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添加物

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 サミイ以外がセカンドハウスに戻り、翌日。

「弟分か!」「弟分だな!」「おとーとだぜ!」

男になった少年隊は弟分が出来て嬉しそうだ。あくまで弟分であって弟ではないぞ?友恋とワーリンも顔見せしたいと言う。そんな訳で彼等は本日休業で赤ちゃんを見に行く事となった。

「あまり頻繁に行くのもどうかと思うが、取り敢えず家政婦の人に聞いてみようか」

「カケル様、私は行商がありますからこれで帰ります」

「我も作物の収穫があるので名残惜しいが戻る事にする」

シャリーとリームは仕事に行くそうだ。そしてリュネとミーネはカラクレナイのご飯があるので既に島に帰ってる。フラノノは休息。テイカはセカンドハウスの仕事を手伝うと言う。ブチ姉妹も赤ちゃんを見たいって言うので交代した形だ。世話係の三人は、見たら作りたくなると言って辞退した。少年隊顔真っ赤。ヤる事ヤってんなー。
そんな訳で、嫁二人、少年隊と友恋ワーリン、ブチ姉妹、そしてネーヴェが寝具屋に行く事となった。俺は仕事しようかなーって、装備を確認し空に上がった。

 ノーズコーンに乗り込んで、トカゲモドキの雄を探す。禁断のED治療薬を作るのだ。勿論俺が使うんじゃないぞ?テッチー姉妹の父親用だ。
《逃げる》に指示をし一直線に飛んで行くと、ダンジョン産より小型だが、何時も食べてる赤い奴が眼下を飛んでいるのが見えた。
ノーズコーンを仕舞い、初めての長剣を両手持ちにして落ちて行く。狙うは首だ。《強化》を重ね掛けして首ギリギリを通り抜けた。剣道だと胴、ソフトボールだとバスターだな。
ミーネの鍛えたシャムシールが、トカゲの鱗にめり込んで、皮と肉を斬る。衝撃が凄い。バントみたいに刃を押さえてたら左手逝ってたかも知れん。重ね掛けした《強化》のおかげで耐えられた。
頸動脈の一本を切り離す事に成功し、夥しい血を流しながら地面へと落ちて行くトカゲを、今度は飛び上がって更に首を斬り付ける。流石に骨までは斬れないが、左右の頸動脈を斬る事に成功。落ちて行くトカゲを追い掛けて、着地前に《収納》する事が出来た。

「スキル無しではやれないなー」

素直にそう思うが、トカゲ相手では仕方無い。少しずつ鍛えて行こう。ノーズコーンに収まって島へと飛んだ。

「主様、飛んで来たのか?」

仕事終わりと思われるリームがお迎え一番乗り、と言うかたまたま玄関前に居た。

「トカゲを狩って来たんだ。勃起薬を作りたいんだが作り方知ってるか?」

「主様、それ以上硬くして破裂しても知らんぞ?」

「俺が使うんじゃ無いよ。知り合いがインポでな。治してやろうかと」

「インポ?よく分からんが勃起しなくなる病なのか」

「そゆことだ」

「普通の人の子ならば煮出して薄めれば勃起するだろうさ」

「姉さぁん、適当な事言っちゃいけませんよ~」

玄関を開けてリュネが姿を現した。

「添加物を入れて煮出す事で、効果が強過ぎた時に破裂を免れるのです」

「俺の時は野菜とかナマコとか入れてたな」

「運が良かったのですね。具材の中に添加物があったのでしょう」

「もりもり食べて三日三晩ヤり続けたがな」

「羨ましいです~」「ウム」

「所で、添加物ってなんだ?」

「人の子の使う名前は分かりませんが、丸くてぷよぷよする生き物ですね」

「そうなると、ナマコしか考えられんな」

「カケルーごはーん」

倉庫からカラクレナイが出て来た。もうそんな時間か。

「昼飯食べたらナマコ採りして来るよ。カラクレナ~イ、ご飯食べよ~」

飛び込んで行く俺の目の前が真っ暗になる?ぬめっと湿って柔らかい。カラクレナイの舌だ。

「アエウ、おいひーあぃがふる」

トカゲの血が付いてたんだった。レロレロくちゃくちゃ。胃の中に入ったら戻って来れなそうなので、必死に舌にしがみ付き、食堂に着いてペッてされた。

「ふう…。咀嚼され掛けた…」

「飲み込まれないでくださいねぇ」

「トカゲの血と臟があるんだが、食うかな」

食べるそうだ。
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