上 下
545 / 1,519

ドラゴンローリングスラッシャー

しおりを挟む


 瞬歩を駆使して空を跳び、トカゲの羽を斬って行く。トカゲの体を足場にし、落下のエネルギーをも利用して空中で方向転換してる。そして十一匹のトカゲに攻撃の暇を与える事無く地面に落として行った。
羽や尻尾を斬られたトカゲ達は何としてもジョンを食ってやろうと空に向かってブレスを放つ。
だがそれはトカゲの思い込みで、既に餌は地面に降りて必殺の一撃を放つ準備を終えていた。

「んんっ!んーーーーっ!!」

言えよ技名。回転しながら巨大剣を振り回し、トカゲの中を瞬歩で駆け抜けると、残心のジョンの後ろでトカゲ共が煙に変わった。

「「「すげー!」」」

派手好きな少年隊に、ジョンの戦い方は刺さったようだ。俺も好きだけどな。息荒く肩を上下し戻って来たジョンを、三人が大手を振って出迎える。

「ぜぇ、ぜぇ、ひぃ…。どうじゃ!?」

「「「すげーじょーん!」」」

「さ、さんを、付けろ…」

「ドラゴンスラッシャーに回転を付与するとは、やるなジョン」

「「「ドラゴンスラッシャー!」」」

「やめろよ」

「これはドラゴンローリングスラッシャーだな」

「「「ドラゴンローリングスラッシャー!!」」」

「だからやめろって」

十一頭ものレッサードラゴンをドラゴンローリングスラッシャーによる同時単騎討伐を果たしたジョンは、緊張と疲労度でへたり込むのであった。

「お前等、ジョンが落としたドロップ拾って来い」

「「「はーーい」」」

さてと、回復回復。

「お疲れさん」

「恥ずかしいじゃねーか」

「彼奴等にもジョンくらい格好良くなってもらいたいからな」

「恥ずかしい事言うなよ」

「彼奴等には身体強化のスキルしか無いからさ、俺には教える事が無いんだよ」

「充分やれてるだろ?」

「まだまださ。見てろよ」

魔石やら魔装やらを拾ってる三人の足元が、正確には三人の居る周辺が俄に膨らみだし、地響きと共に巨大な何かが地面の爆発と共に姿を現した。

「な!?何だありゃ!」

「「「ぎゃっ!」」」

土煙の中から現れたそれは、小さな山程もある巨体を持つ亀のような姿で、奥の方はよく見えないが手足は多分六本。長い首の先に小さな頭を生やしていた。否、小さく見えるだけで龍の頭程はあるな。少年隊の三人は背中の甲羅の上にへばり付いている。

「ちょっと行って来るわ」

ふわりと浮いて三人の元へ。デカい奴はぎゃあぎゃあ言ってるが、龍語では無いからモンスターなのだろう。

「ドロップは拾えたか?」

「魔石落としたー」「俺は死守したぞ!」「牙と爪だけー」

「気配を探れば分かっただろ?危険がありそうなら行かないのも行動の一つだ」

「「「はぁーい」」」

三人を浮かせてジョンの元に飛ばしてやる。しかしこのデカブツはどうしてやろうか。少年隊やジョンでは殺れないだろうし、俺なら殺れるが殺ったとして、魔石をお土産にしても取り合いになるかも知れん。魔装とか貰っても正直要らない。人の世には過ぎたる獲物なのだ。
考えてる隙に、デカブツの顔が寄って来る。口を開いて食うつもりなのだろうか。食っても腹の足しにもならんと思うが、うんこにはなりたくないのでササッと避けて鼻っ面に飛び乗った。

「寝てるのを起こして悪かったな」

デカブツに《洗脳》を施すと、直ぐに大人しくなった。

「殺んねーのか?」

跳んで来たジョンが甲羅に乗って確認して来るが、此奴のドロップは人には余ると説明したらすんなり諦めた。トカゲ達ですら遠巻きで見てるような奴だ。人の手には負えんよな。

「オーバーフローしないように、間引きは念入りにしとけよ?」

「ああ。肝に銘じるよ」

襲って来る人は殺して良いと指示を出し、俺達はドロップを拾って帰る事にした。

「俺等にはあんなの無理だなー」「龍よりは弱いと思うけど」「おれたちよりはつよい!」

三人も納得したようだ。ジョンのドロップした魔剣を貰ったダート、新しい皮を手に入れたガット、デカい爪と牙を手に入れたニット。皆ホクホク顔で地上に戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...