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少女の眼差し

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 描き上がった長方形をテイカに切ってもらう。

トイレ、一×二が二枚。
風呂、五×十。
キッチン、五×五。
居間、十×十。
寝室、十×十。
個室、五×五。
赤ちゃん部屋と控え室、五×十。
物干し場、二十×二十が三枚。
解体場、二十×二十。
地下倉庫の入口、二×二。
階段、二×二が三枚。

計十六枚の木片となった。更に三ドンの長さで棒を二十本程切り出してもらう。
切り残しの薄板に定規で十字の線を描き、先ずは物干し場を直線に併せて貼り付けた。

「物干し場は三階分で一区画だから動かせない。これを起点に各部屋を置いてくれ。廊下などは後から幅二ハーンで書き足すぞー」

薄板に群がりわちゃわちゃと木片を並べ出す女達。

  「あの、カケル様。お願いがあるのですが…」
「聞こうか」

  「物干し場にも階段があると便利かと思います。階段を増やせますでしょうか?」
「テイカ、階段は増やせるか?」

「承知しました」

サクサクッと階段を三枚切り出した。

「補強を一箇所で済ませたいので、階段は同じ場所に、出来れば真ん中辺りにお願いします」

テイカは出来る子だな。二十ハーンのワンフロアなんてふつうの木造でやったら凹んでしまう。

「ご主人、出入口はどうしたら良いんだ?」

「後で穴を開けて作るのだから今は気にしなくて良いぞ」

「カケルー、解体場ぁー」

抱き着いて甘えて来るので撫であやし、物干し場の横に置いてやる。下の板からはみ出た?それがどうした?

「これ、外に作るの?」

「巨大魚をドアから入れるのか?」

「解体してから入れる」

そう言う事だ。それからは解体場の反対側にトイレ・風呂・キッチン・居間を配置し、空間を開ける為壁際に階段を置いていた。次は二階かな?
新たな薄板に十字の線を描いて、物干し場を貼り付けてやると、勝手が分かって来た女達は次々と木片を設置して行く。
一階と重なるように階段を置き、居間の上には寝室を、キッチンの上に個室、風呂の上に赤ちゃん部屋と控え室を置いて行った。トイレは吹き抜けにするそうだ。

「三階、要るかい?」

  「客間や仕事部屋が無いので階層が余りましたね」
「二階には客間や執務室、最上階が寝室になるものな」

「皆が三階を使わないならフロア全体をリュネの部屋にするが構わないか?」

「ん、私は問題無い」

「同じく」

「同意」「はい」

同意を得られたし、配置も決まったのでくっ付けて行こう。廊下一本しかないから定規は殆ど使わない。三階は薄板に線を引いて物干し場と階段を貼り、下の階にある壁を描く。一階に戻り、棒を部屋の角に立てて付けて行き、要らない薄板をテイカに切ってもらう。二階、三階も同様に。テイカが気を利かせて解体場とトイレ用の九ドンの棒を作ってくれたのでそれもくっつける。
最後に全てを上に重ね合わせて簡易的な家の模型が出来上がった。

「大きな人になったみたい」

「お人形のお家みたいです」

「屋根はどーすっかなー」

「カケル様、あたしに」

「では任せよう」

テイカは物干し場の階段の柱を頂点として物干し場と解体場を覆う四角錐の屋根と、リュネの部屋を覆う三角屋根を手早く拵えた。廊下の上は階段を頂点とした斜めの屋根が入ってる。流石の器用さだ。俺なら全部斜めに切って一枚板にしちゃうぜ。
リュネの部屋と物干し場の天井が高くなったが一枚板よりずっと良いな。屋根が出来てずっと家らしくなった模型を、皆少女の眼差しで眺めていた。
床面積二十×五十ハーン。ミーネの家に隣接させるとして、また高床にしなきゃならないな。明日から忙しくなりそうだ。

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