468 / 1,519
流石に慣れて来た
しおりを挟む呼んでないのに来ちゃう程、平時の暗部は暇なのである…のだと思う。
「貴様はどうした?何時も一緒って訳でも無いのか?」
「分担して仕事に当たっておりますので、今は偶々一人なだけです。問題はありませんが、ギルドがカケル様にご用があるとの事を耳にしました」
「何の用だろ?」
「街の周辺を更地にした事のようです。狩りが出来無くなり、街道の修理をするにも資材が足りない、と」
「更地の中は狩り尽くしたのかな?」
「ラデュは狩るな、とさる貴族より通達があったようですが、確認出来るような広さでは無いので確認は出来ておりません」
確かに直径十キロハーンを見て回るのは骨が折れるな。ギルドに向かう道すがら、《感知》で周囲を見てみると、全滅とは行かないまでも数えられる程にモンスターは減っていて、数えるのが面倒なくらいに残っているのは、生かした方が金になる野良ゾーイに、通達により保護されてるラデュ、そして足の早い鹿っぽい奴…確かドウドウだっけか、後は名も知らぬ小さいのが残ってた。肉食は狩られたか、身を隠す場所を求めて旅立ったのだろう。
「カケルだ。ジョンくんが用があるみたいなので来たんだが、繋ぎを付けてくれるか?」
「ギルドマスターは只今外出しております」
ギルドに着いて、受付嬢にアポを取ってもらおうとしたらこんな事を言われてしまった。《感知》を張り巡らしてたので居るのは判ってるんだがなぁ。仕方無いから何時ものように《威圧》を飛ばすと、暫くしてジョンが降りて来た。
「カケルか、流石に慣れて来たぞ。丁度こっちも用があったんだ」
「外出してるって此奴に聞いたが、居たんだな」
「ひっ!」
ジョンの《威圧》が受付嬢をキュッとする。タイミングを合わせてアソコに《威圧》の玉を仕込んでやったぜ。
「んっ、れ、連絡に、齟齬がぁ、あったようでしゅ」
「あまりカケルを怒らせるなよ?街が更地になっちまうんだからな?」
「はっ、はぃぃっ!ひおふけまひゅ、うっううーっ!」
面白いので玉はそのままにしてギルマス部屋に向かう。
「お前、あれに何したんだ?」
流石に気付くか。ソファーに胡座をかくと、ジョンも倣って胡座をかいた。
「エッチな事だよ、気にすんな」
「気にするだろうが。だがまぁ良い、それより本題だ。土地が増えたのは良いが街道を潰されたのは何とかして欲しい」
「橋でも作れってか?」
「ぶっちゃけな。馬鹿女も、その関係者も断罪した。そろそろ手打ちにしてくれねーか?」
「そうだな。あまりゴネて主婦達に嫌われたくは無いな」
「何で主婦なんだ?」
「主婦っつーか家政婦組合だな。女を敵に回すと怖いぞ?じゃあパパッと作って来るわ」
「パパッと作れるモンなのか?」
「土魔法、使えると便利だぞ」
街道は二つ、昼飯までには作ってしまいたいので、窓から直接飛んで行く。先ずは近い方、東側の街道跡地に到着すると、縄梯子やロープを使って人や荷物を運ぶ者が見えた。商魂逞しい商人達だ。
「今から橋を作るから、降りるのは少し待ってくれ」
なんて言っても聞いちゃくれない。邪魔なので全部浮かせて中に入れてやったよ。手伝ったのに感謝もされないや。
とにかく、人が失せたので作業開始だ。先ずは壕の補強。ブレスで抉れてるだけだから脆いんだよな。此方側と対岸の地面を《収納》し、長方形の巨大な溝を切り出した。そしてそこに嵌る大きさで、これまた巨大な煉瓦の立方体を嵌め込む。隙間を埋めて、地面とツライチに合わせてやれば橋の完成だ。壕が濠になるかも知れんので、下に水が通る穴を開けて、取り敢えずはコレで良いだろう。西側の街道に飛んでった。西側の街道には人の姿が無かったので、素早く作って任務完了。土魔法は便利だな。
「作って来たぞ」
窓からジョンに声を掛けるとビクッとしてた。寝てたな?
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる