221 / 1,519
嫉妬の視線
しおりを挟む龍の卵が孵ったおかげでミーネの家の作成が滞る。フェルトの作成は引き続きしてもらうとして、屋根の作成は休止となった。即ち、暇である。
「暇ならば装備を見繕っては如何か?」
街に行きたいって事ね。フェルトの作成には水魔法が必要なので、今回はフラーラとテイカが同行する事となった。ノーノは残念そうだが仕方無いね。フラーラに買い物内容を熱心に覚えさせていた。
身支度を済ませたら荷車に乗って出発だ。空に上がると屋根の骨組みに座るリュネが居た。道理で見ない訳だ。子龍が殻をハムハムしてるのを、きゃわきゃわ言って見て御座る。それを見てるミーネはグルグルと唸ってるが、俺と目が合うと尻尾の先をピルピルして来た。行ってらっしゃいって事だろうな。
「ドラゴンの赤ちゃんですか!?凄いですね!」
寝具店にてお茶を飲み飲みサミイを甘やかす。テイカとフラーラは買い物に行ってしまったのでヌプヌプしたかったが、今日は両親殿が居るので自粛した。暫くは家に居るそうなので荷物を纏めに部屋に籠ってしまった。プリ尻の癒しが得られなかったのでとっとと防具屋に行こう。
エメラルダスの防具屋に向かうがちょっとした人集りが出来ている。何ぞ?人の隙間を縫ってスルスル店に入ると、タンクがアタッカーになっていた。顔がシュッとして結構キレイ系になってるじゃないか。
「もー!買わないなら出てってよ!!あ、カケル様いらっしゃい。皮なら全部出来てるよ?」
「大分痩せたな、見違えたよ」
「まだまだだよ。もう少し待っててね」
男達の嫉妬の視線と罵声を浴びて、気持ち悪い。
「防寒用の装備を頼みたかったんだがまたにするかな」
「お客さんなんだから堂々としてよ?此奴等買わないから客じゃないし!で?どんなのが良いの?」
「人前で言うのは恥ずかしいんだが…」
「え?もしかしてそっち系?」
「違うわい。どうやら俺は、人に舐められ易いらしい」
「やっぱりそっちかー」
「だから違うって。弱そうに見られてるって事」
「あー、冒険者としたらスカウトっぽいもんね。防具は皮だし、武器も鉈だし」
「なので取り敢えず強そうに見えるのが欲しい。脱ぎ着し易い防寒着だと尚更って感じ」
ふんふん言いながらぺたぺた体を採寸する元タンクに嫉妬の声が高まる。
「エーメ、そんなヒョロガキに構ってねぇで俺の相手しろや」
肩を掴まれたので脱糞しない程度に《威圧》すると、男はその場でぶっ倒れた。振り返るとハゲマッチョだった。禿げたくは無いがマッチョの方が強そうには見えるよなー。大鉈を抜き、銘を見せびらかす。この街では武器屋の親父の業物にしか銘のある武器は無い。この事は、この街の者なら皆知ってる常識だ。
「《威圧》で倒れたハゲマッチョに此奴を刺して殺す程度の強さは持ってるんだよ。汚れるからやらんけど」
鞘に戻すと人混みは少しづつ消えて行った。ハゲマッチョも仲間に引き摺られ何処かに行ってしまった。
「助かったよー!最近買わない奴ばっか来て困ってたんだ」
「それだけお前が魅力的になったって事だな」
「濡れる事言わないで!?」
濡らしてズブズブしたい所だが、先ずは装備の見積もりだ。鞣した皮を使って作る事にしたので、見積もり金額はそれ以外の材料と手間賃を以前渡した皮の代金から引いてもプラスになった。プラスになった分はデザイン料って事にしてやるので、とにかく強そうな見た目にしてくれと頼んむと、張り切って仕事モードに入ってしまいズブズブはお預けとなり、諦めて店を出た。
ああ、空が青い。串焼き買って海に行こう。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる