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生存率

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 その場の敵の処理を終え、歩きながらネックチョッパーの効果を聞くと、倒した敵が受けた場所とダメージを近くに居る者にも与える…と言う効果だそうで、首狩りで一撃必殺なマルーンにはお誂向きと言っても良い魔剣である事が分かった。但し相手が複数居て、且つ単独に近い位置取りでやらんと何処に飛び火するか分からんトンデモ武器であるが。

「使う時は余程気を付ける必要がありますね」

「数が少なくなったら下がって交代だな」

「指示をしっかり飛ばしてやれ」

「…分かった」

不安である。その後、多少伸縮する長剣をキャストルが、質量のある幻影を出す盾をドータンが入手して、遂にレッサードラゴンのエリアボスの部屋に着く。

「行けるのか?」

「ダメそうなら俺が殺る。その代わり、先には行かないからな」

日和ったルウェインにトドメを指す。此処で殺れなきゃ行くだけ無駄だからな。

「カケル、俺も見物か?」

「そうだなー。ジョンもこの程度なら余裕だろうし、見学だな」

「おいおい、六人で殺れるモノなのか…?」

それは実力次第だな。

「カケル、口出しくらいは良いだろ?」

「良いんじゃないか?」

ジョンが指示を出すようだ。生存率、上がったかな?
軽く打ち合わせをしてボス部屋の扉を開ける。魔法陣が光って魔物が出て来るのはどのボス部屋も一緒だが、全部出るまで待つ必要は無い。前衛が駆け出すと同時に魔法役は詠唱を始めた。

 結果としては負けだ。良い盾であっても部屋が広くては守りきれない上に手数と射程が足りなかった。

「なあ、カケルならこの面子でどう戦った?」

ドラゴンスラッシャーで一刀両断したジョンが俺の意見を聞く。この面子でどう戦わせるかを聞きたいようだ。

「俺なら戦わんが、どうしてもって言うなら、扉に石でも咬ませて何時でも逃げられるようにするかな。後は、強化魔法は戦闘前に使うべきだし、最優先で落とすのは翼だろうな。翼で飛んでる訳じゃ無いが集中力を奪えるし、地面に居る時に落としておきたい」

「成程な。聞いてたか?」

「部屋の外で強化魔法を使うって事か」

「ダンジョン…慣れてない、から、見落としてた」

「この街で稼いで行くなら覚えとかなきゃねー」

「ドロップの通り、ダンジョンは稼ぎが良いんだが、外の依頼は受けた方が良いよ」

「そうだな。被害があるから掲示板に貼られる訳だしな。それに、ダンジョンの獲物は馬鹿だから、此処で慣らされちまうと後が怖いぜ?」

ドロップを漁り、休憩したら地上へと上がってく。駄々捏ねそうと思ってたマッチョボーイズも、次のエリアの話はジョンの冒険譚で理解している。飛んでるトカゲが群れ成してるエリアでこれ以上の戦いは出来無い事を悟ったようだ。
女達はトカゲとは関わらないようにするらしい。今回程の面子には野良パーティーでは早々巡り会えないからだそうだ。

「あ、そう言えばジョンの仲間達は何やってんだ?」

「ああ、それな?タイミング悪ぃ事に旧王都に行っちまってんだ。彼奴等が居れば街を潰される数が減ったかも知れん。ま、王命だから仕方無ぇがな」

強くなったのかと問うと、ジョンは微妙な顔をして、ダンジョンで集めた魔剣魔装が強いのだと零した。

「そうだ。魔剣は見せびらかさない方が良いぞ?自慢話も止めとけ」

「何故だ?」「武勇の証だろうに」

「妬まれて貴族にでも知られてみろ。俺みたいにトカゲ丸一匹盗られちまうぞ?商売道具なら尚更だ」

「成程。ですと、ジョン殿のお仲間は危険なのでは?」

「まさか。そう易々と負けたりしないが…ああ、そうか…。カケルは盗られたんだもんな」

「ハークの親だから見逃したが、そうで無ければ城の男全員消滅させてたよ」

「危うく仇になる所だったか。弟が居てな。下っ端だが衛兵をやっているんだ」

世間は狭いな。旧王都で依頼をくれた衛兵がルウェインの弟、ダンクレイであると言う。

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