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白熊

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 お姉さんの説明を受けてやって来た部屋は全面石造りで、削れた岩が剥き出しの部屋だ。部屋の中央に丸い柱があって、それを囲むように木で作られたテーブルが嵌め込まれていた。そして床には毛皮の絨毯。ベッドは柱越しの死角に二つ並んでる。中々に趣があるじゃないか。

「防音はバッチリだな」

「そう?」

「俺の耳だとな。ワーリンは隣からアンアン聞こえてたりするか?」

「アンアンは無いけどさ。ゴソゴソしてるのは聞こえるかな」

「じゃあ静かにしなきゃな」

「ん、だね…」

とは言え直ぐには到せない。ワーリンが実家に行くからだ。

「取り敢えずお湯浴びて来るよ」

「俺はコレがコレだから《洗浄》で済ますよ。入っといで」

「あ~い」

受付のお姉さんに依ると、浴槽のある風呂は無いがお湯が天井から流れて来るのを浴びるらしい。打たせ湯しか無い風呂だそうで、地下から出るお湯を使ってるのだと。源泉かけ流しとはやりよるな。
ワーリンが湯浴みに出て行き俺一人。寝るしか無いのでベッドに横たわる。夕飯どうするかなぁ…zzz

「あ、起きた」

 目が覚めて、ワーリン帰って来てた。

「起きた。お風呂どうだった?」

「こっちはあんま人居なかったよ。商人トコの嫁さんと付き人くらいかな。男の方は見てないけど、こっちよりか混んでるんじゃねーかな」

「何方にしても行けないな。家には何時行く?」

「行っても飯無ぇだろうし、明日でも良いかな~」

ワーリンがそう言うならそうするか。パパリン待ってると思うんだけどな。二人で食堂に向かう。
食堂では既に酒を浴びる客でごった返していて座る所が無い。酒場としても営業していて地元の酒飲み達が利用しているのだろう。明らかに冒険者や鉱山傭兵?みたいな出で立ちの奴等も居るしな。

「あ、お客さん」

「ん?」

声を掛けて来たのは受付のお姉さん。俺達が食堂に入ろうとして立ち呆けてるのを見ていたようだ。

「ああ、座る所が無いのですね。宜しければお部屋にお持ちしますよ?」

「それなら頼もうか。仕事が終わってるならお前の分も頼んで良いぞ?」

「嬉しいですが此方は賄いが出ますから…。お酒だけ、お願いしても?」

「構わないよ。ツマミも頼んどいてくれ」

「はいっ」

食事を頼んで部屋に戻ると、少ししてウェイトレスがカートを押して料理を運んで来た。白くて丸耳、もふもふヘアーの熊の獣人だ。デカい。

「お待たせしましたー。料金は…「キキラ?」え?………ワーリンかよお前ぇ」

地元の友達のようだ。ウェイトレス姿の白熊が犬にパンチするのを掌でペシペシと叩き落としてる。これはじゃれているのか?楽しそうだからじゃれてるのだろう。人なら死ぬ。
ワーリンより少し大きい白熊が、ワーリンをベアハッグした。これも人なら死ぬな。

「感動の再会な所悪いんだが…」

「あ、ああ。んっんっ、只今お料理をお出ししますね。料金は五千八百ヤンとなりますー」

「ボッてねーか?」「ねーよバーカ」

仲良しさんだな。

「ギルド証使える?」

「下に降りないと使えませんね」

「異国の金ならあるんだが、ダメなら下で払って来るよ」

「すみませーん、ギルド証でお願いします」

料理を並べた白熊娘と下に降りて行く。ワーリンより大きいので俺より大きい。前を行く彼女のスカートの中で、尻尾がぷりぷりしておられる。

「お客さん、アイツとはどんな関係ですか?」

「良い仲だよ」

「もしかして、結婚…とか?」

「妾だよ」

「…それって、酷くね?」

振り返って見下ろす視線が鋭いな。

「妻達公認で皆仲良くエッチしてるよ」

「体だけ?」

「心も体もだ」

「軽そうな鎧で体を隠して、強そうには見えないけど。幸せに出来るの?」

「これ殆ど防寒用なんだ。それに俺はそれなりに強いぞ?」

「へぇ…。後で顔貸してよ」

「後で少しだけな?お金払わなきゃ」

そう言う展開はパパリンなり地元のがすべきなのでは無かろうか?




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