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ママ上殿

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 国や貴族であれば、リア絡みか王金貨絡みなんだが、教会であるとしたらまだ謎の追跡をしてたって事になる。どっちか判らんのは気持ち悪いな。

「公都からこの街まで、とにかく急いでどれだけ掛かるかな?」

「私なら数時間ですね」

「騎龍みたいなのがあるならもう来ててもおかしくないな。来て無いからそれは無さそうだが」

ボケにマジレスしてやったぜ。

「軍用のホルストで、乗り換えが出来て、騎手が寝泊まりせず、疲れ知らず、若しくは交代出来る…と言う条件付きで十日程だろうか」

「フラーラ、貴族の代理を立てれば数分ですよ?メリクヒャー嬢にギルドマスター、ハイネルマールも居ますね。依頼品の受け取りだけならば何れかの者を代理人として受け取りに当てる事も出来ます」

「姫様、当家とフェルーゲン・アンバリウムは論外かと思います。事実その様な命令はありませんでしたから。ハイネルマール様は国からの信頼厚い方ですが代理の命はありませんでした」

「ならば十日程の余裕はありそうだな」

「カケル、何する?」

「メルタールの教会に行って、何で追ってるのか聞いて来ようかと。王金貨を奪おうとするには暗部が来るのが早過ぎると思う。とは言え国が前々から放ってる草かも知れん。どっちか分からないから取り敢えず教会の差金なのかどうかを確認したいんだ」

「カケル様、あたしは寝具店と子供達の警護をしたいと思います」

テイカの言は尤もだがそれではまだ不安だな。渋い顔の俺を見てテイカも苦い顔になる。

「でしたら私もテイカさんに付き合いましょう」

「リュネ、良いのか?」

「あくまで付き添い程度です。テイカさんを信じてあげて下さいな」

「解った。テイカ、頼んだぞ」

「必ず守りきります!」

何も無ければそれで良しだが、多分何も無いだろう。


 飯風呂寝るして翌日の朝、ソーサーを摘んだ所でふと気付く。

「そう言えばシトンとアズが居ないけどメルタールに帰ったのか?」

「目的地はメルタールですが護衛依頼です。現地で落ち合えるかも知れませんね」

朝一番にキリッとしたカロである。髪を纏めてシャツにタイトスカート、ちょっと釣った眼鏡を掛けて女教師プレイしたい。因みに今はギルド制服のパンツスタイルで髪は下ろしてる。

「カケル、エッチな事考えてる」

「男の性だ」

「カケルたま、今からちょっと…、します?」

「メルタールから帰って来たらな」

「…お待ちしています」

溶けそうになったのを引き締めて、カロは仕事に向かって行った。俺達も行こう。寝具店にてママ上殿に説明し、テイカとリュネを住まわせてもらう事になった。ママ上殿に生活費を、居残りの二人にお小遣いあげたら出発だ。
つい流れでママ上殿って呼んじゃったけどもう良いやママ上殿で。


 街を出て、空に上がり暫し。《感知》に掛かった、俺達に悪意を持つ者が次々に消えて行く。龍種半端ないって。あの名作RPGのドラゴンが完全にトカゲに思えるわ。

「カケル様、どうかなさいましたか?」

「何でもない。所でリアよ、リアの祖先は龍と縁があったと以前聞いたが、どうやって知り合ったのだろう?」

「はい。うろ覚えで申し訳ありませんが、文献に依ると、お父様の曾お爺様が若かりし時に遠征中に出会ったとか」

  「姫様、大体合ってますがうろ覚え過ぎます」
「てへっ」

ウインクしながら舌を出し、頭をコツンとしやがった。可愛イラにて苦笑いを返す。

  「現在の公王の四代前の時代、後の三代目になられる王子であった……」
ノーノは一時間程語り続けた。

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