上 下
494 / 1,519

二の鐘

しおりを挟む


 たっぷり歩いて健康である事を噛み締めながら回復し、門前に辿り着いた。まだ昼前なので列も無く、すんなり街に入れたよ。先ずはギルドで事務処理を済ませ、序にダンジョンの事でも聞いておこう。

「貴方達二人だけ?出来ればもう二~三人集めてからの方が良いと思うわよ?」

「そんなに深くは潜らないつもりだよ。一日一階、行けないだろうし」

「あら、見かけによらず慎重なのね」

「慣れるまではね」

「良かったら、良さそうな人探してあげるけど?」

「一先ずは良いや。準備もあるし、宿屋も探さなきゃな」

フランクな話し方だが今回の受付嬢も当たりだった。事務処理を終えた俺達はダンジョンの情報を聞いてギルドを後にした。準備も宿屋探しもするのだが、先ずは街をウロウロしたい。

 この街の名はサライプラマ。以前イゼッタに聞いた事があったような気がするダンジョン都市だ。エディアルタからはだいぶ離れてるので露店にも店舗にも俺の作った棒は転売されてないようだ。食料を買ったり買い食いしたりで街を見て周り、最後にダンジョンの入口を訪れた。
小山の壁面に入口があり、補強の漆喰と屋根が白く美しい。その横には壁面を利用した建屋が並び、受付等を行っているようだ。受付の男に、明日から入ると言って説明を聞く。入場料は一人五万ヤン。ダンジョン内で一泊すると+一人五万ヤン。料金の更新は二の鐘なので、その時間に入る方がお得なのだと。で、地下十階を超えた辺りから元が取れて来るのだそうで、そこ迄のルートには鎖が付けられているのだそうな。

「エージャ、二の鐘ってどんくらいだ?」

「普通ですと夜明けに一の鐘、二オコン後に二の鐘です」

「其方の女性の言った通りです」

受付が言うと、コーーーンカーーーンと鐘が鳴った。

コーーーンカーーーン

コーーーンカーーーン

コーーーンカーーーン

「今のが四の鐘ですね。お昼ですので受付を一旦締めさせて頂きます」

俺達はもっと前に買い食いしてしまったが、今日はここまでにして宿屋に向かおう。街をウロウロしながら良さげな宿を探しておいたのだ。
風呂無しだが部屋の広さに定評のある宿で、一部屋が十ハーン四方程もあるらしい。宿に着き、チェックイン。値段はそこそこした。フロントの奥は酒場になってるので、夜にでも寄らせてもらおう。鍵を受け取り三階へ向かうと情報通りの広い部屋で、隅にベッドが並んでる。此奴は使わんので《収納》へ仕舞い、代わりに雑木マットを積み重ねた。

「随分柔らかい木なのですね」

「スキルで柔らかくしてるんだよ」

「お店の商品にしてみたら如何でしょうか?」

「家具職人が食えなくなっちゃうからダメだぜ?」

「成程」

広々としたスペースには洗い場兼水漏れ防止の床と浴槽を煉瓦で作る。更に、湯気を集めて窓から外に出す屋根も拵えた。ヤリ部屋でも作ったので慣れたモンよ。

「コレを作る為にこんな広い部屋にしたのですね」

「ああ。俺のコレ、こんなだろ?男には見せたくないのさ」

「女湯に入れば良いのです。皆気に入りますよ」

「ちっちゃい子やお年寄りに気に入られても流石にな」

「節操ある方で益々惚れてしまいます」

「ちっちゃい子のママやお年寄りの娘とかなら大歓迎だがな」

「節操無くても大好きです!」

クルクル回る掌を取ってペニスケを握らせ、夕飯までイチャイチャした。

 酒場での夕飯はそれなりに美味かったが冒険者が多くて凄く騒がしい。広い部屋にパーティーで泊まる輩が多いと言う事なのだろう。二つあったベッドはジャンケンでもして決めるのだろうか?
向かいの席では酒を飲んで気が大きくなった男が女達に絡んでボコボコにされてるよ…。多分、素面で行っても負けるだろうな。

「何?」

ボコボコし終えて息巻く女が絡んで来た。ステゴロでやりきれるから前衛だろうか。腰まで伸びる赤いロングヘアがミーネを彷彿とさせる。比べるには値しない程度の力だが、顔は中々キレイだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...