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喜びの声
しおりを挟むそれからの三姉妹は、行動を普段より少しだけ控えてもらう事にした。勿論ネーヴェも激しい運動等は控えてもらう。
「主様よ。我々は龍だ。雌に腹を殴られるような事でも無ければ問題は無いのだぞ?」
「体に結界を張りますので大丈夫です」
「心配してくれて私は嬉しいぞ。だが気にする程でも無い」
「ん」
「そうか。なら取り敢えず戦うのだけは控えてくれ。心配で俺の毛が抜けてしまう」
「魔法で生やす。もんだいない」
そんな素晴らしい魔法あるのか。是非とも覚えたい。
それから数日の内に、ミーネ、リュネ、リームの順で妊娠が発覚し、各々が喜びの声を上げた。
「我の中に主様の命が宿った。こんなに嬉しい事は無い」
最後に孕んだリームはそう言って涙を流した。よしよし…。
「人の姿で孕むと産まれるまでの時間は人と同じになるのか?」
「さあな。私も母も、人の姿で産んだ事は無いからな」
そりゃそうか。ミーネはカラクレナイが初産だし、ママ様は人との触れ合いは無さそうだしな。
「確かにな。人はトカゲ食うと産む迄の時間が伸びるようだが、トカゲや魔力と何か関係あるのかな」
「人の子程度の魔力ではそう変わる事は無いと思うが、島の者は明らかに遅かったな」
「カロやママ上様も、ゆっくりでしたねぇ。カケルさんがトカゲを食べて致したから、かも知れません」
「元々魔力たっぷり」
「成程な。俺の魔力のせいもあるのか」
「カケルー。カララも赤ちゃん欲しいの」
カラクレナイが背中に乗って圧を掛ける。筋力トレーニングを欠かさなかったおかげでスキル無しでも腕立て脚立て出来るようになったよ。
「俺も龍の姿でエッチしてみたいけど、終わるまで何日掛かるか分かんないから、今はちょっと我慢かな。それにカラクレナイはもっと遊んで良いと思うよ?一杯遊んで、お友達も作って、それからでも遅くないからね」
「ん~、分かったの」
「旦那様よ、龍の性交は大体十日程、私の場合は十四日掛かって終えた。早ければ勇者の召喚には間に合うだろうが旦那様の事だ、倍は掛かるだろうよ」
「私はもっとしてたいです~。ふふっ」
そう、勇者召喚まで後十日。そろそろ暗部と繋ぎを付けたい所だ。タイメワノールに行かなければならん。さてどう行こうか…。
翌日。俺とリュネ、そしてネーヴェがタイメワノールへと向かう為、俺の背中に二人が乗って移動する事になった。
「ああ、カケルさんの背中、硬くて素敵ですぅ」
「リュネのスベスベな鱗も素敵だよ」
「カケルさぁん、用が終わりましたらぁ、龍の姿で…ね?」
「良いけど、龍の姿で中出ししたら人の胎児に影響出ないか?」
「んん~、出ないとは言い切れません…。ぐぎ……」
「産まれるまで我慢させてしまうが宜しく頼むよ」
「はいっ、必ずです!」
「カケル、いーこ産む」
リュネに《阻害》を掛けてもらい、魔力を漏らさぬように高高度を飛んで行く。《結界》で覆って空を飛ぶのは俺くらいのモンなのだそうで、普通は風魔法で覆うのだと。イゼッタもそんな感じで飛んでるけど、俺風魔法使えないもん。因みに《威圧》の壁は酸欠するから使えない。似て非なるモノなのだ。
タイメワノールに近付くと、森の樹冠に薄く伸ばした煉瓦の板を張る。俺の姿じゃ街に入れないしな。ネーヴェ達の寝る小屋を作って取り敢えずの寝床を確保したら、《感知》で暗部の二人を探す。街の外には出てない筈だし、行ってるとしても教会だろう。で、貴様は城に、お前は教会に潜んでた。
《威圧》の手で撫でてやると、ピクンとしてキョロキョロしてる。《念話》で森の中に居る事を告げたので、その内こっちに来るだろう。
夜になり、ネーヴェが薄焼肉を頬張って居ると、暗部の二人がやって来た。
「カケル様…」「凄いですね…」
「お疲れ様。飯食ってゆっくりしてから話を聞こうか」
「「御意」」
ネーヴェよ、焼く場所くらい分けてやれ。
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