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サンダルよりはマシ
しおりを挟む「カケルさんにも服を作ってあげましょうか?」
リュネの提案は有難いが、フリフリとか付けられそうだよなぁ。
「フリフリして無いならお願いしようかな。材料はあるのかい?」
「皮ならたぁっぷりありますよ」
生皮か。大物ではトカゲとデッドサーチャー、小物だと白い四足、牙の生えた四足、角の生えた四足、人の子で言うウォリスみたいなのがあると言う。
「四足…。俺も野獣とかの名前には明るくないが、一体何なんだろう?それにしても何で取ってあるんだ?」
「カケルさんが、お金に困った時用です」
「お、おう…。ありがとうな?トカゲは赤いから他のが良いな」
「でしたら白い四足ではどうでしょう?カララちゃんをふわふわのもふもふに…と思って獲ったのですが」
《収納》から出した生皮は手足と顔が無くても直ぐに判った。ライガーだ。ああ、ふわふわで、もふもふだ…。思わず抱いて包まる。
「リュネ、済まないが、もうこの獣は獲らないでくれるか?」
「え?はぁ。お好きなのですか?」
「敵対しない限り倒さないと決めてるんだ」
「以前母の居る国に行った時、一匹だけ獲ったんです。カケルさんがそう言うのでしたら獲物にはしない事にしますね」
これはエゴだ。エゴだが獲り過ぎると山が枯れる。シルケには魔力があるのでそこまでの被害は無さそうだが、このエゴは押し通すつもりだ。
全身真っ白では何かおかしな宗教みたいなので、牙の生えた四足と二種類で作ってもらう事にした。牙の生えた四足はテイカに因りボルァーの一種と判明。俺は見た事無いけど特徴を聞くに猪みたいなヤツだと予想した。
出来上がりは俺の巣で製作するなら直ぐ、と言う事で前払いのキスをしてお願いします。強請られるままにミスリルを硬球一つ分渡すとルンルンしながら巣に向かって行った。
直ぐと言っても中々帰って来ないリュネを置いて寝る訳にも行かず、暇になった俺はデッドサーチャーの皮と雑木で靴を作る事にした。元の靴はボロくなって来たし、今の姿じゃサイズが変わって履けないのだ。それにサンダルだとリュネの作る服に負けそうだもんな。だが地球の作り方は素人では無理。なのでスキルで簡単に作る。
足型に切り揃えた雑木製の靴底に、中敷きとなる密度の高いマットを貼ったら皮を《伸縮》させながら踵側、爪先側と側面に貼り付けて行く。一旦剥がして向かい合わせで二セット切り出し、再び靴底に貼り付け左右対称にした。次に、補強となる皮を踵と爪先に貼る。片方出来たら同じように剥がして左右対称に切り貼りし、今度は《集結》で固める。
水溜まりに突っ込んだら染みてビタビタになるだろうが、取り敢えず形になった。脱いだり履いたり歩いたりで調子を見るが、アパアパするサンダルよりはマシだろうってレベルの靴は出来上がった。薄ら青い。黒い皮とか貰えば良かったかな?
「あ~ん!カ~ケル~さまぁ~ん!」
そんなこんなで三オコン程すると、リュネが甘えて飛び掛って来た。
「どうした?」
「寂しかったの」
三オコン、巣の中だと三日か四日は経ってるか。
「おうおうよしよし」
抱き返して撫で散らし、カケリウムを充填した。
「カケルさぁん、服が出来ましたぁ」
「よしよしよしよし。頑張ったね~よ~しよしよし良い子だありがとうね~よしよしよしよし」
「きゅうう~ん」
夜も更けたし服は明日見る事にして、寝室に向かった。今夜はリュネも一緒に寝る。
朝食を摂って、話をしながらお茶を飲む。リュネが取り出した服を見て皆息を吐いた。
「なんか…、凄いな」
「流石リュネ様、と言う感じですね」
「きれい」「ですねー」
着丈のやや長い白い毛皮の上着と、茶色い皮のズボン。簡単に説明するとそれまでなのだが、渡したミスリルが唐草模様のような線になって、関節部を避けた服全体に走ってる。
どうやってくっ付いてるんだ?
ソフトレザーアーマーに金属の鋲や鉄板を縫い付けた鎧があるが、これはその線版って感じだな。
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