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草生える

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 翌日、てか殆ど寝てないけど、朝食を食べたらUFOに乗り込み街予定地の島に向かう。リームは背中に乗せたかったようだが、眠いので遠慮させてもらったよ。ゆっくり飛んで、三人川の字になって寝た。
目覚めると既に島の上空に到着していたようだ。

「カケル、ごはん」

ネーヴェが切なくなってるし、少し寝過ぎたようである。頬っぺたをハムハムしているが、その内頬肉を削ぎ落とされる事だろう。

「降りて飯にしよう。肉はもらって来てあるからな」

UFOを《収納》して島の結界を剣鉈で叩き壊して上陸する。

「主様。これはやり甲斐がありそうだな」

「食用の木の実と、種系、野菜を多目に頼むよ」

「マタルは良いのか?」

「それは対岸で作ろう。此処ではちと狭いしな」

「良かろう。だが土が弱いな」

「まだ練り込んだ雑木が土化してないんだろうね」

「ご飯の後で、手伝ったげる」

「ありがとな。じゃあ肉を焼こうか」

島でもらって来たソーサーと、薄焼肉で腹を満たす。オカラ入りのソーサーは柔らかくて好みだ。
ネーヴェはまだ一人焼肉を楽しんでいるが、俺は作業を始めよう。雑木紙をトイレにセットし、風呂場にはタオルやマットを敷いて行く。トイレの使用感も確認したいので糞も捻り出しておいた。落下したらあの青い光で浄化されるのか…。

「リーム、ちと良いか?属性魔石を作りたいんだ」

「主様が作れないとなると、火か?」

「察しが良くて助かるよ。風呂で使うんだ」

風呂場に移動しトカゲの魔石を加工して、リームに火魔法を付与してもらった。俺も水魔法を付与して浴室の一番上の凹みにセットした。
ドバドバボコボコ。水が溢れて湯に変わり、水路を下って浴槽に溜まって行く。全部の浴槽に溜まり切るのは時間が掛かるから、暫く放置しておこう。

「カケル、やっといた」

外に戻ると肉を焼くネーヴェが作業完了を告げた。確かに土の色が濃くなってる。リームからもお墨付きをもらえたので、早速植樹を始めよう。
リームは植樹、俺は種蒔。育てるのは後でやるから先ずはとにかく撒いてくれ、だと。
シルケでの野菜栽培における種蒔方法はほぼばら撒きだ。早く撒けるが覆土の量が多く、それをしないと株がぐらつく事になる。種の大きいサヤノクサ系なら点撒きの方が良いだろう。
種を浮かせて一定間隔の行列を作り、畑に捩じ込んでやる。アマグキ系も点撒きだ。他の野菜も実物葉物を聞いて線撒きにしたりして夕方になった。

「主様、お疲れ様」

「待たせたな」

「努力する姿も良かったぞ」

何が良いのかよく分からんが、良いと言うなら良いのだろう。空に上がったミーネが魔法でザーッと水を撒き、ブワーッと光って草生える。

「水を撒くなら家に入りたかった…」

「お風呂はいろ」

地上に居た俺とネーヴェはビタビタにされたよ。ミーネはまだ少しやると言うので先にお風呂いただきます。


 水と、火の属性魔石の調子は上々のようで、一番下の浴槽までお湯が張られていた。

「まっくら」

「光の属性魔石を用意するの忘れてた」

光の棒をクリスタルの裏に仕込むと見える程度に明るくなったので、取り敢えずはこれで過ごそう。水と光の属性魔石は結構な数必要だから、明日にでも材料を調達しておかないといけないな。

「ここ座って」

雑木の椅子に座らせて、桶でネーヴェに掛け湯する。汗や埃は自浄されると言うが、それはそれ。脇や股間を撫で洗い、スキンシップを図るのは重要な事なのだ。

「ほう。これが妹の作った風呂か」

「お疲れ様」「おつかいぇ」

リームが作業を終えてやって来た。掛け湯する姿に思わずチンピクしてしまう。

「んぁ、カケル…」

アイツに跨ってたネーヴェを刺激してしまったが、飯前なのでグッと堪える。シコシコされても我慢だ。

「主様ぁ…」

俺の横で蟹股座りでアソコを広げるリームに我慢の限界は超えた。湯の中でぬぷりと挿って行く快感に、俺の腰は止まる意志を捨てた。





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