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天井
しおりを挟む二の鐘が鳴り終えた頃にダンジョン前に着いた俺達は、サクッと受付を済ませて中に入る。人が流れ出すと列になってても入るのは容易いな。
前のパーティーに居る、女魔法使いの尻を追い掛け十階までノンストップで走ってく。
「カケル様、しましょうか?」
「後でな。男の尻を見たくないだけだからな?」
「聞こえてたよ!?何か見られてると思ったら!」
前を走る女にドヤされてしまった。訝しげな視線がクセになりそ。
「すまんな。聞こえてた通りだ」
「こちとら見せもんじゃ無いよ!」
「悪かったって」
取りやすいように金貨を一枚投げて寄越すと、受け取った女はニヤッと笑い、ローブを捲って尻を見せてながら走ってくれた。眼福眼福。殿を走る女の尻を見ながら十階まで楽しく走り切ったよ。
仲間を蹴落として勧誘する裏切り者共を無視してボス部屋へ入ると、昨日と同じ犬顔が十人、隊列も無しに走って来た。二人相手なら囲んでボコるのが早いからな。
「減らすか?」
「問題ありません」
言葉の通り、エージャは先頭に居る奴から次々と首を撥ねて回る。囲まれる前に後ろへ回り込み、二~三人纏めて首スパー。俺はドロップした物を回収する大事なお仕事だ。数リットで倒し終え、休憩も無しにさっさと階段を降りてった。
「此処は広いから飛んで行こう」
「はい。後ろから抱いてください」
草原エリアに着いて飛んで行く事を告げると、エージャが足の間隔を広げ、少し腰を落とした。股の間に挟みたいのだろうな。アイツを尻に挟ませて抱き抱え、空に上がって後悔した。
ガンッ!
此処、ダンジョンなのよね。空だと思ってたけど天井があって、思い切り頭をぶつけてしまった。
「カケル様…」
「ヘルメットが無ければ即死だった…。痛い」
「撫でますか?舐めますか?」
「撫でてて」
メットを外してエージャになでなでしてもらいながら低い所を飛んで階段まで移動した。階段前に居るであろう敵は先行者が倒しちゃったみたいだな。拾い忘れた魔石一個ゲット。
十二階から下は《感知》を使い、一直線に下へと向かう。転移罠の部屋に宝箱が無かったのだ。これも先行者が使ってしまったのだろうか?敵もチラホラ出るのでエージャが屠って行くが、ぶっちゃけエージャの敵じゃ無い。どんどん先に降りて行く。
二十階のエリアボスも勘を取り戻したエージャには物足りぬ相手だったようで、途中からは俺が一掃してやった。暫くは俺が露払いするのが早くて良いだろう。
「泊まりますか?」
「まだ昼飯にも早いし、此処は素通りでも良さそうだな」
二十一階の入口で、エージャの誘いを断った。ゲルしか居ないし、オナホはゆっくり使いたい。向かい合わせで抱き合って、向こう側の壁まで水平移動で飛んで行く。巨木がサラサラ葉を揺らしていた。後でな。
犬と犬顔にトカゲが混じり、犬が消えてトカゲ一色になるまで露払いをした。そろそろエージャも存分に戦える頃だろう。
「先ずは一匹ずつな」
「何時でもどうぞ」
先に進みながら出て来た敵を間引きしてエージャを当たらせる。トカゲは目の前で立ち上がる馬鹿だ。一閃で煙になる。トカゲ顔は剣で斬り掛かって来るが、剣で弾かれ手を斬られ、結果首スパー。二体三体と増やしても攻撃手段が変わらない上に通路も狭いので数的有利が無く、エージャの敵にはならなかった。
しかしエリアボスは部屋が広くてそれなりに難儀していたよ。一体ずつ丁寧に手や足を斬り落として戦力を奪い、危なげなく殲滅してはいたがな。
「だいぶ強くなったな」
「カケル様のご指導の賜物です」
「相手が良かったんだろ。トカゲに感謝しないとな」
とにかく数が出るのでドロップもウハウハだ。四十階のエリアボスを倒して階段を降りると洞窟ダンジョンに変わった。やっと此処まで来た感じ。
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