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笑い声

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「成程。この話は街に持ち帰って纏める事にするが、良いか?」

此処で二つ返事にしないのは仕方の無い事だな。

「構わんよ。その間にこの島を住みやすくさせてもらう。話がポシャったらレッサードラゴンの巣にするぞ?」

「それは…」

「何とか説得するんだな。レッサードラゴンの肉、食ってみたいだろ?」

「そんな物を食う考えすら無いわい。それでは失礼するぞ。このままでは帰れん。送ってくれい」

船に乗り込む兵士と年寄りを宙に浮かせ、再び海に降ろしてやる。船旅の合間にじっくり考えるが良いさ。俺は飯。インフラ整備しなきゃならんししっかり食わねば!

「カケルさぁん」

「ん?スープ温めてくれるのか?」

「んもう、私にも手伝わせてくーだーさーいー」

「ならなあ…。俺は土台と消波ブロックをやるから家と排水関係を頼む。蟹やタマゲルが居ないから汚水はミズゲル処理にしなきゃならんよ?」

「《浄化》ではいけませんか?」

「それもアリだな。先ずはスープ温めてくれ」

「はぁ~い」

「旦那様よ、私には何か無いのか?」「カララもなの!」

「思い付かないから俺のサポートを頼む。カラクレナイは皆の仕事をよく見ておきなさい」

「心得た」「見てるの」

飯を食って一休みしたら、出した物を片付けて島の外へ。先ずは俺の仕事からだ。

 島を切り、宙に浮かす。水際から平行に《散開》を掛けて、三十ハーン程浮かばせる。切り口を見ると、やはり亀裂が多いな。この作業だけで一オコン以上掛かってしまった。

「この石じゃダメだな」

「手伝いは要るか?」

「島を二周り程大きくしたい。三十ハーンの深さで穴を開けてくれ」

「よし」

ミーネの掛け声と共に、突然出来た窪地に海水が浸入する。ドバドバザバザバ、ダムの放水でこんなの見たな。規模は段違いだけど。見蕩れてしまうのを奮い起こして作業再開。
柔らか煉瓦をミーネの窪地に流し込む。コンクリートを水魔法で吐き出す感じなのだが、これ何日掛かるやら…。

「ええい、手が足りん!」

脇の下から腕を生やす。更にもう一対。

「カ~カカカ」

「何かの掛け声か?」

「ただの笑い声だ」

三倍の生煉瓦がドバドバ注がれるが敢えて言おう、梨の礫だ。直径二キロハーン、深さは三十ハーンあると言うこの穴を埋め戻すのは正直かなりキツい。水に隠れて達成感が無いのだ。

「あらあら、腕が一杯で格好良いですね、カケルさん」

「人の限界だよ!たーすけーてー」

「はいはい。硬さを合わせますね」

「私もやろう」

ザバザバドバドバしてる真ん中が、ボコッと膨らみ波が生まれる。海の中大変な事になってるだろうな。辺りに船等無くて良かった。
ドバドバボコボコ。リュネとミーネのおかげでやっと陸地が出来た。

「一旦固めるので止めてくれ」

「は~い」「うむ」

《威圧》で押し均し、《集結》して固めたら、円周ぐるりと《威圧》の壁で覆う。

「結界でなく威圧で止めるのか」

「結界使えないもん」

「私達には思い付かない使い方ですね、ふふっ」

「決壊しそうなら結界張ってくれ。じゃあ注ぐぞ。目標二十ハーンだ」

「はぁい」「行くぞ」

「がんばれ~」

パパ頑張る!運動会のお父さんはこんな気持ちで競技をしているのだろうか?結果は頑張ったママ達の勝利。何も無い空間からボコンボコンと巨大な生煉瓦を出すのは反則だぜ…。再び《威圧》で押し均し、《集結》で固めた。空に浮かせた島から、下の方の硬いだけの岩盤を切り捨てて、上の方だけ乗っけた。此処からはリュネの仕事だ。俺は消波ブロックを投げに行く。
煉瓦の形成はだいぶ上手くなって、テトラポッドも中空三角ブロックも思いのまま。アバロン、クリンガー、何でも来いだ。まあテトラポッドにするんだけど。六つの腕からマシンガンの如くドバドバと、島のヘチに射出する。
転がるのも気にせずに、水面から出て来るまで続けて昼飯時。ミーネが巨大魚を焼いてくれたよ。外は真っ黒。しかし中はふわふわの身がジューシーで凄く美味かった。
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