680 / 1,519
生活レベル
しおりを挟むリュネと滅茶ックスして目覚めたのは二日後の朝。そろそろ熱も冷めただろうか。
「おはようございます、カケル様。お食事は食べられそうですか?」
「食べるよ。腹減って倒れそうだ」
レロレロと優しく舐るテイカを撫でて起き上がろうとするのだが、起きたいのに離れてくれない。満足するまでしゃぶらせて、濃いのをたっぷり飲ませてやった。
朝食を食べて人心地着いた俺は、お茶を啜るリュネに確認した。
「リュネよ、まだあの人の子は捨てたりしてないよな?」
「あの、とは?」
「ウラシュ島の街を襲って来た奴等だよ」
「ああ、忘れかけてました。まだ入ってますね。捨ててしまいましょうか?」
「強制労働者にしようと思ってな。後で小島の街に行こう」
「はぁい」
「私も」「私は何方にしても行くつもりだ」「我も同行しようか?」
四龍が行く事になり、カラクレナイが拗ねる。拗ねて俺を抱いて絞める。死にそ。《強化》増し増しで耐え、トカゲの魔石を差し出して何とか解放してもらえた。持ってて良かったトカゲの魔石。
転移門を潜って小島の国に着くと、バジャイが飛び込んで来た。
「カケル様!カケル様ぁ!」
「寂しかったか?ごめんなぁ」
「バジャイ、会いたかったの!」
「よーしよしよしよしよしよしよし」
可愛い事言ってくれるバジャイを撫で回し、玄関を出て街へと向かう。風呂に入りに来る女達もそうだが、街の女の生活レベルが上がった気がする。不足なく食べられて、働いて物が増える。そして清潔な体になって元気が溢れてるのが見て取れる。挨拶を交わしながら兵士の詰所へ向かい、ボーデンフェルトを呼び付けた。
「おお、カケル殿。来たのか」
「ちょっとした報告と、新しい強制労働者の補充をな。リュネ、頼む」
「はぁい」
詰所前に現れた人影は百人を超えていて、これ全部使え、となると困ると思った。
「この者…、見覚えあるぞ。先日攻めて来た者共か」
「キネイアッセンの、名前知らん国から命令を受けて略奪してたんだと」
「此奴等は名前を知らん国に命令されていたのか?」
「言い方が悪かった。俺がその国の名を知らないんだ。その国は懲らしめたからもう略奪は無い筈だ。で、こんなに居るが、使えるか?」
「何とかしよう」
「では、命令権を渡しますね」
命令権がボーデンフェルトに渡されて、列を成して詰所に入って行く。流石に百人超は狭いと思うが…。
強制労働者が全員入り、暫くするとがなり声を上げて数人の兵士が飛び出して来た。次の仕事に向かおうと少し浮いてたのに。
「カケル!お前!何であんな奴生かしてんだよ!?」「おい止めろってっ」
眉間に皺の寄るリュネ達を制して話を聞いてやる。ステイ、ステイだぞ?
「カケル殿、すまん。俺達も頭では分かってるんだ。だがな…」
「ギネウも、ジャースも…彼奴等に殺られたんだぞっ!?」
「殺した奴が居たのか」
「…矢を当てて小躍りしてやがったんだ」
「柱に縛り付けて見世物にされてたぞ」
「的当てもな…」
俺の問いに、皆悔しさを滲ませて答えていた。
「死なないように大事に使ってやれ。龍の洗脳は百年そこらじゃ解けないからな」
「こんな胸糞悪い奴等と死ぬまで一緒に居ろと!?」
「それだったら忘れないだろ?」
「「当たり前だ!」」
「お前達、待つのだ。カケル殿は其奴等をこの場で生かす事で我等にもっと強くあれと示しているのだろう」
ボーデンフェルトの言葉に兵士達の言葉が詰まる。
「災害はな、忘れた頃にやって来るんだ。百年なんて待ってくれない。此奴等の居た、キネイアッセンの国はリュネ達が何とかした。ヒズラーは戦争を止めさせたが、狼藉者が来るやも知れん。それに、その内この街の話が出回って、島の中からも敵が来る可能性だってある。難民としてやって来て、中から壊そうって敵も来るだろう。俺達が留守の間、守れるくらいには強くなって欲しいんだよ」
ボーデンフェルトが頷く。兵士達はそれを見て納得せざるを得ない様子だった。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる