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何卒良しなに

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 ケブの魔石を光の属性魔石に加工する。今は手持ちの光の棒で灯りを取っているが、それだけじゃ足りないし、ワーリン達が寝てしまうのも仕方が無い事なのである。
歪な魔石を丸く《集結》し、魔力を込める……。淡い光を放ち上手く行ったようだ。まあ、この先が問題なのだがな。

「光の精霊ミティオース様、矮小なるわたくしめにほんの少しばかりお力をお与え下さい。具体的には右手の人差し指の先を優しい光が一リット程纏う程度で充分でございます。何卒良しなに良しなに…、ライト」

ポワッとした光が人差し指の先に生まれた。初めて意図した所に魔法を発現出来た気がするぞ?ミティオース様ありがたやありがたや。光を当てられ魔石から光が消える。指から発していた光も自然と消えた。ほっとして魔石に魔力を込めてみた。

「「ぎゃー!」」「きゃあ!何!?」

目が!!
本当に!魔力を絞って込めたのに!何でこんなに?眩し過ぎんぞ!?
魔力を込めて灯りを消して、真っ暗闇の中二人に謝った。

「皆本当にすまん。光の属性魔石を作ったら眩し過ぎた」

「真っ暗で何も見えないよー」

「目を瞑ってて眩しいってどれだけの灯りなのよ!」

「念の為回復するから目は閉じててくれ」

絨毯の上を両手でまさぐり二人を探す。これはワーリンの尻尾だな。もふもふだなー。このヒヤッとする手触りはキュルケスの手か。無事に二人を捕まえて、自分を含めて回復を施した。しかし何故此処でおっぱいに当たらないのか。フラグの神は意地悪である。

「ああ…カケルさん。周りが見える」

「見えるぞ…、オレにも皆が見える!」

「見えるよ、ワーリン…見えるよキュルケスが…」

本当に良かった。しかし無いと困るので灯りは灯さなければならない。煉瓦で作ったコップで蓋をして、今度はワーリンに魔力を流してもらった。

「集中するとさっきみたいに…はならんと思うが、付かなくても良いやーくらいの気持ちで込めてみてくれ」

「おう…」

初めての魔道具の操作がこんなピーキーなので良いのかどうかはさておき、ワーリンの魔力でもしっかり明るく照らされた。部屋のあちこちにくっ付けて回って、部屋全体が明るくなった。

「それにしても、小さいのに物凄い威力だったわね」

「俺が付与すると照明でなく武器になっちまう。ハハ、ダメだこりゃ」

「外で使うのには良さそうだけど、目が潰れるのを防がないとな」

これでやっと昼寝出来ると思ったのに、さっきの光で睡魔が浄化されてしまった。昼飯作って今度こそまったりしよう。

 煉瓦の床に鉄板を置いて鍋に水と具と調味料を入れて温める。重い蓋をしたら出来上がるまで暇なので、眠くないけど横になった。柔らかくて寝やすいなぁ…zzz
柔らかくて、暖かくて、良い匂い。横で寝てるキュルケスとワーリン、それに美味しそうなスープの香り…。スープ…!火に掛けてるのを思い出して飛び起きた。火傷に用心して鍋蓋を外すと、スープが煮物になっていた。

「二人共、煮物が出来たぞ」

「んが。また寝ちゃったか…」

「この敷物も中々恐ろしいわね。起きて活動する意志を刈り取りに来るわ」

雑木でローテーブルを作って配膳した。皿に盛られた元スープの煮物が美味そうな湯気を放つ。が、二人は煮物を食った事が無いようで、何だこれ?みたいな顔になってる。コップに水を注ぎ入れ、スプーンを使って頂きます。

「スープの具だけ食ってるみたい」

「その通りだ」

「お湯で嵩増しして無いだけ原価が掛かってるとも言えるわね」

「良い方に捉えてくれてありがとう」

「味が濃くなって酒飲みたくなるね」

「それ私も思った!」

失敗料理だが美味しく食べられたので良し。鍋に水と具等を追加して再び加熱した。夕飯は肉も焼きたいな。

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