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私はいい子
しおりを挟む鱈腹食べて、おねむになったネーヴェを腹の上に乗せ、背泳ぎ状態で街まで飛んだ。少し離れた所で降りて横抱きで街に向かうと、門兵に物凄く疑われた。イラッとしたので脱糞十秒前の刑に処し、足を《威圧》の塊で固定した。
「謝っても許してやらん。糞でもひり出せ」
門兵共の泣き言を無視してギルドに入る。皆こちらを見ているが、気にしても仕方無い。一番近い受付けに向かった。
「南西の街のオーバーフローの報告でギルマスと話をしなきゃならん。繋いでくれるか?」
「報告ですか?これから第一陣が出発するのですよ?」
「これから?遅くね?もう門から見える位置に居るんだぞ?やる気あんのか?」
「私に言われましても私が戦う訳じゃありませんので…」
「そりゃあそうだな。変な事言って済まなかった。とにかく繋ぎを付けてくれ、カケルが帰って来たと言えば何かしら反応するだろ」
近くに居た職員と交代して階段を上がって行くのを見送り、俺はネーヴェを抱えたまま壁際にでも行ってよう。
「カケル、ここどこ?」
「新しい人の街だよ。この近くに家を作ってるんだ」
「いえ?」
「ご飯を作ったり、ゆっくり寝たりする建物だ」
「ご飯、食べる」
ご飯と言う言葉に釣られてしまったのだろう、お腹が空いてしまったようだ。此処で肉を焼く訳にもいかないのでトカゲの魔石をちゅぱって貰おう。《収納》から取り出して、床に降りたネーヴェに渡すと抱き着くように抱えてちゅぱれろしだした。周りで見ていた者は驚きで目を向いてるよ。なんせ一個四百万程もするトカゲモドキの魔石だ。それを尻尾やら角のある女の子がペロってる。見ない筈が無い。
「美味しいやつはもう少し待っててね」
「私はいい子。待ってる」
撫でざるを得ない。撫でられてアヘアヘしながら魔石をれろれろする様はちょっとエロいな。
「カケル様!」
階段を駆け下りて来たのはカロ。アヘレロしてる少女を見て直ぐに察したようで、平伏して自己紹介してた。察せない奴は居ないだろうがな。何とも丁寧な対応でギルマスの部屋へ迎えられ、お茶と果物が出された。
「其奴は何だ?珍しい獣人だな」
「フェルーゲン、命が惜しくば言葉と態度を弁えなさい。この方は龍です」
「り、龍…だと?」
「この街には妻も妾も、妻の家族も居るんだ。マジでちゃんとしないと俺は知らんぞ?」
「わ、わかっ…、心得ましてございます…」
ギルマスが貴族の振る舞いを思い出した所でオーバーフローの状況等を説明した。
「…と言う訳だ。割を食ったりはしてないと思うぞ」
「レッサードラゴンや大型のドロップを独り占めしてよくおっしゃりますな」
「魔力、食われてみるか?干からびるぞ?それに、モンスターから出た武具なんて使えるのか?刺さってたりしたモンだろ?」
「カケル様、見せて頂いてもよろしいですか?」
ほれ、と一つ出してカロに手渡す。見事な装飾がなされた鞘に収まる細身の剣だ。こう言うのを振り回して、初めて、自分は冒険者だ!とドヤ顔出来そうな一振りである。
「魔剣じゃねーか」「魔剣ですね」
振ったら魔法が出たりするそうで、装飾からコレクション的な価値もあるらしい。冒険者が王宮に送って地位や権力を得るのに使われるそうな。
「やっぱり割を食わせたじゃねーですか」
「一般人に被害が出るより良いだろ?」
「しかしなぁ…」
「マスター、諦めて下さい。それに、カケル様は魔剣の存在すら知らなかったのですよ?」
「分かった。その代わり、売れるモンは買取りに置いて行けよ。割り食った奴等への補填にするから」
ギルドへの報告が終わり、一階に降りたら買取りカウンターで細かい物を売っぱらう。魔剣や魔装具等の魔具と呼ばれる物は買い手が付かないとカロに言われて保留したが、魔石やら買い手が付きそうな魔道具や武具は出せるだけ出したよ。ギルド証に振り込んだ額で補填に充てると言ってたが、土地買った額以上になったよ。
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