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そう言うトコだよ!?
しおりを挟む枯れた下草をハムハムしてる六頭と一緒に、俺達は宿営地の端にて椅子等を並べてジジババを安置する使用人を見てる。一応警備の体なのだが、ジョンくんが暴れ散らしてたし俺も除雪したりで辺りには鳥一羽居ないのだ。
「カケル、早くやってくれ。退屈だ」
「早く終わると早く帰って仕事が待ってるぞ」
「ゆっくりで良いぞ!」
剣を振り回して遊び始めたが、そこまでゆっくりするつもりも無い。宇宙に着く迄時間を掛けねばならんから、出来れば早く打ち上げたいのだ。ジジババを安置した使用人は、更に机と、その上に何かの魔道具を設置して漸く準備が整ったようだ。
「此方の準備は整った。では、始められよ」
木と戦ってるジョンくんを放置して、宿営地の真ん中に鉄球を出すと風魔法がその周りをぐるぐる回り出した。安全に配慮しているのだろう。
時速百キロハーンで打ち上げられた鉄球は、直ぐに点になり視界から消えた。魔道具を覗いてふんふん興奮しているジジババ達には見えているようだ。三人共見てる場所が違うようで、一人は真横から、一人は後ろから追い掛けるように、最後の一人は鉄球視点で見てるそうだ。三者三様で喜んでる。
安全要員も暇になり、後ろからこっそり覗いてた。
「突然空が暗くなったぞ!どうした事か!?」
宇宙に入ったみたいだな。
「皆さん地面のあった方向を見て下さい」
「なぬ…、なぬーっ!」「なんともはや…」「シルケは青かった…」
「「……」」
「それワシが言おうと思っておったのに!」「あンたいっつもそうだよ!そう言うトコだよ!?」「ええい!言ったモン勝ちじゃー!」
仲が良ろしいようで…。
一オコンが過ぎ、鉄球を静止させる。ジジババの興味は鉄球の周りにある風景に移行したようで、星が近いとか丸いだの丸くないだの論議に花を咲かせてしまった。
「カケル、腹減ったぞ」
「我々もお茶の準備しかしておりません。そろそろ戻られた方がよろしいかと」
今帰れば街に着くのは昼飯時だ。使用人さんの言葉に従おう。論議中のジジババをゾーイ車に安置したら荷物を片付け宿営地を後にした。
「うぉりやー!野盗共出ーて来ーい!」
帰り道も安全だった。
「カケル!大人だけで楽しい事してたって本当!?」
街に着いてギルド前。傍目に如何わしい事を言うのはセバスチャンとメイドを連れたハーク坊っちゃまでした。抱き着いて来たので撫でてやる。
ジジババはハークを見て目頭下がりっ放し。恭しく接するも可愛がりたくて仕方無いようで、俺から引き剥がしてやれお菓子が、やれ魔法書がと興味を引いている。
「お前、ハーク様と仲良いのな」
「キャーーー!」「ジョン様の嫉妬受けサイコー!」「リバなんて許さないわよ!」「ハーク様との三つど萌え~!!」
BLは宇宙標準なのだな…。紙は高いのだから無駄遣いは良くな…寒気がするので思考を停止した。
「カケル、今夜は家に来てねっ。夕飯作るから」
「泊まらんからな?」
「じゃあ今から来てよ、ね?おじいちゃん達もだよ?」
「ほっほっほ、よう御座いますぞ。飛び切りのお菓子を用意しましょう」
「こっちは魔法書を持って来させるからね」
「ならこっちは通信の魔道具じゃ!まだ商品化されておらんのじゃぞぉ~」
ハーク坊っちゃまのキラースマイルに釣られ、ゾーイ車に押し込まれる俺。ジジババの乗るゾーイ車を引き連れて、大通りを進み出す。ジョンの奴、他人のフリして群衆に紛れてやがった。他人だけど、真っ赤で目立つんだぞ?《阻害》でも使ってんのか?
畜生め、朝までサービス残業しやがれ!痔瘻悪化しろ!
ハーク坊っちゃまは俺の膝を枕にしようとしないで下さい。
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