374 / 1,519
見えては無い筈
しおりを挟む城の中、出入口の隠された地下の一室にそいつ等は居た。テーブルを囲む5人と周りに立つ二人。此奴等が黒幕と見て間違いないだろう。地上には一人か二人で歩いてるのがポツポツ。衛兵やメイドの中にも敵は居るようだ。そしてハークの近くにも居た。しかし誰かは分からない。両親は他の部屋に居るし、メイド達は分かるから。何より存在がぼんやりしている。ああ、これは阻害系の、スキルなり魔法なり、魔道具なりの何かを使っているんだな。身分を偽ってる存在って事か。ブルランさんに虫の知らせ程の《威圧》を放っておく。お、反応したな?あの人ならば方向さえ判れば勘頼りでこちらに来るくらいは出来そうだ。
貴族街の方に集中すると、屋敷の中に兵を集めてる奴等が多い。兵はともかく、それを使う奴が害意を以て行動している。どの国も戦争やらクーデターやらろくな事しないな。
アルア達は旗に着いて休憩中か。《威圧》の手を飛ばし、そっとアルアの手に触れてみる。驚いて手を引っ込めたが、直ぐに捕まえて何故か頭に乗っけてる。撫でろと?よしよしなでなでよーしよし…って見えては無い筈なんだがなぁ?
『カケル サマ デス ネ』
《威圧》の手に伝わる感触がそう読み取れた。聡い子だ。もう一つ手を飛ばし、掌を上にして右の太腿の上に置いた。これで書きながら読めるだろ。にぎにぎすんな?
『カケル ダ オマエ ネラワレテル チユウイ シロ』
『オニイサマ ブジ デスカ』
『ハーク ノ チカク フシン ナ ジンブツ ヒトリ』
『マホウ キヨウシ デルクラーヘン カト』
『マチ ナカ マカセロ キゾクガイ テキ タスウ』
『ジョウナイ モ デスネ』
『イイコ ダ マタアトデ』
『アタマ ナデテテ』
「ふぅ~」
「終わりましたかな?」
突然横から来たのでビックリしたが、俺が呼んだんだったな。気配を消してワーリンの後ろに隠れてるブルランさんだ。
「アルアとは話が着きました」
「して、何か問題が?」
「街中に賊多数、貴族が兵を集め、城内にも多数紛れ、地下に黒幕らしき者。デルクラーヘンもその一人。現在動き無しなのでご安心を」
「街中をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「無論です。坊っちゃまの事は頼みます」
「無論でございます。それでは」
音も無くスタスタ歩いて行ってしまった。門番あれで気付かないのかよ。見事な《阻害》だな。
「お前さん、オレ達はどうしたら良いの?」
「特には無いかなー。街の方は一瞬で終わらせるから」
「そか」
さて、そうこうしてる間に先触れが戻って動き出した。先ずは街中に集中だ。予防的な意味合いで、《威圧》の壁を貴族街の壁を囲むように、上に向けて百ハーン程増設しておく。これで壁の上から飛び道具を飛ばしても止まるだろう。メテオ?使える奴居ないだろ。
次は街中の賊共だ。マーキングした奴以外にもポツポツ増えているのは連絡係か本命か。マーキングを追加して待つ。初動が失敗した時の時間的余裕を無くす為だ。
そして貴族街。此奴等は馬鹿なのか、ゾロゾロ歩いて大通りを挟むように細道に待機してる。俺は逃走経路を《威圧》の壁でそっと塞いだ。上からも、下からも、大通りにも入れないが、此奴等はまだそれに気付いてない。酸素が少しずつ減っている事も…。
俺の方は準備万端。一方のブルランさんはと言うと、既にデルクラーヘンと戦っていた。気が早いな。倒れてるメイドにはこっそり回復をしてやろう。《威圧》の玉をメイドのパンツの中に押し込んだ。コレで易々と外れたりする事は無いだろう。回復してれば異物感で起きるだろうしな。エッチな悪戯をしてやろうと言うつもりは微塵も無いのだ。
アルアの乗るゾーイ車が門に到着した。開門と共に歓声が上がり、東門に居る俺達にもその声が聞こえて来た。そろそろやるかな。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる