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前言撤回

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 朝起きて、飯を食ったら弥一の家で紙束を回収し、バルタリンドに向かう。あの野郎、箇条書きで十枚とか前より質問の数が多いじゃねーか。施設の建築の方が優先なので、後回し後回し。
カロ邸に着くとアルネスが迎えてくれる。気付くと壁が出来ていて驚いたそうだ。後でお茶とか持って来てくれるって。お礼にお肉をお裾分け。

 塞がれた入口をぴょいっと飛んで敷地の中へ。今日は一階を作って行こう。基本的にはツーバイフォーで壁を付け、後で窓等切って行く。テクスチャーは後でどうにでもなるからな。
先ずは玄関。ロの字の煉瓦を基礎の上に乗せるだけ。サロンはコの字の煉瓦。同様に厨房と食堂。南に移動し廊下とトイレは追加で個室の壁を建てる。居住区もやらんとな。トイレ同様コの字で囲って壁を付ける。最後に蓋を取り払った浴室の壁を付けて一階部分の壁が出来た。玄関に、煉瓦の壁で蓋をして、一先ず侵入者は入って来れないだろう。

浴室に戻り、岩壁方面を切り抜く。一気にやると崩れそうなので、壁になる部分を切ったら煉瓦を詰めて固めて補強する。壁三面と天井と床を作り、しっかりと固めておいた。岩壁自体も固めておこう。崩れたら危ないもんな。
各区画に出入り口を開ける。トイレは元々空いているが片側ドアを付ける予定。食堂と厨房はドア無しで、居住区は引き戸、その他は観音開きにした。…が、見た目は全て唯の長方形の穴だ。

さて次は、何処に手を付けようか。屋根は最後に付けたいし、二階の床を入れると一階が暗くなる。二階の壁だけ作ろうかと思い立ち空に浮くと、アルネスがバスケットを提げて歩いて来てた。折角だし休憩にすっか。

「アルネス、差し入れか?」

「お茶と摘める物をお持ちしました」

「今入口を開け…」

前言撤回。外にギャラリー集まってた。位置的に壁しか見えない筈なのに何を見たいと言うのやら。アルネスを横抱きにして敷地に入った。…ああ、飛んでる俺が珍しいのか。納得。
アルネスを降ろし、雑木でテーブルと椅子をこさえてお茶にした。甘いティーラテが脳味噌に染みる。豆乳で練って焼いたパンケーキ風ソーサーも仄かに甘くてお茶に合う。ジャム的な物があれば更に良さそうだが、そういや見た事無いな。

「アルネスよ、ジャムって知ってるか?」

「じゃ、む?ですか?」

「果物を甘く煮詰めてペースト状にした物だが」

「成程、糖蜜漬けを刻んで、菓子に乗せて食べると言う事ですね」

「刻むのか。それはそれで食感が出て良さそうだな」

「今では黒糖のおかげで甘味のある生活が出来ておりますが、それ迄は糖蜜漬けなんて上級貴族でしか常用出来なかったのですよ。当家でもご褒美に戴けるような物でした」

「砂糖、高いもんな」

「黒糖でも以前に作れましたが、色が付いてどれも同じ色になってしまいますね」

「白糖、欲しいか?」

「それはまあ。けど利権に触れますよ?」

「だよなぁ。黒糖だってよくノータッチにされてるなって思うよ」

「安い上に下に見られているのでしょう。それに、家政婦組合の力押しがあるのかと」

「有難い事だ。仲良くしなきゃ家の生活ままならんな」

「此処が出来れば仲良く出来ますね」

「そこまで深く考えて無かったんだけどな」

休憩終わり。アルネスを帰して作業再開。お昼を用意してくれるってから、張り切って仕事せねば。

 食堂と居住区の二階の壁をササッと取り付けたら、玄関の屋根兼停車場の庇をひさし 取り付ける。実際は違うが見た目に強度不足なので庇の隅二箇所に柱を立てた。落下防止の柵は一先ず煉瓦ブロックでお茶を濁し、エントランスの中二階を作る。床張って切り抜く。簡単。柱の代わりに三角の補強材を下側から付けてそれっぽくした。こっちの柵は後で作ろう。同様に、食堂の中二階を作った。こっちは幅もあるので柱を三本追加。中々見た目が良い。

「カーケールさぁ~ん」

リュネ?どうやら一人で来たようだ。





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