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イチャイチャしてるカップル

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 クリューエルシュタルトを離れ、空に上がって学園に向かう。

「カケルさんの背中、温かぁい」

龍を背に乗せライダードラゴン状態で飛ぶ。《結界》のおかげでノーズコーン無しでも目が痛くならない。良いスキルだな。
結構な速さで移動して、シューンシューンズデーゲンにやって来た。そろそろ昼だと腹時計が告げる。

「学園に行く前に飯食ってこうか」

「はぁ~い」

前に来た、混んでた店に入る。今日も混んでるな。空いてる席がカウンターしか無いが、二人きりならそれも良いだろう。腕にくっ付かれて座っていると、忙しくしてるウェイトレスがメニューを持って来たのでお勧め料理を幾つか頼んで金を払う。忙しくて少し横柄になっていたが、俺が素早くメニューを選ぶとにこやかに厨房へと向かって行った。

「カケルさぁん?」

「なぁに?」

「私が居るんですから他のに目をやらないでく~だ~さい」

「は~い」

イチャイチャしながら飯を食ってお腹一杯。店を出て、腹ごなしに街をブラ付いて学園へと向かった。

 学園の門は今日も固く閉ざされ、衛兵が異常は無いかと待ち構えている。

「何だお前等?」

「イチャイチャしてるカップルだ。何時見ても良い門だよな」

「重みがありますねぇ」

「ちっ、デートかよ」

「否、実は仕事なんだ。クリューエルシュタルト冒険者ギルドからの依頼で来たカケルだ」

「リュネでぇす」

依頼書を見せると中に確認に行くと言って門前で待たされる。おかげで前回ちょっとしか見られなかった門をじっくり凝視出来たよ。

「色は好みじゃありませんが、デザインは良いですよねー。重厚感も良いです」

「リュネは白っぽいのが好きなんだよな?」

「自分の肌色が好きになる龍は多いですよ」

「カラクレナイはやっぱり赤が好きになるのかな?」

「白とピンクが好きになるようにしています」

通りでそんな色の服ばかり着てる訳だ。可愛いので許す。が、偏るのはいかんな。

「差し色に黒や青、緑を入れても栄えると思うぞ?」

「ふむ~…。それは面白そうですね」

「えーっと、イチャ付いてる所悪いがそろそろ良いか?」

衛兵帰って来てたみたい。入園の許可が降りたそうで小門を開けてくれた。

「問題は起こさんでくれよ?貴族の子女が居るのだからな」

「あー学園にドラゴンでも飛んで来ねーかなー」「止めろ!」

石畳を歩き、前回と何一つ変わらない学舎を眺む。

「此方も素敵な重みがありますね。けど付与が少し弱ってますねぇ」

「トカゲ相手だと壊れちゃうかもな。けど此処の学生程度なら問題無いだろ。それに此処の生徒は学園大好きだろうしな」

「付与したらダメでしょうか?」

「許可は得た方が良いだろうな」

「ようこそおいでくださいました。付与と聞きましたがそこまで弱っておりますでしょうか?」

今回も同じローブのおじさんだ。この学園の校長のプェルメーリさん、だったかな。

「クリューエルシュタルト冒険者ギルドから依頼を受けたカケルだ」

「リュネでぇす」

「カケル殿…何処かで聞いた名ですな…」

「前にジョンと来たんだが、その時は姿を変えるスキルでマッチョになってたんだ」

「?ああ、逞しい方が居りましたが、貴方が?」

「魔力で見れば分かるだろう?」

少し魔力を垂れ流すと、直ぐに汗を垂らして止める校長。

「たっ、確かにこの魔力はあの時と同じっ。それにしても何と濃い魔力…、素晴らしいですな」

「私も出した方が良いですか?」

「止めとけ、子供が泣くぞ」

プェルメーリさんに連れられて、今日は校長室に向かう。

「一際重厚な扉の向こうには威厳を醸し出す空間。絨毯の模様はドラゴンでしょうか?白地に青いドラゴンが描き出されておりますが、これは雪招きのドラゴンとお見受けします。黒く磨かれた壁には数々の盾やトロフィーが並び、学園の歴史、そして生徒達の優秀さが見て取れます。正面の机を明るく照らす大きな窓は正に照明要らず。背中を暖かく包む日差しが心の温かさを映すようです」

「カケル殿はやはりカケル殿でしたな」

校長もホクホク顔である。






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