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そのまんま
しおりを挟む「しかしなぁ…」
部屋に居たゴーレムを全て《収納》し、分解して戦利品を見てみるが、とにかく金属が少ない。此処に居るゴーレムはストーンゴーレムって奴なのだろう。石の中に僅かに含まれている鉄や銅が採れただけで、金属はお終いであった。
移籍の中をうろうろとゴーレムを《収納》して回り、地上は全て見終えたが、結局ストーンゴーレムばかりだった。ダンジョンだと普通のゴーレムでもドロップで銀とかを落とすので、やはりダンジョンの方が効率良く集められるかも知れない。
(他を探すか…)
完全に諦めて居た俺は、迂闊にも地面に足を付けてしまっていた。《罠感知》は使い続けているので罠は見付からなかったが、地面から生えて来た幾つもの円柱が変形しゴーレムとなって襲って来た。
「遺跡の仕掛けが生きてるなんて、どんだけ丈夫なんだよ…」
少し驚いたが敵じゃない。サクッと《収納》したゴーレムは全部で十二体。魔石と皮っぽいヤツ、それとほんの僅かな鉄が獲れただけだったが、遺跡の床には十二個の穴が空いてしまった。
「地下でもあれば良かったんだけどな…」
《感知》で見て分かっては居るが、期待を込めて穴を覗いてみるも、結果は変わらずであった。
考えてみれば当然だ。抑の話、全身ミスリルで出来たミスリルゴーレムなんてのが居たとして、そんな高価な金属どうやって集めて来るのか。ミスリルを含んだ我が家の裏山にも居ないのだ。リュネの話に嘘は無いだろう。だが、そう易々と見付かる物でも無いのだろうな。
穴の中に煉瓦を詰めて、遺跡を後にした。
「あらぁ、残念でしたねぇ~」
自分が何処に居るか分からなかったが、帰る手段はあっさり見付かった。リュネ達の魔力を探せば良いのだ。俺の戦果を聞いてニコニコと残念がるリュネは、俺が《感知》で見付けると一瞬で隣に転移して来た。で、一瞬で帰って来れた。多分二度と彼処には行けないだろう。
夕食後、お茶を飲み飲み戦利品を並べると、クラフト好きなネーヴェが目を輝かせて皮っぽいのを伸ばしてる。
「これ、ゴーレムの素材。いいやつ」
良いヤツなのか。ゴーレムから採れたのだからそのまんまだが、良いヤツだったなら良かった。
「リュネ、これ何なんだ?」
「錬金に依って作られた皮ですね。伸び縮みするので関節を覆ったりするのに使えるんです」
ゴムっぽい人工皮革って事か。因みにゴーレムの核は普通の魔石だった。元商業ギルド職員のシャリーが見た事無いと言うので、ネーヴェだけで無く人の子の中でも価値ある品物であるようだ。
「カケルゥ~」
「はいはい、持ってけ」
「カケルだいすき~」
「カーケールさぁ~ん」
「仲良く分けてくれ」
「カケルさぁん、だあい好っきぃ」
ネーヴェとリュネに賄賂を贈り、あのダンジョンへ潜る事を許可された。まあ、暫くは行けないけどな。
「ああ、そうだ。主様よ。街の外周の件、進めてくれとの事だ」
「おお、もっと時間が掛かるかと思ってたけど早かったのな」
「只で家が貰えて治安が良くなると聞けば嫌がる者も居るまい」
「家賃、取りたいな」
「旦那様よ、それこそ税だろう?」
「住民税かー。貨幣流通が軌道に乗ってからだろうなぁ」
「カケル様、異邦人等が税の対象から外れてしまいますが、宜しいので?」
「流石為政者だな。その為に家賃って名目にしたんだ」
「宿代の何割かが、税?」
「そう言う事。イゼッタも冴えてるじゃないか」
リアもイゼッタも、その手の学は積んでいるようで俺の考えを汲み取ってくれる。兎にも角にも今は無理だが、その内な。
その夜はイゼッタとリアにご褒美セックスして、サミイも可愛がって寝た。
翌日。朝食等諸々済ませた俺はリームとミーネを伴ってウラシュ島へと向かう。
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海を渡って街に着くと、ボーデンフェルトが待っていた。
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