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心を折る

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「お前等、今の時点でどれくらい稼げた?」

 階段部屋にて休憩しながら四人の戦果を聞いてみる。

「ん…、何時も通りかな?」

「此処でもう一稼ぎして戻れば普段通りって感じだぜ?」

「ならさ、ダンジョン泊の経験は?」

「んなモンねーよ。金が倍掛かんだぜ?」

「稼げんのは分かっけど、持ち切れねーよ」

四人の収納はポーチにディバッグサイズの皮袋が各自一つずつ。そこに魔石やドロップした鉄屑を入れてズッシリしていた。バッグに入り切れない長物は捨てたりしてて、勿体無いと思っていたのだ。

「携帯には不便だが、こう言うのがあると良いぞ?」

俺はずっと以前に作った背負子を出してやる。

「げっ!収納魔法かよ!」「そっちが欲しいぜ」

「マジックバッグが出るまで潜るしか無いな。稼いで良い装備を集めて、準備を整えて潜るんだ。稼いでマジックバッグを買っても良いしな」

「な、なるほど…」

「その為に出来るだけ売れるモンを持って帰る。その為の背負子だ」

「カケルも苦労してんだな」

「盾使いのドアップが時間稼ぎしてる間に残りが背負子を外して戦列に加わる感じだな」

「やってみよう」

背負子を背負ったドアップが、盾を構えてシミュレーションしだす。もう要らないしくれてやるか。

「ジョンは此奴等くらいの頃はどうしてたんだ?」

「俺か?他の奴等と変わんねーぜ?それこそカケルと変わらんよ。違うのはポーター雇ってたくらいだな」

「ポーターかー」「役立たずじゃん」

「荷物の上げ下ろしが無い分役に立ってるだろ。サブマス見習いのルイス居るだろ?彼奴は元々ポーターだったんだぜ?」

「マジで!?」「あのルイスさんが!?」

「依頼の報酬でマジックバッグ貰ってな。体力も腕力もあったから前衛にコンバートさせたんだ」

ルイスって盾持ちの男だったよな。彼奴サブマス見習いになってたのか…。


 休憩が終わり、もう一稼ぎ。しっかり回復させたので、まだ攻撃に余裕はあるが、細かいダメージをもらいだしている。

「カケルならどうする?一般的な冒険者だとして」

「飛び道具で減らしてからボコボコにするな」

「だよな」

ジョンの問いに答えると、正解を貰えたようだ。

「お前等!終わったら集まれ!」

「「「「おう!」」」」

「今からカケルが援護に付く。指示に従って戦ってみろ」

「え?」「え?」「え?」「え?」「え?」

戦い終わって集まる四人にジョンの指示が発せられ、ダンジョン内に五人の声が木霊する。

「俺かよ」

「出来るだろ?俺飛び道具無ぇし」

「はぁ。まあ良いか。お前等、良いか?」

「……」「ジョンさんの命令でもなぁ」

「連携ってそんな簡単じゃねーっスよ?」

「練習も無しに命預けるのは、ちょっと…」

「安心しろ。指示に従えば殺しはしない」

「「「「!?」」」」

少年雑誌のヤンキーみたいな顔してメンチ切るガキ共に、脱糞レベルの《威圧》をし、空かさず《結界》で囲う。臭いから。

「死ぬか、従うか。俺はどうでも良い」

「依頼失敗は評価下がるぞ?」

「ジョンは甘いな。学ぶ気の無い奴はすぐ死ぬ。なら何時死んでも構わんだろ」

「だけどよう…。お前等、どっちが強ぇか理解出来たか?」

「あがっ!」「がぎぎぎ…」「げぇえっ!」「ぶがぁ」

「ダメだ、言葉になってねぇ。カケル、解いてやってくれ」

「まだだな」

脱糞し、水下痢を噴き出し、呻く気力も亡くす程、心を折る迄苦しめて、漸く《威圧》を解いてやる。

「ほれ、敵だぞ?立てよガキ共」

反応の遅いガキには小石がビシビシ飛んで行く。糞塗れで立ち上がる。覇気も糞も無い顔だ。

「盾役は敵の前に出ろ。三人は後ろに控えろ」

敵に向かってよろよろと、四人が隊列を組んで行く。遅いので小石が飛ぶ。

「敵が待ってるからってトロトロすんな」

敵は待っている訳では無い。《結界》で囲って動けないだけだ。得物を構えて鼻糞並のやる気を出す四人に小石が飛び、《結界》を解除した。
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