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龍は約束を違えない

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 夕飯を食べに宿に戻ると、部屋にはネーヴェとティータが居た。手伝いしなくて良いのか?

「カケル様、おかえりなさい」「おかえりー」

「ただいまー」

「ネーヴェちゃんにお人形もらったの!今夜から服作ってあげるんだ」

「それは良かったな。大事にしてやってくれ」

「もちろんだよ。じゃあお手伝いしてくるから二人も早目に降りて来てね」

抱き着いて来たので三回転半してキスしてやると、嬉しそうに出て行った。

「ネーヴェ。明日か明後日には帰ろうと思う」

「そう…。カララも待ってるもんね」

「友達に行ってきますの挨拶しなきゃな」

「また来る?」

「ネーヴェなら一人でも来られるだろ?凄く心配だけど」

「ふふっ、そだね。ご飯いこ」

少し寂しげな笑顔のネーヴェは鱈腹ご飯を食べて直ぐに部屋に戻ってしまった。俺もヤリ部屋で休むか。
明日明後日に帰ると言ったって、夜に来る女は多くない。客の気配に仮眠から目覚め、ぽつぽつ来る女達を楽しませた。
たっぷり楽しんだ後は護岸工事に向かう。西側の橋の袂から、南下しつつ東へ向かい施行した。慣れたもんで一オコン半程で作業終了。これで明日には帰れるな。


 翌日、朝食を頼みつつ、女将に部屋を出る事を告げ、そっと鍵を返した。

「そうかい、寂しくなるねぇ…。また来とくれよ?」

「ネーヴェちゃん…」

ティータも聞いていたようで駆け付けて来た。

「その内また来る。私は飛べるから」

「待ってるね。お洋服、まだ出来てないんだから、絶対見に来てよね!」

「龍は約束を違えない。必ず」

食後、間を置かずネーヴェは商家に挨拶に行った。俺はお土産と食料品を買いに出る。長く家を空けてたからな、袖の下は大事だ。こっちでしか採れない野菜に香辛料、ちょっとしたアクセサリー等を大量に買い付ける。ギルド証で払えて助かったよ。貨幣のデザインが違っても払えるし、ギルドで降ろさなくて良いからな。ああ、けど事務処理に一度寄らなきゃダメなのか。買い物を終えて商家に向かい、中庭で遊んでたネーヴェを回収する。

「カケル様、ネーヴェちゃん。またね」

「お二人の旅の安全を祈ってます」

「ネーヴェが世話になった。ありがとうな。その内また来るよ」

「また来る」

気配を消してギルドに寄って、事務処理を済ませたらそっと街を出た。お前と貴様には見付かったけど、静かに手を振り別れた。
街を出て、前方五キロには何も無い。地面に薄ら雪が乗ってる程度のモンだ。見晴らしが良過ぎてUFOを出せないので、橋の先まで荷車を走らせ、森の中程で空に上がった。空の上でUFOに乗り換え、家路に着く。

「ダンジョンは違う意味で面白かったな」

「魔石より、お肉の方が美味しい」

「だな。肉もドロップしたら良いのにな」

「お肉食べる」

肉焼きセットを用意して、ネーヴェの一人食べ放題を見て過ごした。

 ノーズコーンに次ぐ速さを持つUFOでそれなりの速度を出して飛んでいると、《感知》に何か反応した。小さいのがこっちに向かって飛んで来る。海の上を飛んでいるので人じゃ無いのは確かだが…?

「カララ?」

「え?」

速度を落として天井から外に出ると、小さい人が飛んで来た。

「カーーーケールーーーーー!」

《強化》《強化》《強化》!

《強化》の三重掛けで受け止めたのは見た目五歳か六歳程の美少女だった。腰まで伸びる赤い髪に、透き通るような白い肌。耳の上から伸びる角はやや上向きに真っ直ぐ伸びている。因みに、さっきまでUFOの舳先に居たのに今船尾。良いタックルだった。

「ゲホッ…、カラクレナイ?」

「カケルー!遅いのー!!」

「人化出来るまでどれだけ掛かるか分からなかったからな、待たせてごめんな?」

「ごめんなさい、カケルさん。うっかり口を滑らせたら待ち切れ無かったみたいで」

リュネが転移して来た。ミーネとリームは飛んで来てるな。前進して合流しよう。






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