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アラクネのおっぱい

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 ギルドを出て、街の様子を眺めながらオーバーフローの直撃に遭うであろう側の門まで歩く。ダンジョン都市と呼ばれるだけあって、壁も門扉も丈夫に作られているのには感心する。入る時は意識して無かったのでちゃんと見てなかったが、大門も壁も立派なモンじゃないか。食料さえあれば空への弾幕と上からの迎撃だけで足りるんじゃないか?食料か人員か、危機意識かの何れかが足りないのだろう。台の上で偉そうに作戦のようでいて、馬鹿にしてるような音を発しているハゲを無視して小門に向かう。

「おい待て、一人で出るのか?」

門を守る兵卒に止められた。お仕事ご苦労さん。

「ギルマスとは話は付けてあるから心配すんな。美少女が居たら助けてやる程度の事しかせんよ」

閂を外して開かれた門から外に出た。背後ではハゲが何か騒いでいるが、気にする事でも無いだろう。空に上がってダンジョンの入口、オーバーフローの中心へと向かった。

 オーバーフロー、モンスターが溢れ出てる中心は我先に飛び出そうとする雑魚でごった返し、踏まれたり後ろから襲われて死ぬ奴の多い事多い事。飛んでる奴が少ないのは空に上がる前に殺られちゃってるのだな。先ずは出入り口を塞いでやろう。入口に《集結》を掛けると、出て来ようとしてる奴と、外に居た奴等が集まって、おしくらまんじゅうを始める。飛んでるのも帰って来て上から伸し掛ってる。 押されて泣いて、圧死し始めたのを確認したら…もうやる事は無いかな。本当に美少女でも探すか。
 《感知》で辺りを見回すが、生きてる人は居ないみたいだ。まあ、爆心地で生きてる方が逆に不自然だがな。《集結》してるモンスターに目をやると、死んで暫くすると消えてしまうようで、血肉の塊が大きくなってない。ドロップアイテムだけがボロボロ落ちて行くのが見えた。売り抜くのは面倒だが、中には価値ある物もあるだろうって事で一応《収納》しておく。溜まったらまた回収しよう。

 一オコン程経ったか。外からの敵は居なくなり、中から溢れてくるモンスターだけが《集結》により死んで行くようになり、状況に変化が表れた。今まで居た、ブフリムやゴーラ、ウォリス、蝙蝠みたいなのや鳥が居なくなり、大型のモンスターが出るようになった。量より質になった訳だな。見た事の無い奴ばっかりだ。ブフリムを立派にしたような奴、豚の顔した奴は地球ではオークと呼ばれてるがシルケの名前は知らん。牛頭馬頭も居るな。アラクネのおっぱいが死にゆく様はとても勿体ない!俺、このオーバーフローが終わったら、アラクネのおっぱい揉みに行くんだ…。
大きくなるに連れて出入り口を壊しながら出て来るが、結局は《集結》に捕まりその内圧死する。そして遂に出た。トカゲモドキだ。多分だが、アレが出切ったら終わりかな?数が少なく中々死なないので煉瓦の円盤を高速回転させて首スパーしなきゃならん。面倒だが魔石美味い。何か武器等も落とす。ゲームとかだとレア度の高い奴を落としたりするけど、実際にはどうなんだろう?飲み込んでたり体に埋まってた装備なんて劣化して使い物にならんだろ。
さて、トカゲモドキも出なくなった。《感知》では、ダンジョンの中までは見通せないので中に入らなきゃならん。それでも確認は大事なので降りて行こうとすると、中から人影が上がって来た。

《強化》《抵抗》《纏う》!!

それを見た瞬間に防御三点盛りをした。星明かりに輝く白い髪と、太くて長い純白の尻尾は風を受けて大きく靡かせている。側頭部全体から後ろに伸びる一対の角は中程からクリスタルのような透明感で、一瞬、角のあるのを認知出来無かった。

「だれ?」

その一言で《纏う》で纏った威圧の壁が吹き飛んだ。すげー。

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