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三姉妹の趣味

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 軟骨と魔石がセットで二千五百ヤン。全部で五万ヤンとなった。そりゃ塩漬けにもなるわ。金もらって帰ろ。

『挨拶くらいしなさいよね。パ~パ』

愛娘の《念話》に振り向くと、誰かからの貢物だろう、小さな皮製ポスポスを抱いて座ってた。

「良いのもらったな」

「あばぇ~」『甘いのが欲しいわ』

花より団子か、気持ちは分かる。

「今度甘い物差し入れとくよ。ママ達とお食べ」

「あきゃっきゃっ」「あうえ~」

ガンダー共々喜んで貰えたようだ。《洗浄》した手で一撫でし、カロ邸経由で島へと戻った。

「お帰りなさいませ、カケル様。今日はアルネスさんですか?」

「この間はカロだけだったからな」

「ホイットニーさんの匂いもします」

「ホイットニーさんの串焼き食ったからな」

「エメラルダスの匂い…」

「見てわかるだろ?鎧直してもらってんだ」

「ですが、致してませんよね?」

「他に客が居たからな」

「居なければ、致した、と…」

「したな。しなかったおかげでギルドで依頼こなして来たぞ」

「それは、皆様に報告せねば。食事の支度はもう暫く掛かりますので、それでは」

何故それを報告する必要があるのか。

「カケル、仕事した。えらい」

 まるで俺が仕事してないみたいじゃないか。夕飯を食べながらの会話は、殆どが仕事絡みの話となった。

「旦那さま、それで何をして来たんですか?」

「サミイは知ってるよな?シースケルトン」

「ああ~。たまに街の海岸にも出るみたいですね。倒すの大変だって聞いた事あります!」

アレ、大変なのか?ノノペディアに拠ると、物理的な攻撃に強い上に水魔法に耐性があり、鈍重な割に積極的に人を襲うので冒険者も逃げる魔物であると言う。

「そんな魔物が一匹二千五百ヤンか。安過ぎだな」

「カケル様。一体倒せば一日の寝食とお風呂が得られます」

「成程な。テイカは狩ってた口か?」

「はい。刺突に向いたダガーでグサッと」

バルタリンドに来た頃は採集物ばっか調べてたけど、その頃だったら旨味があったのだろう。今だったらドラゴンブラッドだって採りに行けるな。

「わたしも早く討伐依頼してみたいです!」「カララもなの!」

「カラクレナイはともかく、サミイはまだFなんだろ?つか依頼請けてんのか」

「カララちゃんと一緒に三回やりました!リュネさま達が付き添いしてくれたんですよ」

「葉っぱいっぱい取ったの!」

「私達もFランクですからねぇ」

「うむ。コツコツ貢献を貯めているぞ」

三姉妹の趣味となりつつあるようだ。サミイがどうしてもって強請るので、討伐じゃない依頼をまた一緒に請ける事になった。

「三人共来るのか。それにしてもその格好は…」

 翌日。食堂に気合いの入った装備のサミイと動きやすい格好のカラクレナイ。そして装備を着込んだ三姉妹が現れて、そんな台詞を発してしまう。

「作っちゃいましたぁ」

作っちゃいましたか。見た目生皮のような生成の皮の服の上下だが、シンプルなだけに何を仕込んでるのか皆目見当も付かない。

「主様よ、唯の服だぞ?」

「リュネが作ったのにか?」

「我等に装備が必要だと思うか?」

「まぁなぁ…」

「一応、冒険者に見えるような物に仕立ててもらった」

「カケルさぁん、冒険者に見えますかぁ?」

「三人共美人だからナンパされないか不安になるよ」

「うふ、近付けさせませんよ」

だろうなぁ。リュネはバルタリンドでは崇められてるからな。迂闊に近寄れば信者が黙って無いだろう。

「旦那さま、行きましょう!」「行くのー」

土産を持ち、寝具店経由で転移門を潜ると、部屋の外でエージャが縮こまっているのが《感知》された。

「エージャ、入って来い」

「え、あ…。はい。失礼します。皆様いらっしゃいませ。サミイ様もお帰りなさいませ」

「ママ上に挨拶なの!」

「旦那さまは来なくて良いですからねー」「はよなの!」

サミイとカラクレナイがママ上殿の部屋に向かうのを見て、三姉妹は客間へ。俺はペニスケを外した。

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