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横柄な態度

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 魔王が外に出たく無くなる国を作ってやれば良い。只今鋭意制作中と、そんな感じの事を言ってみた。

「なあ、それってよ、カケルは魔王を生かしておくって事なのか?」

「魔王が敵対しなければ、殺す必要を感じない。悪さしない魔王に、魔王だからって襲い掛かるのか?」

「だからって魔物が力を増して、俺達が手に負えなくなったら街を守れねぇ」

「強くしなきゃな」

「そうだけどよぅ」

まあまあ、落ち着いて茶でも飲め。甘納豆でも出してやろう。

「カケルさんや、魔王と勇者は何処に出るんだい?あ、こりゃ甘くて美味しいねえ!」

疲れた時は甘い物。お婆ちゃん元気が出たようだ。

「聞いてないから分かんないな。トカゲ狩りが終わったら聞きに行く予定なんだよ」

分かったら直ぐに教えてくれ、だとさ。何時変化があっても良いように明日からでも準備しとけって返しておいた。


 婆ちゃんにせがまれて甘納豆を袋毎くれてやり、俺とジョンは外に出た。そろそろ昼飯食べたいからな。

「ジョンくんは、美味い飯屋を知ってるか?」

「とんと来て無い俺に聞くなよ」

こんな時は自分の鼻を頼るしか無い。《強化》を使い、匂いを探して街を行く。ああ、匂う。可愛い男児と女児の匂いだ。《龍化》してるからだろう、意識すると五感がかなり上がってて、あの二人が居る所まで匂いで分かってしまう。けど先ずは飯。焼ける肉や魚の匂いを辿って歩くと結構混んでる店を見付ける事が出来た。

「お、あれか。混んでるな」

「美味いって事だな。入るか?」

「おう。行くぜ」

店に入り、少し待たされ席に着く。この店はメニュー表がある店のようで、ウェイトレスがメニューの書かれた板を持って見せに来る。

「はいこれメニューねー。今頼まないと次来るまで時間掛かるから」

忙しいからだろう、横柄な態度のウェイトレスだ。

「ジョンくんは決まってるか?」

「席に着いたばかりだぞ?」

「そうか。なら皆が頼んでる肉料理を四人前とそれに合いそうなスープを二つ、後ソーサー三つに水を二つくれ」

「焼肉四つとキノコスープ二つ、ソーサー三にお水二ね三千六百ヤンね」

銀貨四枚出すと銅貨四枚返して厨房に注文を告げに行くウェイトレスの尻を凝視する。

「好みもクソもねぇ注文だな」

「食えない料理は出すまいよ」

「確かにな。所で酒は頼まんのか?」

「狩りに出て酒飲んで帰って来るとかナニしてたんだって思われるぞ?」

「そう言や狩りに来てたんだったな。もう龍とやるのは勘弁だぜ」

「戦ってみて、どうだった?」

「躱すのがやけに上手ぇと思ったよ。鱗は斬れたがそれだけだ。外のドラゴンはそこまでやんのかって思ってたが、完全に遊ばれてたな。カケルがやった時はどうだったんだ?」

「当たったら確実に死ぬ攻撃を避けながらの投石。鱗を割るのがせいぜいって感じだな。死角から巨石を落として何とか認めてもらったよ」

「それネーヴェ様か?」

「リュネだ。ネーヴェとは戦いにもなって無いぞ?目が合ったら魔力を死ぬ程度吸われてた」

「生きてるじゃねーか」

「俺はな。現地のギルドでAランクの馬鹿が吸われて死んだ。龍並の魔力を持ってて、且つ、魔力の回復スキルが無かったら死んでたよ」

「他にも居るんだろ?戦わんのか?」

「二人はリュネの姉だが、長女は無理だな。彼奴が飛ばす石ころが見えない。次女は勝てると思う。因みに長女の娘は可愛いので俺は勝たない」

「少年隊だっけか、彼奴等ネーヴェ様に勝ったんだよな?」

「ああ、俺と彼奴等は長女の特訓を受けたからな。キツかったぞ?飯時に言える内容じゃ無いがな」

「羨ましいぜ…。俺も龍の仲間が欲しいぞ」

「此処に居るだろ」

「お前元人じゃん」

「今でも人だけどな」

「龍の背中に乗って無双して…ってよ。ガキの頃憧れてたんだ」

「それ、殆ど龍任せだよな」

「…今思うとそうだわ。なんか格好悪ぃな」

龍と行動を共にすると、人の無力さを感じざるを得ない。そんな話をしていると飯がやって来た。
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