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ダメかも知れない

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「んまい」「んまい」「んまいの」

 食卓に上がった肉そぼろをスプーンでもりもり食う肉食達。食べ盛り?には好評だが、大人龍は意見があるようだ。

「多少歯に詰まるな」「うむ。我はあまり火の通っていない物が好きだ」

「生感を残すと直ぐに悪くなってしまうんだ。時間が経っても美味しい状態を目指すとなると、しっかり火を入れなきゃならんのさ」

「これなら色んな味付けが出来ますねぇ」

「野菜のソースを絡めたり、とろみを付けたりしても良いだろうね。ソーサーや団子の中に包んでも良いと思うよ」

「色んな使いかたが出来るんですね!ママにも食べさせてあげたいです!」

結構な量の肉そぼろであったが、大食いの肉食には充分な量だったようで食べ尽くしてもらえた。これなら客に出しても問題無いだろう。ノーマル、赤いの、豆乳、甘辛と、ローテーションで味を変えて出す事となった。


 翌日、店の前にはエメラルダスが来てた。

「カケル様、お待たせしちゃってごめんよ。直しが終わったから持って来たよ」

「おお、何となくだがキレイに見える」

「丸々取り替えたからね」

穴を塞いで直しても、弱点である事に変わり無く、壊れた部位を交換するのが正しい修理なのだと言う。張り替えられた皮は他の場所と風合いや色味を合わせられ、更に手脚の装備と違和感無く処理されていた。良い仕事してますねぇ。

「このコートは買い取らせてもらうよ」

「金なんて要らないから、とにかく着替えて来てよ」

着替えるだけなら移動は要らない。直った鎧と着ていたコートを《収納》し、鎧を着た状態で取り出すだけだ。シュババッと着直し、久しぶりに薄ら青い全身になった。

「少し重いかな?コートに慣れ過ぎたか」

「そうかもね。じゃあ、仕事あるからまた来るね」

「何だ、入って行かないのか」

「『竜の牙』のが残ってるんだよ。あの子達せっかちでさー」

仕事があるなら仕方無い。仕事が出来無い『竜の牙』の気持ちも分かる。手を振り駆けてくエメラルダスに手を振って返した。

 午前の部が終わり、午後の部が始まる迄の時間は仕込みの時間だ。肉そぼろの作り方を教えたが、ラビアン達には《散開》なんてスキルほ無いからミンチにするのは大変だ。

ドドドドドドドドドッ!

「へっ、へへっ…」

二本の包丁を持って凄まじい勢いで肉を叩く兎の目が怖い。

「《散開》だけは俺がやろうか…?」

「ふへっ、大丈夫です、ひひっ」

ダメかも知れない。壊れちゃわないように交代でやるように念を押し、一度島に戻った。

 そして《転移》で弥一ん家。机で書き物してる弥一が突然現れた俺にびっくりした。

「突然来たなっ」

「《念話》で受け答え出来るなら前以て連絡するんだがな」

「念話!俺にも出来んのか!?ちょっと待て保存すっから」

「多分無理だな。地球人はスキルも魔法も発現しないって言われたよ」

「言われた?神的なナニカにか?」

「ああ。此処と彼処の神的な存在に《転移》の許可は得たよ。で、《転移》中に体をシルケ向けに弄ってくれるって」

「おおお…」

「だが条件がある」

「なっ、…何でもは出来んぞ?」

そこは何でもするって言う所だろう。
家族へ挨拶して許可を得る事。シルケで俺強え出来無い事。そして死ぬ可能性、相手を殺す可能性を覚悟する事。これ等を守ってもらう。

「契約の魔法とかもあるんだろ?」

「あるぞ。あるけどやらんし、売ってる所見た事無いわ。だがそんな契約しなくても殺らなきゃ死ぬし、倫理に外れた事をすれば捕まったり奴隷になったり死罪になる。強い奴なんてゴロゴロ居るからな」

「俺弱えから始まんのかぁ…」

「冒険者ギルドで俺何かやっちゃいました?なんてのは敵作るだけだかんな。成る可く普通で居た方が良いぜ?」

「テンプレあんのかよ」

テンプレ通りの事が起こって逆に驚いたけどな。異世界行った事無い癖にテンプレ作れる作家って凄えと思う。
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