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三本槍
しおりを挟む少しずつ、脱落者を出しながらの地下十階、エリアボスの部屋の前に辿り着くと、見慣れぬ光景があった。
「支援居ないか!?今来れば三番目だぞ!」
「こっちはヒーラー募集!報酬五万で戻っても良いぞー!」
途中で脱落した者の補充をしているのだ。此処さえ抜ければ良いと、戦闘後は入口に引き返して元のパーティーに戻って良い…なんて誘いもある。入場列には並んでいるものの、メンバーが集まらないので追い越されているよ。
「脱落者を捨てて来たって事、皆知ってるから、ああなると中々集まらないんだよね」
「明日は我が身…ってな」
「順位を落としても合流した方が確実だな」
「そう言う事ですね」
入場列に並んだ俺達は執拗い勧誘を無視し続けた。主に女にしか話し掛けて来なかったがな!しかし中には面白いのが居て、
「お前達、そんな奴より俺のハーレムに入れよ」
なんてのが居た。既に女四人の五人パーティーなのに、後四人足したいらしい。
「お前、ちんぽ何本生えてんだ?」
俺の言葉に周りの男連中から笑いが起こった。そりゃそうだ。乱行するにしても限度があるもんな。
「お、お前だって一本だろうが!」
「ちと、其方のお嬢さん方。こっちの隅に来ておくれ」
エージャ達と男を列に残し、女四人と壁際に集まる。女達は俺のペニスケに興味津々。男が声を掛ける前からチラチラ見てたから素直に付いて来た。静かにな、と念を押してペニスケを外すとビクッとして唾を飲んだ。更に増やす。三本に増えたアイツ等に勝手に手を添えスリスリしだす始末。
「先ずは彼奴と稼いで来い。無事に帰ったら三本槍の宿で待ってる」
「まさに…、三本槍…」
女達に囁いて、ペニスケを装着して列に戻った。女達は何食わぬ顔で男を宥めて列に並んで行った。心はもう、奴に向いてないな。
「カケル様。私の分を残しておいて下さいね」
エージャがおかしな事を言う前に、《威圧》の玉でマッサージしておこう。戦闘前なのでぷる…ぷる…と優しく小さい刺激だが、エージャは満足してくれたようだった。
「カケル様、今日は日帰りするつもりでしたか?」
赤が不安気な声を上げる。
「否、一泊は泊まる予定だよ。人数が増える程稼がなきゃいけないもんな」
「それなら二十一階まで降りましょう!」
「あそこ、敵が出ない場所があって、しかも個室で寝やすいのよ」
「へー。三人は何処まで潜ったんだ?」
「二十一階で寝て、二十二階で稼いで帰るのさ」
十一階でも食えるのに、二十二階まで行くとは中々やる奴等だな。そこから先に行かないのは冒険者としては終わっているが、命の安い世界だしそれもまた然りか。
恨めしそうな待機組を横目に俺達の番になる。扉を開けて中に入ると、予想通り自動で閉まった。正面の広いスペースの真ん中に、厨二心を擽る魔法陣が湧き上がり、光と共に数匹の影が現れた。感動的なシーンだが、三人は既に走り寄りフォーメーションを組んでいる。エージャもしょぼ剣を抜いて走り寄っていた。出遅れちゃったが援護に回るタイプなら焦る必要も無い。先ずは三人のお手並み拝見と行こうか。
「カケル様は見ていて下さい。エージャさんも!」
三人で二十二階でやれるんだ。こんな所じゃ取るに足らんのだろう。エージャは中間地点まで下がり、様子見するようだ。俺も並んで見守ろう。
光の中から現れたのは、犬っぽい顔の人型が十匹?十人?剣を構えて一丁前にフォーメーション等組んでいる。エージャに彼奴等の名を聞くと、ウォリスウォーカーと言うそうだ。バルタリンドの付近には居ないが、大陸の東寄りの深い森や洞窟、ダンジョンには居るそうだ。只、此奴等はそれの大型種で、ラージウォリスウォーカーかも知れない、との事。エージャのしょぼ剣より良いヤツ持ってやがる。
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