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他言無用
しおりを挟むエージャとたっぷり楽しんで、中に収めたまま熟睡した翌朝。
「こんなに幸せな目覚めは初めてです…」
何とも可愛い事を言ってくれる。腰をゆらゆらして心地良さを味わっているので朝食の時間が少しだけ遅れてしまった。
「この後はどうされますか?」
食休みにお茶を飲みながら、この後の事を考える。商品は届けてしまったし、特にやるべき事は無いんだよな。とは言え早く帰っても店の手伝いが待ってるし、こっちで何かしたい。こっちにしか無い食料とかを買って帰れば文句は言われまい。
「カケル様?」
「こっちの食料を買って土産にでもしようかとな。後は何しようか」
「鈍った体を鍛えて下さると有難いです」
「そうだな。装備もショボショボだし、ダンジョンで何か拾ってみるか?」
「ダンジョンで装備を現地調達するなんて聞いた事がありませんね」
「そりゃあ鑑定しないと効果が分からなかったりするからだな。ショボ剣でやれる所まで行ってみようか」
「頑張ります」
ダンジョンの位置は《感知》で見付けた。直ぐ近くに街があるから人が管理してるダンジョンだろう。目的地はそこにしようと思う。先ずはギルドに向かおう。
「マニア、今暇か?」
「あ、カケルさん、おはようございます。鑑定ですか?」
「売らないけどな。ちょっと人に見せたくないので部屋を取ってくれる?」
「暇してたので大丈夫ですよ。此方へどうぞ」
部屋に通され道具を持って来ると出て行ったマニアが、道具と一緒にギルマス連れて来た。
「面白そうなモンが見れると聞いて来ちまったぜ」
「良いけど他言無用な?命無くすぞ?」
「お、おう…」
「ではカケルさん、見せて頂きましょうか」
目の前のテーブルに幾つかのアクセサリーを置いた。
「結構ありますね」
「普通のアクセサリーだな。付与でも付いてりゃ一財産ってか。もっと面白ぇモン出せよ」
「エージャに着ける奴だから先ずはこっちが優先だ。ヤバいのはこれが終わったら見せてやるよ」
スキルと鑑定道具を使い、出て来た結果を紙に書いて行く。その紙何処に売ってんだ?鑑定代の五百ヤンって殆どそれの代金だろ。
なんて事を考えてるうちに鑑定が終わった。
「ダンジョン産の良い物でした」
「おい、それって魔装って事か?」
「効果はそれなりですが魔装です。全部着けたらかなり効果が出ますが戦い難そうですね」
「使えそうなのを二つか三つ、此奴に着けてやろうかなーって」
「愛されてますね」
「愛されてる!?私愛されてますか?カケル様!もっと愛して良いですよ私も愛してます愛してます愛してます愛してます愛して愛して愛して愛して…」
何がトリガーになるのか分からんな此奴は。皆ドン引きの中、紙に書かれた効果を見て三つ見繕った。
ネックレス
効果:精神耐性
バングル
効果:速度強化
リング
効果:即死抵抗
耐性、抵抗、強化。俺が目を離した隙に危険があっても何とかなりそうな効果をチョイスした。勿論龍レベルには全くの無意味なのは言わずもがなである。
「エージャ、この三つ着けれ。気休めだがな」
「愛の三点セットですね。体が千切れても守ります!」
「壊しても良いから体が千切れないようにしろよ。こんなの玩具みたいなモンだからな」
「効果は微妙ですが歴とした魔装ですよ。一体何と戦うんですか?」
「確かに微妙だが、国しか買い取れねぇな」
見た目も性能も微妙なアクセサリーだが、それでも高額、即死抵抗のリングで二千万とかするのだとか。マジかよ。
「カケル、派手な見た目のヤバいヤツで頼むぜ?」
「此処からはサービスですので飛び切りの物をお願いします」
此処からが本番とばかりにやる気を出すマニアに仕事サボり中のギルマス。出来るだけ、派手な見た目なのを出した。
「魔導砲だと!?」
「何だ知ってるのかよ」
「城に設置されてたのを一度見ただけだが…」
「自分も子供の頃見ました。姫の輿入れで祝砲として設置されてましたよね」
正に国宝らしいな。
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