上 下
585 / 1,519

隠し港

しおりを挟む


 困ったら、拐った奴等に聞けば良い。分かってはいたが子供に罪人の面等見せたくなかったのだ。しかし闇雲に探すと関係無い人助けまでする羽目になるので、答えを知ってる奴に吐かせるのが一番と判断した。強制労働者が増えるのは地味に有難いけどな。

「お前、女達を帰しに行ったんじゃ無かったのか?」

街の広場に着陸すると、何時もの兵士達が何時ものように集まって来る。

「強制労働者に拐った場所を聞くのが一番早いと気付いてしまった」

「何を今更…」

「それと、新しい罪人を連れて来たぞ」

「どっちが人攫いか分からんな」

空に浮いてる罪人共を降ろして並ばせる。

「さしづめ人攫い攫いだな。罪状を吐かせて働かせてやってくれ」

新規強制労働者を補充し、現在働いている者共の場所に連れて行くのに便乗すると、一旦外に出た。兵士の指差す先に、壁の上から外を監視する仕事をしているのが見える。壁の上を歩いて西から東へ歩くとなると、徒歩で丸一日は掛かるだろう。奴等は二人一組で水と弁当と葉っぱを持って壁の上を歩き、移動の途中で弁当を食い、糞を垂れて戻って来るのだと言う。敵が来るまでは歩いて野糞するだけの簡単なお仕事だ。
高い壁の向こうは深い壕、唯一の侵入路は一つしかない門だけなので、必要な仕事なのかと思ったが、見張りが居るだけで敵の警戒度が上がるので必要なのだと言われた。成程。
帰って来て休んでたり、出発待ちの者は詰所に居ると言うので引き返して其方に向かう。
新規強制労働者を兵士達に任せ、休憩中の男共を連れて来させる。子供に見せて良い顔じゃ無いな。あまり洗って無いのか汚い感じがする。

《洗浄》!

「ネーヴェ、反対側の面には何も作ってないよな?」

「ん。お風呂作るの?」

「男女用に二つ作りたいな」

「やってみる。おしえて」

雑木の板にボールペンで簡単な図面を引く。細かい加工は俺がやるので、先ずは幅のある入口を中心に、大きい空間一つ作ってもらう。

 ネーヴェが壁に穴を開けだしたので、こっちはこっちの仕事をしよう。並んでる強制労働者共に、二人の子供の拐った先を聞き出すと、新事実が発覚する。
此奴等、唯の運び屋だった。今連れて来た奴等から隠し港で奴隷を受け取り、奴隷商の居る隠し港、此奴等の場合キネイアッセンに届けるのだと。そして帰りは普通の荷物を積んで、小銭を稼ぎながら獲物を探し、近場の奴隷狩りに情報を流すと言う。
確かに港しか見えない集落はあったな。あれが隠し港か…。

「カケル、できたー」

「ありがとう、ネーヴェ。続きは皆を帰してからだな」

強制労働者を帰し、俺達も昼飯食って行こう。居残りの子供と地元の子供に混ざって飯を食う子供等にホッコリ。交通の便が良ければ遊びに来られるのかな?まだ無理だろうな。

「主様、帰っていたのか」

リームが女達を連れて来た。バジャイはお留守番らしい。呼んだけど来なかったから焼肉置いて、置いて来たそうな。

「子供達の事を思い過ぎて、気が急いていたようだ。下調べは大事だな」

「失敗から学べるのは人の子の良い所だ」

 飯を食い、再び空に上がる。港から街が見えない集落は驚く事に全てが隠し港だった。《感知》を使わないと気付かない場所とかもあったし、港街の直ぐ近くにある、なんて事もあった。集落の人には造船所だと偽っていたそうで、子供達二人を積み込んだ場所は此処だった。住民に子供達の住んでる川を知っている者が居たので場所を聞いて向かう。やはり警戒されたが親からは感謝されたよ。
大きな川の支流で船は来られないが、支流の付け根から荷車に乗せて行商が来るのだそうだ。人攫いは日常的に起こるので疑っては居たが、物が来ないと生きられないので我慢していたと言う。
行商はもう来ないので、荷車を二台作ってくれてやった。罪人共はネーヴェがとっ捕まえて窪地にしちゃったからな。
大人三人も家に帰す事が出来た。旦那や老いた家族が居るって言いながら、集落に着くまでエッチした。勿論女達の自主性からの行動である。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜

是呈 霊長(ぜてい たまなが)
ファンタジー
彼の昔、最強の吸血鬼であり最強の魔王『ゼティフォール』が世界を闇で支配していた。 時を経て、神の力を手に入れし勇者率いる英雄によって、100年の闇による統治は終わりを迎えたのだった。 それから400年後、魔王が目を覚ました! 闇と共に滅ぼされるかに思えたゼティフォールだったが、勇者と神の意思により長らえていたのだ。 『再び危機が迫った時、新しき勇者と"共に"世界を救う』ために。 目を覚ましたゼティフォールは危機の訪れを察し、敵を迎え撃つ! 最強の名を欲しいままに、魔王の名を知らしめるが如く、勇者など必要ないと言わんばかりに! 最強の名は伊達じゃない。 復活した魔王軍だけの力で世界を救ったのだった! …………という予定だったが、うまく行かず、敵こそ撃退したものの魔王たる力を無くし、圧倒的強さも奪われ、残ったのはプライドだけ。 しかも、見ず知らずの土地に飛ばされ、雑魚モンスターにいじめられる始末。 服もボロボロ、体もボロボロ、唯一残ったプライドすらもボロボロ。 そんな哀愁漂うゼティフォールを救ったのは、天使のような翼を持った"最強"の幼女『ステラ』だった! ステラというチートな仲間を手に入れたゼティフォールの快進撃? が始まる── 頑張れゼティフォール! 負けるなゼティフォール! 今は幼女にお守りされる身だが、いずれ最終的には、多分、きっと、いつの日か、ひとり立ちしてプライドに見合った実力を取り戻すのだ!! ※一応主人公は魔王です

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...