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ドップラー効果

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 折角お風呂に湯を張ったのに、帰るのならば仕方無い。チェックだけでもしておこう。下へと伸びる階段からは、ほかほかした湯気が上がってる。これは空調付けた方が良いかな?下まで降りて、低い所の湯温から順繰り調べてく。一番下は流れ込みからそんなに熱くない。俺的にはぬるいが長風呂には良いのかもな。上に行くに従い温かさが増して行く。

「カケルさぁん、お湯の様子はどうですか?」

「中々良いね。二つ注文したいんだがまた今度にしようか」

「今教えてください。カケルさんは意外と忘れっぽいですから」

「そうか?なら、この場所に湯溜りを作ってくれ。俺の適温なんだ」

「分かりました。もう一つは?」

「水だけの水溜まりも一つ欲しいなーって。あ、もう一つあった」

「やっぱり忘れん坊さんです、ふふっ」

「階段から湯気が出てるんだが、寒い時期はともかく暑いと困るだろ?ある程度の熱気を外に排出したいんだ」

「湯気を排出するとなると階段に蓋をしないといけませんね?」

「火の属性魔石から出る蒸気だけでもだいぶ変わると思うよ」

「湯気の当たる位置に囲いをして排気塔に送ってみましょう」

「世話を掛けるね」

リュネが手を翳すと、もくもくと湯気の上がる属性魔石の上に帯状の鍾乳石がニョキニョキ生えてくる。更に謎の技術で穴を開け、多分だが排気塔に繋げたようだ。湯気が吸われてくのが見て取れる。

「水溜まりは明日にしましょう。夕飯もですがいろいろ家財道具を揃えたいそうです」

「お湯止めたら帰ろうか」

「止めなくても大丈夫です。水脈と一緒に流れて行きますから」

水脈に排水流して良いものか?まあ、使ってる人が居ないなら大丈夫だろう。


 UFOに乗って街へと帰る。空の上ならひとっ飛びだが、陸路だと時間が掛かりそうだな。

「なあシトン、島から街まで、どのくらいの時間で移動出来る?」

「歩きだと三オコンくらいかなー?」

「道草含めて四オコン見ておきましょ」

「だな。そんな感じ」

移動に時間が掛かり過ぎて仕事にならなくない?

「それだと仕事を受け辛いな」

「常設なら成果だけ持って行けば良いし、行きだけで一仕事出来るよ」

「街で一泊して島に戻る、みたいにね」

「買い物とかしてなー」

「移動用に荷車を用意した方が良いかと思うんだが、どうかな?」

「ホルストの世話しなきゃいけないね」

「魔法でびゅーんって」「びゅ~ん」「ぶぁ~ん」

おい子供、ドップラー効果なんて何時体験したんだ?魔法動力の車ならハークがマシンを動かしてた時みたいにやれば出来なくもないが、俺にそれを作れるかと聞かれると不安だ。

「作れるかどうか分からんし、作っても操作が大変そうだ」

「カケル、魔道具作る?」

俺の腰に抱き着いて寝てたネーヴェが起き出した。

「そこまで精密な物は作った事無いんだよな」

「簡単。魔石と材料があればできる」

魔石と、素体になる材料があれば魔法でパパっと出来てしまうらしい。トカゲの魔石と雑木と柱状節理を練った石を出して、これで良いかと尋ねると、これでも出来無い事は無いと言う。カロ邸の上に着いてしまったので、後で作ってみてもらおう。

「おかえりなさいませ。新居の様子は如何でしたか?」

「遺跡とかダンジョンと言われても言い返せない程だったよ」

「わたしも行きたかったです!」

実家に帰らせて頂きますしてたサミイが来てた。抱っこしてやろう。

「だれ?」

「わたしはサミイです。よろしくです」

「私、ネーヴェ、よろしく」

よじ登ろうとするネーヴェも抱っこして、雑談を始める二人が腹話術の人形みたいでいとおかし。
メイド三人と冒険者五人は皆揃って買い物に出掛けた。残った者は客間でまったりする事にした。

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