたのを《収納》すると、辺りの景色がさっき入ったボス部屋へと戻る。

「戻ったみたいだな」

「あんたが呼ばれた意味が凄く分かった…」

「流石にコレは偶々だろ」

地に足着いて落ち着いたのでメモを取る。

「魔法もブレスも吐いて来なかった。さっきお前が言ってたように、後衛火力で殺れるんでは?」

「アレが攻撃受けて止まってくれればね。それにさ、わたし等浮いてたじゃない?落ち続けてたら何リット迄持つか」

「やはり落ち切りたかったな」

「で、下には行くの?」

「行った所で普通の冒険者じゃ…あ」

「あ?」

気付いてしまった。

「転移罠使えば此処通らなくても下に行けるな」

「ああ~。並のパーティーが行ける程度の階なら、上に行けば戻れるって事ね」

「戻りの時、この部屋がどんな対応するかも調べておきたいし、もう少し降りよう」

「一泊やそこらで戻ったら、何も成果を得られなかったと思われそうだしね」

 階段を降りた先の部屋で一泊し、目覚めて朝食を摂ったら準備を整え調査再開したのだが…。

「成程、そうなってたか」

「何よ」

「転移罠が正しいルートだったのかも知れん。転移した先はこの階だったよ」

《感知》を使い、板にマップを描こうとして前に描いたのと同じ事に気付く。全く同じ作りの違う階層かも知れないが、洞窟型に変わったこのフロアでそれがあるのだろうか?

「確認して来るから一旦階段部屋に戻ろう」

「仕方無いわね」

調査任務に慣れたのか、はたまた諦めただけなのか。女は素直に応じてくれる。タダ飯食わせた結果かも知れん。とにかく面倒無くて助かる。






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