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光の精霊
しおりを挟むリアは詠唱が必須なものの、無事光の魔法を使えるようになった。俺はと言うと、毛布を被せられ悪戦苦闘中です。光を弱める事は出来るのだが、粉が消えなくなっちゃった。で、集中が途切れて魔力が滲み出ると勝手に光ってしまうのだ。
「馬鹿にしてるのか、それとも馬鹿にされたと思って怒っているのか…。とにかく魔法が使えるようになって良かったな」
「馬鹿になんてしてないぞ?例えば、リュネに投げ付けた屑石があったろ?」
「ありましたねぇ。結構痛かったのですよ?」
「あれを光の速さで投げるとどうなると思う?」
「穴でも開きますか?」
「惜しいな。理由は幾つかあるが投げた傍から砕け散る。砕けないように硬くして、空気抵抗を極力受けない形にして投げて、リュネに穴を開けられる。まあ、光速の投擲なんて無理なんだけどな。
でだ。リュネは避けられると思うか?」
「距離があれば、あるいは」
「どうかなー?魔法じゃない光って、一ピル大体三億ハーン進むんだぜ?」
「え?」
「魔法の光には質量があるからもっと遅いとは思うけど、水平線や地平線の先か、物陰に居ないと避けられないって事になる」
「それ、避けるって言わない」
「そうだな。それだけ光は早いんだ。それに、光そのものに攻撃力がある」
「アンデッドに効果のある魔法は聖職者が修めておりますね」
「アンデッドでなくても効果があるだろ?例えば日焼け、あれは火傷だ」
「ご主人、日焼け程度なら問題あるまい?」
「将来シミになるがな」
「「「え?」」」
「もう外出ない」
「出ないと病気になるぞ」
「夜しか出ない!」
「夜の方がシミの原因多いぞ」
「うわーんカケルがいじめるぅー」
「イゼッタ様、好きな子はついいじめたくなっちゃうものなのですよ。イチャイチャご馳走様です」
「光が無けりゃ野菜も育たん。光の偉大さを理解したか?」
光の偉大さよりもシミの恐怖の方がインパクト大だったようだが何となく伝わったと思う。そして俺の光は強まったと思う。何とか収めて貰わねば。
「光の精霊ミティオース様、矮小なるわたくしめに過ぎたる力をお与え下さり感謝の言葉もございません。何れ再び御助力賜ります時まで、御力をお収め下さいー」
「クク…毛布を剥がして光ってたら、その時は私が消してやろう」
毛布が剥ぎ取られる寸前で光は収まってくれた。危うく消される所だったぜ…。
因みに、リアの詠唱は、
「ミティオースよ、光で照らせ」
だそうで、同じ詠唱でやってみたらやっぱり全身輝いた。消す為の詠唱は無いそうで、先程の長い文言をもう一度言う羽目になった。神社の祝詞よりはマシと思うしか無い。
順調に習熟していくリアは、メイドの応援を受けながら無詠唱での安定化させようと練習してる。操作を覚え、起動して、習熟する。多分正しい魔法の習得の姿だろう。
俺はと言うと、光る場所を指定出来てないので操作に問題があると思われる。後は詠唱無しでは消す事が出来無い。自己分析が出来た所で毛布を被って練習の再開する。
無詠唱で光らせる事は直ぐ出来た。但し全身光っている。光量を抑える事は出来るので、光る場所の指定をして行く。
光を指先に、光を指先に、光を指先に…。
精霊様にお願いするように祈ると、やっとこじわじわ光の粉が寄って来る。ほっとは出来ぬ、集中集中。右から左、手から足へ。光の強さを変えながら、毛布の温かさに身を委ねた…zzz
「カケル様、お昼ご飯が出来ましたよ。沢山食べて頑張りましょう」
テイカの声で目が覚めると光は消えていた。魔法を消した記憶は無いし、自然に消えたか精霊様が消してくれたか。何方にしても消えてて良かった。
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