上 下
499 / 1,519

三本槍

しおりを挟む


 少しずつ、脱落者を出しながらの地下十階、エリアボスの部屋の前に辿り着くと、見慣れぬ光景があった。

「支援居ないか!?今来れば三番目だぞ!」

「こっちはヒーラー募集!報酬五万で戻っても良いぞー!」

途中で脱落した者の補充をしているのだ。此処さえ抜ければ良いと、戦闘後は入口に引き返して元のパーティーに戻って良い…なんて誘いもある。入場列には並んでいるものの、メンバーが集まらないので追い越されているよ。

「脱落者を捨てて来たって事、皆知ってるから、ああなると中々集まらないんだよね」

「明日は我が身…ってな」

「順位を落としても合流した方が確実だな」

「そう言う事ですね」

入場列に並んだ俺達は執拗しつこい勧誘を無視し続けた。主に女にしか話し掛けて来なかったがな!しかし中には面白いのが居て、

「お前達、そんな奴より俺のハーレムに入れよ」

なんてのが居た。既に女四人の五人パーティーなのに、後四人足したいらしい。

「お前、ちんぽ何本生えてんだ?」

俺の言葉に周りの男連中から笑いが起こった。そりゃそうだ。乱行するにしても限度があるもんな。

「お、お前だって一本だろうが!」

「ちと、其方のお嬢さん方。こっちの隅に来ておくれ」

エージャ達と男を列に残し、女四人と壁際に集まる。女達は俺のペニスケに興味津々。男が声を掛ける前からチラチラ見てたから素直に付いて来た。静かにな、と念を押してペニスケを外すとビクッとして唾を飲んだ。更に増やす。三本に増えたアイツ等に勝手に手を添えスリスリしだす始末。

「先ずは彼奴と稼いで来い。無事に帰ったら三本槍の宿で待ってる」

「まさに…、三本槍…」

女達に囁いて、ペニスケを装着して列に戻った。女達は何食わぬ顔で男を宥めて列に並んで行った。心はもう、奴に向いてないな。

「カケル様。私の分を残しておいて下さいね」

エージャがおかしな事を言う前に、《威圧》の玉でマッサージしておこう。戦闘前なのでぷる…ぷる…と優しく小さい刺激だが、エージャは満足してくれたようだった。

「カケル様、今日は日帰りするつもりでしたか?」

赤が不安気な声を上げる。

「否、一泊は泊まる予定だよ。人数が増える程稼がなきゃいけないもんな」

「それなら二十一階まで降りましょう!」

「あそこ、敵が出ない場所があって、しかも個室で寝やすいのよ」

「へー。三人は何処まで潜ったんだ?」

「二十一階で寝て、二十二階で稼いで帰るのさ」

十一階でも食えるのに、二十二階まで行くとは中々やる奴等だな。そこから先に行かないのは冒険者としては終わっているが、命の安い世界だしそれもまた然りか。

 恨めしそうな待機組を横目に俺達の番になる。扉を開けて中に入ると、予想通り自動で閉まった。正面の広いスペースの真ん中に、厨二心を擽る魔法陣が湧き上がり、光と共に数匹の影が現れた。感動的なシーンだが、三人は既に走り寄りフォーメーションを組んでいる。エージャもしょぼ剣を抜いて走り寄っていた。出遅れちゃったが援護に回るタイプなら焦る必要も無い。先ずは三人のお手並み拝見と行こうか。

「カケル様は見ていて下さい。エージャさんも!」

三人で二十二階でやれるんだ。こんな所じゃ取るに足らんのだろう。エージャは中間地点まで下がり、様子見するようだ。俺も並んで見守ろう。

 光の中から現れたのは、犬っぽい顔の人型が十匹?十人?剣を構えて一丁前にフォーメーション等組んでいる。エージャに彼奴等の名を聞くと、ウォリスウォーカーと言うそうだ。バルタリンドの付近には居ないが、大陸の東寄りの深い森や洞窟、ダンジョンには居るそうだ。只、此奴等はそれの大型種で、ラージウォリスウォーカーかも知れない、との事。エージャのしょぼ剣より良いヤツ持ってやがる。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...