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そろそろ
しおりを挟む食事を終えた人々が各々仕事に向かってく。男は自警団へ、ギルド職員はギルドへ、冒険者達はバラバラに歩き出す。
貴族と、メイド。そして生活活動の女達が最後まで残り、片付けをするとメイドは貴族を連れて、一般の女達はそれぞれの家の仕事に戻って行った。
「ギルドのある街は時間が掛かるなぁ」
「問答無用で集めてしまえば良いのだ」
「それもそうか。やれるだけやろう」
集落と街を転々として、足りない建物を作ったり傷病者を治しながら夕暮れ時まで働いた。
「浄化の属性魔石が全然足りない」
元々数が無かったので、街を移動したのが二度手間になってしまった。
「ネーヴェちゃんを連れて来れば良かったですね」
「お願いして属性魔石を増産してもらうとするよ」
「では、今夜は帰りましょうか」
「そうだな。リュネ、お願い」
「はぁ~い」
抱き着く二人に腕を回し、気付くと母屋の玄関前だ。テイカが走って来たよ。
「皆様おかえりなさいませ。転移されると驚きますね」
「うふ、ごめんなさいね。魔力密度を高めてるので分かる人は驚くのね」
魔力で覆った範囲が転移されると言う事らしい。
夕飯は出来てるそうなので食堂へ向かい、皆で食事を楽しんだ。ネーヴェにも属性魔石を作る手伝いをお願いしといたよ。火、水、光、浄化の属性魔石はいくつあっても足りないな。
「カケル…」
新居の居間で食後のお茶を啜っていると、イゼッタが寄って来た。リアとサミイも一緒だ。膨らんだお腹に障るので直ぐにソファーに座らせる。
「カケル様、そろそろ産まれる時期かと思われます」
「少し遅いくらいです!」
「不安なの」
お外をほっつき歩いてばっかりだったし、不安にさせてしまっていたようだ。俯くイゼッタを優しく抱いて、撫でたりキスしてカケリウムを補充してやった。
「産む場所は此処でも良いのか?街に…、バルタリンド辺りに行って家政婦組合の助力を得るか?」
「ラビアンの人達が産婆出来るって」
「ですが、その方も身重でして…」
「無理はさせられないな。明日、カロの所に行って場所と人材の確保を相談して来るよ」
「ん…。カケル、産まれる時は、一緒に居て?」
「そうだな。分かった」
「旦那様よ、そうなると《洗脳》した街に支障が出るやも知れんが?」
「そうだな…」
ミーネに言われて考えてしまう。集落に壁は作ってある。食料も住民が食う分は作られている。だが面倒なギルド関係の指示と、新造した建物の明かりやトイレの問題が残ってるんだった。
「主様よ。我に頼れ」
「私もお手伝いしますよ?」
リームとリュネが手伝ってくれると言う。俺は頭を下げた。
「カケル、私もイゼッタの赤ちゃん、見たい。てつだう」
「皆、ありがとうな」
今夜は早寝するとした。
明けて翌日。食事を済ませて直ぐに寝具店へと向かう。
「カケル様!」
謎感知で迎えてくれたエージャに抱き着かれ、その足でママ上殿の元へ。ママ上殿は既に動けるようで、食卓に座ってお茶を飲んでいた。
「あら、今日はお一人なのですね」
にこやかに微笑む目がアイツと俺を行き来してる。
「イゼッタ達がそろそろなので、助力を得ようと…」
「それは大変。エージャ」「はいっ」
「待ってくれ。先ずは産む場所を確保する所からだ。カロにも話を通しておきたい」
「そうね。ではエージャ、此方も話だけ通しておいて」
「かしこまりました」
エージャと共に寝具店を出て、エージャは家政婦組合の寄り合い所へ、俺はギルドに向かう。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用ですか?」
「カロ・メリクヒャーにカケルが来たと伝えてくれ」
「カロですか?カロは現在、ギルドをお休みになっておりますが」
「…なら家か。直接向かう事にするよ。それじゃあどうも」
「あ、はい…」
カロも孕んでるし、時期的にも近い。考えが及ばなかったな…。慌てず急いでカロ邸へと飛んで行く。
カロ邸の門前に降り立ち待つ事暫し。アルネスが小走りで駆けて来た。
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