上 下
1,017 / 1,519

ショリショリ

しおりを挟む


 翌日は朝食を食べた後、赤ちゃんのお世話組、施設整備組、一般生活組とグループ分けをして活動する。イゼッタ、サミイ、リア、メイド四人はお世話組、リュネ、ミーネ、カラクレナイ、テイカは施設整備組、リーム、ネーヴェ、俺は一般生活組で、ラビアン達は均等になるよう分かれた。
施設整備組は食休みのお茶を飲んだ後、リュネに《転移》されてったが、お世話組と一般生活組は何時もの生活と差程変わらない。違うのは俺とリーム、おまけにネーヴェだ。
食堂の椅子とテーブルを片付けて、リームにトカゲの脚と化したレッグルートを出してもらう。《洗浄》して床に降ろすと本当にデカい。太っとい茎から芋モドキを外す為、厨房から持って来た包丁で斬り付ける。ゴロりと床に転がるレッグルートに少しホッとする。

「包丁で切れるならまだ食えそうな気がするな」

「カケル、カリカリ焼いて」

「まだ一本しか取れてないからな。美味しいの作ってやるからもう少し待ってなされ」

「ん~」

ネーヴェはカリカリがお好みのようだ。黒糖を使ってない菓子の中では甘い部類に入るからな。
茎を切り離し、くの字部分を切って真っ直ぐにしたら皮を剥くのだが、こりゃあ大変だ。なんせデカいし多いのだ。大型のピーラーが欲しい。
蝶番の材料だった薄い鉄板の残りがあるのを思い出し、加工して治具を作る。ネーヴェははよせいとジト目を向けるが干し肉を供えると其方に集中した。
長細い長方形に切り出した鉄板を丸棒に当てて丸みを付けると、丸みの真ん中をスリットになるように削り取る。それに雑木の取手を付ければI型ピーラーの出来上がりだ。ショリショリ言って皮が剥ける。良き良き。

「便利な物だな。皆はナイフでやっていたが」

「刃物ではあるんだよ。野菜の皮剥きに特化した形ってだけでね」

「我もやろう」

もう一本作って二人でショリショリ。取り敢えず脚一本分、二つの皮を剥いた所で調理と行こう。

「私達も手伝いますよ?」

洗濯機のおかげで時間的余裕が出来たラビアン達が手伝いに名乗りを上げる。俺の手は二つしか無いから助かるぜ。

 厨房へ向かい、あまり使わなくなった小さい鍋を用意する。鍋を火に掛け適量のレッグルートを切り取ると《散開》でペースト状にして注ぎ、掻き混ぜてもらう。放っとくと焦げちゃうからね。

「あの、火加減はこれで良いのですか?」

「昨日も言ったがゆっくり火を通してくれ」

次は金鍔とカリカリ。皆は金鍔の事を四角いのと呼ぶが、別に四角く無くても良いんだぞ?作り易いから四角くしてるが。
切り出したレッグルートを前回と同じく《収納》で薄切りにしながら四角く残し、薄切りと角切りに切り分ける。

「カケルー。はよ~」

もう干し肉食べちゃったか。だがもう少し待ってもらおう。今回ははゆっくり火を通すのと、これ自体が食えるかの試験なのだ。
鉄板を温めて、薄切りを挟み焼きする。角切りは片面ずつ。勿論何方も弱火だ。焼き加減を見てもらう間にもう一品。

「油はあるよな?」

「はいです。今持って来ますね」

シルケの油はねっとりしてて、鉄板や車軸に塗るには丁度良いのだが、食べるのに使うにはちと怖いんだよな。今迄食べて来てお腹壊した事無いから問題無いのだろうけど。
ニトが持って来た油を鍋に注いで火に掛ける。温度計が欲しいが、無いので水を付けた棒を油に差し入れ何となく天ぷら屋さんの気持ちになる。
大学芋って、確か二度揚げだったよな?トンカツも二度揚げだし、今回はそれでやってみるか。何方も作った事無いけど。

 棒から泡が出るのを見て、取り敢えず掻き混ぜてから芋モドキを入れてみる。一気に入れると油温が下がるんだよな?少しずつ入れる。

「撥ねると火傷するから近付かないようにな?」

「「「はーい」」」

切り立てで水分の多いレッグルートがショワショワと泡を立てて踊る。偶に掻き混ぜる。ネーヴェの視線が痛い。きな粉豆乳を供える。黒蜜寄越せと言われて添加する。油を掻き混ぜる…。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...