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龍の天敵

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「なあリュネや、お前の《収納》に入ったダンジョンのトカゲは、出すとどの状態で出て来るんだ?ドロップで出るのか?」

「初めてなのでどうなってるか…。少し確認してみますね」

 初めてだとリュネは言うが、中でまだ生きてたらびっくりだよな。解体されてる可能性もあるが、出したら煙に変わるのだろうか。

「は?もう殺っちまったのか…ですか?」

「ちゃんとドロップに変わってますね。出してみます」

ジョンの驚きを一瞥し、リュネがドロップを出した。五十八匹分の魔石に武器防具、アクセサリーに素材。

「魔石だけで二億は超えるな…」

「これはリュネのだから売らないぞ?」

「あ、ああ。それは問題無いぜ」

「こっちのは要らないのでどうぞ~」

魔石を見て機嫌の良くなったリュネが残り物をくれると言う。これは後で改めて検めようって事で俺が《収納》した。

「少し休憩したら下に行くぞ」

「はぁい」「お、おう」

「ジョンくん、久々のトカゲはどうだった?」

「当たったら死ぬな。ブレスを見て思ったんだが、鎧は持っても中身が焼けねぇか?」

「まあな。俺みたいなフルフェイスのフルカバーでも目は焼けると思うぞ」

「鎧の構造がダメだって事か。目と口はどうしても防げんから真面に食らったらどんな鎧でもダメなんだろうな」

「対抗出来る素材があっても試す機会は無いからな」

「ここに居ますよ?」

「ブレス吐くのは頼むよ。けど素材はネーヴェの鱗。俺尻尾しか見た事無い」

「ああ、そう言えばクリスタルドラゴンの鱗でしたら透けてますね」

「バイザーにすんのか…」

「ネーヴェが龍に戻った姿は見たいけど、痛い事したくないからやらん」


 休憩を終えて亀裂へと飛んで行く。が、やはり亀裂。下は見えないし、壁沿いに階段があるでなし。唯、何となくだが亀裂の始まりの方からならチムニーで降りられそうな感じはする。
まあ、浮いて降りるけどな。

「カケル、下が見えんのだが」

「そうだな。多分だが、下の階とは空間が違っているから見えないのかも知れん」

「不思議ですねぇ~」

荷車を取り出して乗り込むと、浮かせて下に降りて行く。後部出入口から三人並んで下を覗いて居ると、少しして光が見えて来た。

「あの先が下の階ってか」

「多分なー」

しかし二人の予想は外れる事になる。遠くにあるように見えた光が突然近付いて、若しくは巨大化し荷車を包み込むと、突然ダンジョンの部屋へと変わったのだ。目が慣れるまでジョンは唸って居たが、俺とリュネは《感知》等で見えるので辺りを確認する。場所はよく見る石壁のダンジョンの部屋で、上向きの階段と外に繋がっているのだろうドアがある。階段を荷車で上がるのは幅的に無理だな。

「ジョンくん、平気か?」

「ああ。慣れて来た。今度は真っ暗か」

「灯り着けるから目を閉じてくれ」

「おう」

光の棒に魔力を込めて、部屋を明るく照らす。色の付いた部屋はやはり石の色をしていた。
目を開けたジョンが降り、荷車を仕舞って先へと進む。《罠感知》に反応無し。ドアをそっと開けながら《感知》でフロアを見渡した。

「カケルよう、こりゃあトカゲは流石に居ないよな」

「だな。こう通路が狭くちゃ身動きも取れまいよ。だが小さいのは居るな。トカゲより強いとは思えんが…、リュネはどう思う?」

「う…、ナマコ…」

「ナマコ?何ですかそれ」

「リュネが嫌いな生き物だよ。アレモンスターだったのか」

「いえ、魔獣化したモノでしょう。魔石の反応があります…」

「龍の天敵ってヤツか?」

「リュネが嫌いってだけだよ。美味いんだがなぁ」

「出来れば絶対食べたくないですっ!見るのも嫌です!カ~ケ~ルさぁ~んっ」

俺の腹にタックルかましてまで見たくないご様子。リュネが嫌だと言うのなら、此処より先に行くのは止めよう。ジョンを背負い、リュネをお姫様抱っこして階段を飛んで上がった。

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