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冒険しようぜ

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 光が消えて真っ暗。前後左右のホールドされっ放しなのでどうやら皆揃って転移出来たらしい。

「暗くて見えないぞ…」

「目が慣れるまで動いちゃダメよ?」

目が慣れるまで待ってみるも、真っ暗なままだった。

「明かりを着けるぞ?」

「カケル様、ごめんなさい。私達、ランタンも松明も持ってなくて…」

「暗闇の階層なんて初めてだしな」

「と言うか、今何階かも分かりません」

「気にすんな。どうせ二十三階より下なだけだろ?狩草が美味くなると思えばどうって事無いさ」

しおらしい三人を励ます為、頭を撫でてやる。何階かまでは判らないが、《感知》で階層全体は見渡せる。下への階段があるので最下層では無さそうだ。上への階段もある。またまた宝箱発見。光の棒に魔力をほんの少しだけ送り、辺りが見渡せるようになった。

「上下の階段と宝箱あったぞ?どうする?」

「「「宝箱…」」」

「冒険者だろ?冒険しようぜ?」

「さっきの今でそう思えるカケル様は肝が据わり切ってますね」

「此奴を見てみろ。こんな所でもブレないぞ?」

「え…」「はぁ…」「うわぁ…」

「ちゅむ、レロレロ…。んぷっ。行きますか?それともイってから行きますか?」

エージャが俺のアイツにしゃぶり付いたのは此処に着いて直ぐの事だった。

「先ずは宝箱開けて、それから上に向かおうか。二十一階に行ったらゆっくりしてやる」

「それまでは死ねませんね」

「死なさんよ。お前等もな」

奪われたペニスケを装着し、宝箱の場所へと向かう。辺りは遺跡型の通路では無く、洞窟型に変わっていた。此処だけそう言うフロアなのか、この階から下はこうなのか、分からないけど気にしてもしょうが無い。光の棒を高めに浮かせてどんどん歩いてく。
道中の敵も犬顔等は居なくなり、トカゲ顔とトカゲが出るようになった。タイマンならエージャでも勝てるので鍛えるのには丁度良いな。ドロップする魔石と武具を拾いながら宝箱の前に着いた。

「パッと見じゃ分かりませんね」

カリータが岩壁の隙間を覗き込む。割れ目の中に宝箱が挟まっているのだ。《感知》では罠は無しと出たが、さっきの転移罠も反応しなかったからなぁ、少し不安だ。取り敢えず、《収納》して隙間から出してやる。

「そのまま持って帰って、専用の人に頼みませんか?」

「専用の人?」

カリータ曰く、ギルドの鑑定士は罠の解除も出来るのだそうだ。罠の解除か…。

「そうか、分かったぞ」

「何が?」

「感知より罠感知の方が効果が強い」

早速《罠感知》を発動して箱を見ると、罠は無いと断言出来た。

「開けても大丈夫だ」

「便利なスキルですね」

「持ってたのに使わなかったの?」

「《感知》で足りると思ってたんだ」

「カケル様、開けますよ?」

エージャが箱を開けると、中身は色々な武具の詰め合わせだった。箱の大きさ的に長物や胴鎧は入って無いが、四肢や手足を守る装備が四セットにカバンが二つ、大きめの魔石が十個入ってた。

「これ、マジックバッグじゃない?」

「良かったじゃないか。これで何処でも肉焼き出来るな」

「一つはカケル様に」

「俺持ってるし、エージャ着けとけ」

「かしこまりました」

魔石と装備をマジックバッグに詰め込んで、上に昇る階段を目指す。直ぐに装備しないのは鑑定しないと呪いが怖いからだと。俺もジョンも、躊躇わず使ってたけどな…。
最初はギリギリだったエージャだったが、トカゲ顔を殺すのもだいぶ慣れて来たようだ。三人娘の方はスールズは支援のみでサスーンとカリータがトカゲ顔一体に対応してる。無理はしないのだ。俺は溢れたのを殺ってるよ。後ろから来る奴とかな。

「犬の剣より、トカゲの剣の方が斬れ味が良いです」

ドロップしたトカゲの剣を一薙ぎし、顔と胴体を斬り離すエージャ。

「重心とか、調節しながら使うって、武器屋のオヤジは言ってたけど」

「与えられた武器しか使った事が無いので分かりませんね」

冒険者と戦闘奴隷の差だな。

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