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慣れてない

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「どうやらそのようだな。タマリー、頼めるか?」

「ははっ、任せなよ」

タマリーがシンクレイアの世話をして、俺はガンダーを浮かせて浴室に入る。俺が基礎を作った風呂だから、赤ちゃんには深過ぎる。雑木で盥を作ってお湯を入れて浸けてやった。

「ふぇー…」

気持ち良さそうで何よりだ。

「シンクにもそれ、出してちょうだいな」

遅れて来たタマリーのおっぱいに見蕩れながらも盥をとお湯を用意する。

「んむ…ふぅ」

「ちょっと熱かったんじゃないのかい?」

「どうだろうな。湯加減はどうだ?」

「……」

「…可も無く不可も無く、だなきっと」

「湯加減なんて言葉知らないだろうに。悪いパパでちゅねえ」

俺達も掛け湯をして湯に浸かろう。子供達の様子を見ながら浸かって居ると、カロが遅れてやって来た。

「カケル様、遅れまして」

「大丈夫だよ」

「ガンダーにシンク、良いの貰ったわねー」

「あーい」「ぷぁ~」

ママの言葉にはちゃんと反応するんだな。カロが俺の横に並んで浸かり、三人で赤ちゃんを愛でる。水面下では女達がアイツをにぎにぎ、俺は二人のお尻をなでなでし、ゆっくり体を温めた。


「カケル様、シンク達をアルネスの所へ、お願い出来ますか?」

 湯上がりし、《洗浄》で体を乾かした俺にカロが子供達の移送を請う。タマリーもだが髪を乾かすのに時間が掛かると言うのだ。

「厨房に居るかな?」

「かと」

タオルに包まれた子供達を浮かせると、モゾモゾして芋虫みたい。浮いてる感覚が珍しいのだろう。嫌そうでも無さそうだしこのまま連れてくか。

『シンクレイア、聞こえるか?』

「……」

 母親達から離れて少し、廊下を歩きながらシンクレイアに《念話》を飛ばす。

「あだば」『貴方も使えるのね』

「声を出さないようにな」

「んぶ…」『慣れてないのよ』

『練習相手が出来て良かったな。俺も聞きたい事出来たし』

『予想は付くわ。私が何者か、でしょ?』

『何時目覚めた?』

こっちの方が重要だ。

『さあね。目が見えるようになる前から意識はあったわ』

俺の蘇生は、失敗だったのか…。

『私も聞きたいわ』

今度はシンクレイアが問う。

『何者よ、貴方。父親なのは理解してるから、それ以外の答えを求めるわ』

『異世界転移』

『成程ね。貴方もなの』

『少し特殊だがな。お前は転生だな』

『そうなる…わね。少し特殊だけど』

長話出来る程カロ邸の廊下は長く無い。話の途中で厨房前に着いてしまった。

「続きは後でな。アルネス~、居るかねー?」

「はーい、只今」

厨房から出て来たアルネスに先導され、子供達の寝室に向かう。客室の一つを子供部屋にしてるそうだ。

「言ってくれれば俺一人で出来るのに」

「お召し物の場所、お分かりですか?」

「アルネスが居て良かったよ。何時も助かってる、ありがとう」

ムチュッと唇を合わせて舌を絡ませる。

「ばぁば~」『貴方、アルネスにも手出しを…』

『一夫多妻に妾に奴隷』

『信じらんない…』

子供用ベッドに寝かされ着替えた二人は直ぐに夢の世界に溶けて行った。

「この子等の夕飯はギルドで済ませてんのかな?」

「はい。執務室で授乳等済ませてからお帰りになられると伺っております」

「そろそろ乳離れとか離乳食も必要だよな」

「ええ。家政婦組合に色々と聞いております」

「必要な物があったら言ってくれ。売ってない物でも、こんな道具が…みたいなのがあれば作ってみるから」

「感謝に堪えません」

食堂へと移動すると、カロにタマリーが待っていた。

「遅れまして申し訳ございません。只今お食事をお持ち致します」

「急ぐ必要は無いけれどお腹が空いたわ」

「直ちに」

席に着き、並べられた料理を皆で食べ、片付けは皆で行った。俺が《洗浄》したのを女達が仕舞うだけだが、アルネスの負担はだいぶ減った事だろう。
湯上りのアルネスを交え、四人で夜更け迄楽しんだ。
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