686 / 1,519
異世界人の平民
しおりを挟む翌日。妻三人にメイド三人、そしてテイカを連れてバルタリンドへ向かう。ママ上殿とメッツ君に挨拶し、荷車を出してカロ邸へと移動した。
「皆様、お待ちしておりました。お嬢様も近々ですのでご挨拶等出来ず申し訳ございません。どうぞごゆるりとお過ごしくださいませ」
リアが居るので腰を折る角度が一段深く、挨拶長めのアルネスである。挨拶を済ませて玄関前まで移動して、荷車から妻達を降ろしたら、浮かせて客間へ連れて行く。
「そろそろとは言え、挙って来る事も御座いませんでしょう。ゆっくりお茶を頂く時間くらいは、赤ちゃんも待ってくれますよね」
待ってくれるのか?産まれたら聞いてみたい所だ。
「人それぞれだと思いますけど、なんでこんなに待っててくれてるんですかね?旦那さまが来るのを待ってたんでしょうか?」
待ってたのかな?これも聞いてみなければ。
「皆と他の人の違いなんてトカゲ食ってるか否か、くらいしか無いんじゃないのか?…ああ、後は俺が特殊なんだったわ」
「産まれたらおちちしか飲めない」
お肉も甘味もお預けな訳か。
「成長したら、離乳食はトカゲでハンバーグ作ってやるぞ。それまではおっぱい貸してやるからたっぷり飲みやがれ」
イゼッタのお腹に抱き着いて、小さな命に語り掛ける。蹴られた。
「けった」
「ママを泣かせたらトカゲバーグ作ってやらんからなー。頭からスポンと出て来いや~」
「イゼッタさんの赤ちゃんは元気いっぱいですね!わたしの子は大人しい子みたいです」
「よしよし。良い子には黒蜜豆腐を離乳食にしてあげよう。女の子だったらパパのお嫁さんにしてやるからな~」
「ん…。嫌みたいですよ?」
解せぬ。パパ泣いちゃうから。サミイのお腹を撫でるがあんまり反応してくれなかった。
「カケル様、私のお腹も撫でて下さいな」
「はいはいよしよーし。…よく学べ。友を得よ。心を磨がけ…」
「理解しているかどうか分かりかねますね…」
「産まれて来たら詳しく教えてやるからな。今は力を貯めておけ~」
お茶を飲んだりお腹に語りかけてると、アルネスが女達を連れてやって来た。家政婦組合から派遣された産婆とお手伝い達だ。互いに挨拶を交わし、イゼッタ達を連れて寝室となる客室へと行ってしまった。産むまでの話を詰めるらしい。
そんな訳で、絶賛ボッチなうである。親父殿が酒場で管を巻いていた気持ちが解る。暇過ぎて居た堪れないが外に行く訳にも行かず、近場で暇を潰せるのが酒場であり、不安感を拭えるのが酒なのだろう。
「名前、考えなきゃなぁ…」
ママ上殿の所は良い名を付けたが、我が家はどうしよう。サミイは名付け方の手本があるので良しとして、貴族と元貴族の三人だ。音の流れだけで決めて悪い名を付けてしまった。なんて可哀想だしな。
異世界人の平民が考えた所で解決する事も無し。分かる人に相談するしかない。
「アルネス~、ちょっと良いか?」
「はい、如何しましたか?」「カケルさまぁ~」
カロの寝室へ出向くとカロがおろおろしていた。リアに挨拶も出来ず不敬だ何だと落ち着かなくなっていたようだ。撫でてあやす。よしよし落ち着け~。
「カケル様、ご用は何でしょう?」
「ああ、子供の名前についてだ」
「カケリュ様ぁ、私の子に名前を頂けるのですか~」
「ダメだったか?」
「とんでも無い!待ってましたあは~ん」
泣いてしまったカロをあやす。よちよち。
「俺は貴族じゃ無いので貴族の名付け方を知らんのだ。名付け方にルールがあるなら教えてくれないか?」
「でしたら別室にてお教え致しますので、フラーラ様ノーノ様を交えながら考えましょう」
「カケル様、行かないでぇ~」
「甘えん坊さんめ。お腹の子に笑われるぞ?良い名前考えて来るから楽しみにしとけ」
「はい…。キスしてくださいまへ…ん、はむ…んちゅ」
少しは落ち着いたかな?アルネスを連れて客室へと向かった。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる